IT is my friend・・・? 31 完
31、I scream(私は叫ぶ) ITは友だち 完
由莉奈が笑顔でやってきた。手を挙げた。
「由莉奈、君の笑顔って最高だな」
「ふん。もうクロードの言うとこは聞かない」
「そう怒るなって。これはタイミングの問題なんだ。君にあと1日早く会えてたらな」
「いいよ、もう。あ、叔父さんとこの臭いがしてるね」
「そうなんだ。臭いの元を突き止めた」
「さすがクロードね。この方は?ちゃんと紹介して」
「こいつは由莉奈。おれのかわいい人だ」
「バカ」
「こっちはポリス。名前なんてったっけ?」
「はい。山階逸朗といいます」
「初めまして。クロードの知り合いの中じゃ珍しいマジメなタイプの方ね」
「そうなんだ。こいつちょっと堅いんだよ」
「そこがいいんじゃない。もうクラゲみたいな男はこりごりよ」
「なんだ。気があるのか?山田さん、どうすんだよ」
「うーん。考え中」
「由莉奈が一番クラゲっぽいぞ」
「そう。クロードと付き合い始めてからクラゲがうつったのかも」
「あ、そうだ。山階君。由莉奈に例のものを」
「はい。あの、送金します」
ポリスはディスプレイを立ち上げるとスワイプした。
「え?お金くれたの?」
「まぁ見てみろって」
由莉奈のディスプレイ。
「え?どうして?凄い!こんな大金!どうしてポリスがくれるわけ?」
「いろいろややこしいんだ。これは叔父さんから由莉奈に。学校ちゃんと卒業しろってさ」
「どこで会ったの?」
「エヴァンスってカジノ船。叔父さん、そこに住んでるんだ。まぁお金はたっぷりあるからな」
「それをどうしてポリスが持ってるのよ」
「おれがリングを持ってなかったからさ。今も持ってないけど」
「呆れる。リングは持ってないとダメだよ」
「あ、それは・・・」
ポリスの説明はまどろっこしいから堰き止めた。
「わかってるんだけどな。明日から持つようにする」
「ホントいい加減なんだから」
「そのいい加減なおれが警察に来いって誘われてんだ」
「いいんじゃない?似合うよ。カッコいいと思う」
「なんだよ、いい加減な警察じゃ困るだろ?」
「仕事はキッチリやるから大丈夫よ。IT犯罪の担当なんでしょ?」
「そうなんだろうな」
「人間よりもITの暴走の方が怖そうだし」
「そんなことないさ。ITは暴走しない。壊れることはあってもな。悪いのはそれを操る人間だ」
「今回の事件もそうなの?」
「ああ、悪いやつは逮捕した。ポリスがな」
「そう。ポリスさん、お手柄じゃん」
「そんなこと・・・」
「だろ?やる時はやる男なんだ。AIは常に人に美味しいステーキを食べてもらうために焼くんだよ。自分じゃ喰わない」
「そうなのね。じゃ感謝しなきゃ」
由莉奈と別れてポリスとIT管理室に戻ると、歓声が湧いている。
「綾香ちゃん、強すぎるよ」
「クロード、おかえり」
「だけどな、この赤い豆(萩・7月)と黒い豆(藤・4月)は違う種類だがな」
「え?そうなの?葉っぱも似てるし区別つかないよ。どう思う“R”」
ーそれは明らかな間違いです。見過ごすことはできませんー
「だろ?そうだよ。次はちゃんとやろうな」
「あ、ごめん。いいかな。綾香、今日はもう帰ろうよ。眠いんだ」
「そうしてくれ。おれたち丸裸にされちまう」
「あとは“R”と3人で遊ぶからポリスも帰っていいよ。明日から真剣にやろうな」
「ポリス、花札のルール覚えとけよ。ネットに出てるから。覚えてなかったら“R”の3時間のレクチャーだぜ。赤と黒の豆を間違えないようにな」
「あ、クロード。ご苦労だったな」
「いえ、なんでもないっす。じゃお先に」
ボックスエリアに上がってきた。綾香はまだ遊び足りないって顔をしている。
「綾香、ボックスがないんだよな。しかたねえから2人乗りしよう」
「バレたらマズいよ」
「いいって、今日は緊急でなんとかなる」
「大丈夫なの?」
「あ、いいもんがある。ポリスのライフジャケット。綾香、これ着てくれ。そんでおれに跨って」
「なんかくすぐったいよ」
思い切り抱きしめた。
「いい感じ。行くぞ」
家に着いた。2人乗りでも15分しかかからない。つまり路面の磁気には負荷はかかってないということだ。
家に入ってすぐに綾香を抱きしめてキスの雨を降らせた。
「ちょっとソファに座ってて」
「うん。何か飲み物ある?」
「テキトーに見て」
背中の電池を接続した。
ー起動しますー
「やぁQP。今日からおまえとおれは友だちだ」
IT is my friend. 完
長い間、ご拝読ありがとうございました。
To be continued with “POLICE in 2117”
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