選挙結果振り返り(2024 9.1投票)
心配だった台風10号は九州に上陸して水蒸気が吸えなくなった途端、急激に弱くなったので壊滅的な被害は免れました。 とはいえ長雨の影響で土砂崩れ等の被害が全国各地で発生しており、被害に遭われた方に心からお見舞い申し上げます。
台風のルート上だった長崎や和歌山でも選挙が行われましたが、投票率等を見る限り情勢に影響を与えるようなコトは無かったようです。 何よりでした。 そして、最大の衝撃は秋田県で起きています。 振り返っていきましょう。
◎秋田県・大館市長選挙
現職が来たるべき衆院選に自民党公認で秋田2区から立候補するために辞職したコトに伴い行われる選挙で、
市議を辞めて立候補した50代男性と20代男性、社会福祉士の女性候補の、いずれも無所属新人3人で争う選挙。 なんと27歳男性候補が現職の後継で自民がガッツリ推していた候補との接戦を制し初当選を果たしました。 これは驚きです。
女性候補は今回が3度目の市長選挑戦で、この人と自民系候補との一騎打ちという “お馴染み” の構図に割って入ってきた27歳候補。 高卒ながら「有機廃棄物をカブトムシのエサに加工し、カブトムシを飼育量産化する」会社を作りCEOを務めている人物で、将来的には家畜の飼料として利用できれば環境問題に貢献する可能性が有るこの事業は、
ホリエモンや「令和の虎」の起業家などが大絶賛しています。
私は “選挙屋” こと石丸伸二氏の所業を見てきて若い首長、政治家を色眼鏡で見てしまうようになっており、それが “オッサンのマウント” になっているコトも自覚しています。 それはいけないと思いつつ、石丸氏の亜種が発生するコトを、とっ・・・・・・ても危惧しているのですが、当選したこの人は高卒からココまで成り上がった “叩き上げ” であり、僅か1年4か月とはいえ市議を経験している人なので、議会で恫喝したり対立を煽ったりするコトはないであろう、と祈っています。
兵庫県芦屋市長を抜いて全国最年少市長となったので、おそらく近日中に “そっち系” が多く出演する「Abema Prime」や「ReHack」に出てくるでしょうし知名度もドンドン上がってくるでしょうが、決して調子に乗ったり勘違いしないように、と願うばかりです・・・
ところで、この候補を応援していた中に、岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長がいました。 最近、この人が推した候補が次々と当選するというコトが起きています。 彼の「不敗神話」はサスガにこの選挙で止まるだろうと思っていたのですが、まさかまさかの、継続です。 藤井市長は収賄事件の「冤罪」(※最高裁で上告され執行猶予つきの有罪判決を受ける)で一度辞職し、執行猶予明けの2022年に市長返り咲きを果たしており、その経緯からしてまさか一期で辞めるとは思えませんが、彼が全国各地の首長選で候補者を応援し当選に導いて「仲間」を増やしている動きは、今後何かしらに繋がる気がしてなりません。 一度、再選後の彼の動きを洗い出した方がイイかもしれませんね。
◎秋田県・大館市議会議員補欠選挙(定数2/3人)
市長選に2人出馬したコトに伴い行われる補選で、30代の男性2人と20代の男性1人で争う選挙は、33歳の候補と29歳の候補が当選しました。
当選した33歳候補は昨年の県議選に自民党公認の現職で出馬するも落選(定数3でもう一人の自民と立憲、無所属候補が当選)した人の息子なので余裕のトップ当選。 もう一人の20代候補は時計部品等を製造する会社に勤務していて立憲の県議が応援していました。 本人が若いが故、若い母親と一緒に街頭に立つ姿が「彼女と一緒に活動している」と誤解されていたようで、その誤解が解けたら解けたで政治経験が有るワケでも無い母親と一緒に活動している様が「マ〇〇ン」だと言われたりしていたようですが、2位で当選しました。
一方、落選した候補は「秋田犬保存会」の理事で市内で「牛角」を開いている人物。立憲の衆院議員から為書きが贈られていますが維新と近いという情報もチラホラあり、維新に勢いが有れば当選できたかもしれませんが残念ながら現状では追い風になるワケもなく、落選したのでした。
◎秋田県・八郎潟町長選挙
5期目を目指す現職に前回に続いて立候補した元町議の新人が挑む一騎打ちは現職が5選を果たしました。
現職は70歳と高齢で多選。 新人は喋りも主張もしっかりしていましたが、如何せん現職より10歳年上の、80歳。 そりゃ、こうなるわなぁ、と・・・ 次回選挙は新しい人物が立ち上がってくれるコトを期待します。
◎和歌山県・有田市長選挙
4期務めた現職が出馬せず、3期務めた県議を辞して出馬する男性と市議を1期務めた経歴の男性による一騎打ちは、元県議は初当選を果たしました。
元県議は自民の推薦を受け、選挙事務所には和歌山のドン、二階俊博氏の(若い頃の写真が載った)為書きが贈られており、土地柄それだけで盤石に見えた人物。 一方の元市議は、昭和54年に市内の箕島高校が甲子園(高校野球全国大会)で春夏優勝をした時の「主将で3番セカンド」だった人。 2019年に市議選でトップ当選していますが2023年には出馬せず。 そこから1年市長選に向けて準備を重ねての出馬しましたが、約千票届かず落選。 有田市が最も盛り上がった時のスターの威光を以てしても、二階俊博の国保守王国の牙城を崩せませんでした。
◎和歌山県・和歌山県議会議員補欠選挙 有田市選挙区(定数1/2人)
有田市選出の県議が辞職して市長選に出馬したコトに伴い行われる選挙で、両者とも4期務めた市議を辞した自民推薦の男性と維新公認の男性による一騎打ちは、自民推薦候補が当選しました。
