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第21作目「ラッキー」

鑑賞作品
ラッキー(2018)
監督:ジョン・キャロル・リッチ

<あらすじ>
神など信じない現実主義者のラッキー。90歳の彼はアパートにひとり暮らし。目覚めるとまずタバコを吸い、身なりを整えたら行きつけのダイナーに寄って、店主と無駄話をしながらクロスワード・パズルを解く。そんな一つひとつの日課を律儀に守り通して日々を過ごしてきたラッキー。しかしある朝、突然倒れたことをきっかけに、自らの人生の終わりを意識し始めるのだったが...。

<感想>

90歳。病気になったり、事故にあったりして、死んでいるほうが確率の高い年齢。

しかし、この主人公のラッキーは90歳にして体は健康。タバコも吸うのに肺まで問題ナシ。

ところがある日、目眩がして倒れてしまう。

すると医者に言われる。「肉体はいつか滅びる」「永遠に生きられる人間はいない」

体は健康であっても、必ず人生には終わりが来るのだ。

その日からラッキーは「死」を意識して暮らす事になる。

逆に言うと90歳まで死を意識しないで生きてきたことになる。

そんな主人公のラッキーがとてもピュアに思えた。

90歳にして死を意識するようになったラッキーがとても悲観的になっていく。

そして周囲の人たちに死への恐怖をぶつけるようになる。

ところが、周囲の人たちはラッキーよりも歳が若いのにみんなちゃんと自分の死を意識していたりする。

でも、やっぱり90歳の死のほうが確実にリアル。

人生の出口を見つめるようになったラッキーを見ていて、とても淋しい気持ちになってしまった。

自分も「死」について考える事はあるけれど、リアルかって言うとそうでもない。

出口がいつ来るかはわからないけど、確実に出口はある。

ちなみに主人公のラッキーを演じられたハリー・ディーン・スタントンは実際に撮影当時は90歳。

撮影した1年後にお亡くなりになっている。

当て書きの部分も結構あったらしい。

そんなリンクする部分もあって、とても味わい深い作品でした。


という事で…

ラッキー(2018)
オススメ度
★★★★★★★★★☆


次回予告
「ヤクザと家族 The Family」(2021)
監督:藤井道人