続・やっぱり猫又が好き「宇宙猫は死なず」
前回の「やっぱり猫又が好き」の続きです。
宇宙人みたいな顔した猫を飼っていた。
大きなクルミのような目は心なしか中心に寄り気味で、顔形はきれいな逆三角形。いわゆる猫にありがちな丸い瞳、丸い顔ではなかった。鳴き声も、ビヨヨーンと響く琵琶の音色っぽかったのも、喉元で震えて聞こえる「ワレワレハ・・・」の音と似ていた。
過去形で書いたのは、この猫が今年(2022年)の6月にお星様になったから。お星様になったと言うより、宇宙から来たっぽい猫だったから地球での役割を終え、自分の星に戻って行ったんだ。猫の惑星。わたしがこの仔に「ムーちゃん」と名付けたのも、一番最初見たときの印象があのムー大陸にあるモアイ像に似ていたから。
ムーちゃんとの縁
前に飼っていた茶トラのオス猫が6歳ぐらいで急に帰ってこなくなった。外出自由の猫だったので、いつかはこうなるだろうと思っていたけど早かった。出入り自由な猫とは言え、一晩家を空けても翌日の朝には必ず帰ってきてた。何かあったんじゃないかと、「猫探してます」ポスターを貼ったり、あちこち探し回ったけれど、ひと月経ったあたりで超絶不思議なことがあり、「あの仔は帰って来なくなったんではなく、帰って来れなくなったんだ」と悟った。
ムーちゃんは、その仔の命を繋ぐ意味で譲り受けた。
うちに来たときは推定10歳。野良生活が長かったゆえ、正確な年齢はわからない。保護されたとき動物病院で歯の状態を診て、10歳ぐらいじゃないか?ということになったらしい。
女の仔だったけど同じ毛色でフワフワした毛並みも前の仔とそっくりだった。後になって、オスの茶トラは多いけどメス猫は珍しいんだと言うことを知った。
体の小さい猫で、3キロいかなかった。いつまでも子猫のようなところがあった。子猫時代からあまりご飯にありつけず、大きく育たなかったと言うことが見てとれた。保護されたとき歯の状態が悪かったのも、年齢のせいではなく、栄養状態が悪かったからではないかと今になって思う。
また警戒心が異常に強く、病院に連れて行ったり爪切りなどで捕まえたくても、なかなか抱っこできないので大変だった。ちょっとでも「その気配」を感じるとパッと逃げて隠れてしまう。でもそのわりには、わたしがまったり座ってると膝の上にぼそっと乗ってきたり、夜寝るときは必ず枕元にきたりして、典型的なツンデレ猫だった。
また、何か悟ったようなところもあった。この警戒心以外は、何事にも動じない、肝が座っており、わたしなんかより経験豊富でずっとずっとお姉さんだった。何かあるとムーちゃんに聞いてみたりした。返事はあってないようなもんだった。
夜勤のときも旅行などで数日間家を空けても、特に文句を言うわけでもなく、家に戻るとあたりまえのように迎えてくれる。また、わたしの言うこともほぼ解っていた。「今日は夜勤だからね」とか「3日間留守にするからよろしくね」と伝えると、「あい」と返事が来た。返事がなくてしつこく言うと「わかってるよ」とビヨーンと鳴いた。
この仔のことを書きはじめるとキリがなくなるのでこの辺でやめておきます。
宇宙猫は死なず
地球での役割を終えるとき、長い尻尾をボンッとふくらませ、手足を大きく伸ばし、大きく息を吐いて旅立っていった。まるでこのままフッとお空へ飛び立って行くのではないかとさえ思った。不思議と悲しくなかった。
推定年齢21歳。人間で言うと100歳。
ありがとう。また遊びにおいでね。
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