保守王国の和歌山ですが維新もそれなりに議員がいて、有田市議会にも2議席持っていて、そのうちの一人が県議選に出てきました。 市長選と連動して選挙運動が出来る自民推薦候補相手に勝算が有るようには見えませんでしたが、案の定、全く歯が立たず落選。 つくづく思いますが、維新は何故この選挙に候補を立てようと思ったのでしょうか。 構図を見ても現状の維新のズンドコを見ても勝てるワケがないのだから・・・
結果として後述する市議補選に候補を立てなかったため市議会で1議席失って終わりという結果になったワケで。 これこそまさに「自滅」です。
このように、近畿でも負けが続いているのが、維新の現状です。
◎和歌山県・有田市議会議員補欠選挙(定数2/3人)
前述の県議選出馬で2名辞めたコトに伴い行われる選挙で、いずれも選挙初挑戦となる30代男性2人、40代男性1人で2議席を争った選挙は、4千票台で三者競り合う大接戦の末に30代候補と40代候補が当選しました。
41歳男性候補は立候補のために東京から故郷にUターンした人で、IT系で働いてきた経験を市政で生かしたいと訴えており、事務所には二階氏の為書きが贈られてきており、接戦を制しトップ当選。
2位の35歳男性は青年団やボランティアで地域活動してきた人で「ありったけの機動力と実行力!」をスローガンに掲げています。その言葉の滑りっぷりを見るに厳しいかと思いましたが、地域活動を積み重ねた実績は偉大で当選に結びついたのでしょう。
落選した39歳男性候補は鉄工所勤務時に溶接作業の影響で失明宣告を受けてから盲学校に通い鍼灸師になった苦労人。 サッカースクールを運営したりや練習用アイテムを開発したり、盆栽も始めて販売するとバイタリティー溢れる人で、こういう人が当選したら面白そうだなぁと思っていたのですが、落選したのでした。
◎和歌山県・湯浅町長選挙
5期目を目指す公明党推薦の現職に、長年務めた市議を辞して挑む新人との一騎打ちは、現職が5選を果たしました。
新人は74歳と高齢でしたが、現職はそれをも凌駕する、85歳。 現在最年長首長の青森県田舎館村長(87歳)が10月の村長選には出馬せず勇退するようで、(ちゃんと調べ切れていませんが)年内には最年長首長となるハズです。
昨日は「最年少市長」と「最年長首長」が誕生した日になったのですね。 その年の差、58歳です。
◎長崎県・五島市長選挙
3期務めた現職が出馬せず、自民公明が推薦する元参院議員秘書と立憲推薦の元市議、無所属の元市議会議長の3新人で次の座を争った選挙は、元参院議員秘書が初当選を果たしました。
現職の後継候補で自公推薦の元国会議員秘書、が出てくればそれだけで決まり、のようにも見えます。 使えていた参院議員が “あの” 青山繁晴氏だという点が気になりましたが、
選挙期間中に五島市内の領域に中国軍機が領空侵犯し、それが防衛に対する危機感が高まり追い風になったという声が有ります(※青山氏は応援入りしていないようなので私はその説に懐疑的ですが・・・)。
それと、女性市議とのスキャンダルが週刊新潮に撃たれましたが、木曜日発売の週刊新潮は長崎県だと金曜日か土曜日に発売されているようで、話題にはなったものの選挙への影響は小さかったと思われます。
と、いうワケで無事に当選しましたが、不倫を疑われた市議と議会で向かい合うという構図を市民はどう捉えるのでしょうか。 このままでは終わらない気がします。
2位の候補は最年長の自民系無所属。 自民がオフィシャルに推薦を出す中で4期目の市議を辞して出馬する勝算は有るのかと思いきや、選挙事務所開きには企業の幹部や市議など約300人が集まったようで、草の根選挙で戦いましたがやはり組織ガッチリの推薦候補には及びませんでした。
そして最下位が、立憲推薦候補。 谷川弥一氏の辞職に伴い行われた4月の衆院補選で立憲候補が当選し議席を奪ったので、選挙区内の五島市でも勢いが有る、ハズです。 35歳という若さを武器に市長も奪いたいところでしょうが、候補者本人が前回に続いての市長選出馬で、一度目の市長選落選後に市議選で当選し、1期途中でまた市長選に出るという若手にありがちな “首長になりたいマン” 。 そんな人に推薦を出した立憲のセンスを疑わざるを得ません。 国会議員を出している以上、候補者を出すしかないのでしょうが、こうやって結果が出て「立憲」の看板を背負った候補が票数や順位で可視化されるのは、損でしかないように思うのですが・・・
◎宮崎県・宮崎県議会議員補欠選挙 東諸県郡選挙区(定数1/2人)
自民公認で当選した県議が11月に行われる国富町長選挙に出馬するために辞職し、工場で使う充填機を製造するメーカーの社長だった67歳と介護施設運営会社の取締役を務める27歳で次の座を争う、年の差40歳の一騎打ちは、67歳候補が初当選を果たしました。
67歳候補が社長を務めた充填機製造会社の本社が千葉県に有るので宮崎に戻ってきたのは最近だと思われ、一方27歳候補が勤める介護施設運営会社(恐らく父親が社長)は国富町に10のグループ施設が有るようなので、より地元に根差しているのは27歳候補でしたがコチラでは「県議」という肩書きに相応しい経歴と年齢の候補を選んだようです。 ただ27歳候補もせっかく一度志したのだから、議会議員辺りからひとつずつ実績を重ねてほしいなと願います。
以上です
当選された皆様の御活躍をお祈り申し上げます
「選挙結果振り返り」テーマ曲
ギターパンダ / 選挙に行ったけど
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