IT is my friend・・・? 28

 28、大詰め

 綾香とポリスのボックスで社まで帰らせてもらった。

綾香をしっかり抱きしめた。

「会いたかったよ」

「私、もうダメかと思ったのよ。だって私そっくりのレプノイドがクロードん家にいるんだもん」

「だよな。おれも綾香だとばっかり思ってた。一晩過ごしたよ。彼女と」

「バカ。変なことしなかったでしょうね」

「してないよ。あの日アレだと思ってたから」

「ああ、そうよね。でも、あの日にはもう終わってたよ」

「そっか、なんか変だったんだ。容姿はそっくりだけど何か違和感があった」

「本当になりすますのは無理よね」

「彼女、どうなったの?」

「それは訊かないでくれ」

「でも、本当に来てくれると思ってた」

「そうか?綱渡りだったんだぞ。何か間違ってたら行けなかった」

「クロード、警察だって名乗ってたけど、どうなの?」

「あれは詐称だな。便宜上だよ。どうするかはまだ決めてない」

「いいんじゃない?なんかカッコよかった」

「そんなこと言っても、カッコだけでやるもんじゃないからな」

「なんか似合うんだよなぁ。クロード刑事」

「もう着いた」

「綾香は社で待っててくれ」

「おれはもう一仕事あるんだ。最後の大捕物が」

「なにー?おもしろそう。行きたいな」

「ダメだ。どんなことになるかわからない。大人しく待っててくれ。山田さんもいるから」

「何よそれ」

「いいから、いいから」

「大好きよ。クロード」

「おれもだ。綾香」

しばらく抱き合った。

「ねえ、クロードぉ。体積多くなった?」

「もちろんさ」

「バカねぇ」

「なんだよ。綾香が訊いたんだろ?」

「そうだけど。早く帰ってね」

「ああ。おとなしくしてろよ」


 ポリスと2人で北部地域に向かう。ボックスが使えるとやはり楽だ。

「ポリス、注意しとく。リングを持ってたらドアが開かない。必ず持ってないのが開けること」

「了解。でも、どうしてなんですか?」

「人間とレプノイドの違いってわかるか?」

「あ、そうですね。レプノイドはリングを持ってない。レプノイドだけ自由に出入りできるようにしたんですね」

「その通り。とてもキレるじいさんだ。でもとても人間には見えないからな。びっくりするなよ」

「どんなんですか。見たいような見たくないような」

問題はまだここにいるかどうかだ。とはいえ警察に囲まれてあのなりじゃなかなか動くのは難しいだろう。

地上では「ヤンの店」を取り囲む小さい円をまず最初に描き、3つの同心円で取り囲んだ。


 「じゃあ行くぞ」

急襲組はポリスとおれ以外に1ダースだ。ガタイのいいのを適当にピックアップした。地下鉄のホームから保線通路に降りた。

「いいか、こここら出会うのはみんなレプノイドだと思え」

「はい!」動きは俊敏だし気持ちがいい。

ドアに着いた。

「ここに1人いてくれ。開けるぞ」

開けたが誰もいない。

「よし次は階段の踊り場のドアまで行く」

ドアに張り付いた。

「ここに1人。中は真っ暗だからライトを用意してくれ。行くぞ」

ドアを開けた。

なにやら人影らしきものが走って奥に向かった。

「行こう」

ここからは慎重に歩を進める。通路はライトで照らされて明るいが前の訪問の時のように手を伸ばし、壁を擦りながら奥へ向かう。

まっすぐ進む。何か違和感がある。と壁にぶつかった。通路は左方向だけ。

「待て。違う。引き返す。左の壁を照らしてくれ」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?