ジュニア育成基本的方針
サッカーはグラウンドの中に敵と味方が混在している状況でプレーするスポーツであり、ボールを持った時にプレーを成功させるためには様々なスキルが必要になってきます。一つは、自分の思い通りにボールを扱えるかどうかということ、言い換えればどれだけ正確な技術が身についているかどうかということです。そしてもう一つは、ボールが来た時に、その状況に最もふさわしいプレーを選択しているかどうかということ、つまり判断がどれだけ的確かということです。
クローズドスキル:自分の思い通りにボールを扱える正確な技術
● 比較的安定した状況での技術
● 状況判断や戦況判断を含まない技術
● 技術の要素が多いプレー
オープンスキル:状況に最もふさわしいプレーを選択する的確な判断
● 刻々と変化する状況での技術
● クローズドスキルを含む「技術プラス判断力」
● 判断の要素が多いプレー
練習中に敵がいないときには正確なキックができるのに、試合になるとミスパスを繰り返す選手がいる。こういう選手はクローズドスキルは身についているけれど、オープンスキルに問題があることになります。あるいは、試合中パスをいい所に出そうとしているけれど、うまくパスが出来ないように見える。こういう選手はオープンスキルは良いがクローズドスキルにかけているといえます。逆に、
とクローズドスキルとオープンスキルという考え方は、技術が2つの違った要素に分けられるというものではありません。クローズドスキルとオープンスキルは連続体であり、サッカーの試合中のプレーは、クローズドスキル ↔ オープンスキルという相互関係にあります。
判断の要素と技術の定着の要素のどちらのウェイトが大きいかで、プレー一つひとつの位置づけが決定します。但し、クローズドスキルは基本的にはオープンスキルの中に含まれます。それは、基本的にクローズドスキルが身についていないと、流れの中でのプレー、つまりオープンスキルに優れることはできないからです。「まずはクローズドスキルから」というのが一般的な見解でしょう。
クローズドスキルとオープンスキルの伸ばし方
1. クローズドスキル
ボールフィーリング、ボールタッチを養う。→ 例えばゲームと切り離した形での反復練習
2. オープンスキル
判断の的確さ・素早さを養う。→ 例えばボールタッチの回数を制限した試合形式の練習
試合で通用する技術に向上させるためには、クローズドスキルを伸ばす練習とオープンスキルを伸ばす練習を交互に行うことが大切です。試合形式の練習だけでは正確さを追求するための反復練習が不足するし、試合と切り離した形での反復練習だけでは、状況判断の能力や戦術眼が養えません。この二つの要素を交互に繰り返すことによって、いいプレーができるようになるのです。
クローズドスキルからオープンスキルへの移行
判断を伴わないクローズドスキルは、ゴールデンエイジといわれる小学生年代が学習に最適な時期です。この時期、神経系の発達が大人の90%以上に達しており、特に吸収力が高いので様々な好き売るを習得するのに理想的です。一度身についた技術は、神経回路が形成され、トレーニングを休んでも低下しないので、大人になってからも活かせる恒久的なものとなります。
しかし試合では、こうして身につけた技術を状況の変化に対応して、いかに適切なタイミングで駆使するか、またどの技術を用いるかといった判断力すなわちオープンスキルが重要となります。いかにしてクローズドスキルからオープンスキルへ移行させていくか、またどのようにして与える負荷を増していくか、といったことが重要なポイントとなってきます。素晴らしい技術をもっているのに試合では、、、、、?どんなに優れた技術、能力を持っていても、正確に適切なタイミングで活用することができなければ宝の持ち腐れになってしまう。実践で重要なのはオープンスキルであり、このレベルアップが重要です。