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トロムソからの便り 生活面

ノルウェー入国してからはや2ヶ月が過ぎてしまいました。
その間、2回の引っ越しとレジデンスカード取得、銀行口座開設、倫理審査及び研究プロジェクト申請、研究計画発表など‥乗り越えなくてはならない様々なハードルのなかで右往左往しながら怒濤のように時間だけが矢のように過ぎてしまいました。

もっとここに投稿したいと思いながら、落ち着いて書く時間が取れず、漸くここでトロムソ便り第3弾目。家ではぼーっとしている時間があるのに、メールすらも打てないほど疲れ果て‥。(やはり日本とは違う質の “極寒” の気候が、本人が自覚しているよりも身に堪えているのでしょうか。帰宅するとまるで冬眠中の熊のように暖かい部屋の中でウトウトしてしまいます)

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3月に入り、トロムソも感染者が一時的に増加し、大学への通勤も週に3回申告制で行くようなシステムが取られるようになっています。3月4日に、自治体から「公共交通機関やスーパーなどでのマスク着用」といった新たな感染予防のためのガイドラインが通告されると、次の日からは、ほとんどの人たちが一斉にマスクを着用するようになりました。この国の市民の政府に対する信頼性の高さと従順さに驚いています。その朝、前日に通告が出されたことを知らなかった私は、バスの中で全員がマスクをして黙って座っている光景にでくわし「一体何が起こったのか!」と慌てました。ただ、あちらこちらに使い古したマスクが捨てられているところにノルウェーの大らかさというか詰めの甘さが感じられ、思わず「あららー」と思ってしまいます。

私より半年前にスウェーデンに入国された某大学の先生から事前に、
「コロナ禍で、生活を始めるまでの諸処の手続きにさらに時間がかかり、最初の2ヶ月間はストレスが溜まりますよ!」と脅かせれていたたため、それほどストレスも感じず、今、その生活立ち上げの諸準備の真っ最中を一つずつこなしている最中です。
それでも、ただでさえ気長なノルウェー北部の諸機関の対応に加え、コロナの影響でますます業務が遅れ、8週間遅れで先週漸く警察からレジデンスカードが発行され、しかしいまだに銀行口座開設すらできていないという状態です。ノルウェーは完全なネット・バンキング社会でほぼ現金が通用しないため、口座を開設しなくては家賃を払う手立てもなく毎日ハラハラしています。ただ大家さんが今回のホスト教授で「まあ数ヶ月後にはなんとかなるんじゃないかなあ」と鷹揚に構えてくださっているのでそれだけはホッとしています。というより、家賃欲しいなら、もう少し私の銀行開設の手立て考えてくれても良さそうなのに‥。
また大学の担当事務の人も、勿論、日本の大学のような、生活面に関わる手続きに関しての手厚いサポートなどは全くなく、全てURLでインフォメーションをメールで送ってきて、その膨大な分量のノルウェー語(ときには英語)を理解して、何でも自分で切り開かなくてはならない!あまりにも「おもてなし」のないドライな大学の対応に、当初は、もうちょっと助けてくれたもいいのじゃない?とか「もしかして私はwelcomeされていない?」などと僻みそうになりました。

しかし、先週金曜日、「ノルウェーでこれから仕事を始める人用へ、ノルウェーで失敗したり誤解しないためにノルウェーの文化を知ろう!」というzoomミーティングが大学で働く外国人を対象として行われ(約60名ほど参加)、ノルウェーの社会的な仕組みや国民性の特徴、そこで失敗しないための対処や理想的な?行動パターンなどの約4時間半のレクチャーを聞いているうちに、何か今までの空回りがスッと溶けて逆にIndepend の国民性に小気味良さを感じました。
女性講師によって繰り返し強調された「ノルウェー人のimpolite に見える部分とその背景にある精神性」が妙に納得できたわけです。
レクチャーの大凡は、「挨拶は短め」にとか、「バス停で無闇に話しかけない」とか、「食事に招待されたら何を持っていったら良いか」「仕事を押し付けてくる同僚に対してどう対処するか」とか、社会生活をする上でそんなこと当たり前じゃないかと思うような内容の繰り返しに、馬鹿らしくなり適当に聞いてたのですが、確かに、コアな部分では本心をついている!一つ一つに思い当たる場面を思い出し、ノルウェー社会で生きていくために『必要な考え方』や、逆に『必要ではない心配事』などが理解でき、結果的には心が軽くなりました。これは面白いノルウェーの生涯教育、多文化教育の一つと言えるのではないだろうか!などと感心さえしてしまいました。
ただ、意地悪くあえて批判的に見ると、ノルウェーの国を理解することによってノルウェー市民として上手くやっていけますよ!という国家主義的、全体主義的な思想が、すごく優しくオブラートに包まれて、道徳的に教育されている側面も見え隠れしてしまいます。

しかし、少なくとも、私はレクチャーにあった「メールの返事がなかなかもらえない時(講師よるとこれはノルウェーではよくあるらしい)」の対処法」いうなるものを”忠実”に実践したおかげで、頑なにクローズして対面での対応は一切行わない!としていた銀行に、何とその日のうちに銀行でのアポイントが取れ、最短距離での口座開設にこぎ着けることができました。(通常なら8週間かかるところ2週間で!)やった!という気持ちとものすごい達成感!自身への自信につながりました。

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そんなこんなで、この歳になっても右往左往しております。もうこんなに鍛えなくても良いのに。ただ、自然の美しさは本当に言葉に表せないほど美しいです。
ここにいられることは本当に幸せなことだ!と毎日感謝してフィヨルドの山に手を合わせています!!3月になると急に日が長くなり、まだまだしっかりと寒いくせに、晴れた日の太陽の主張が半端ないです。

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