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厳冬期 大雪山・旭岳撤退

2025.01.18
厳冬期 大雪山・旭岳撤退

 憧れの厳冬期大雪山・旭岳に挑戦した。結果としては、敗退に終わっている。挑戦と言っても、ロープウェイを利用するため距離としては5キロ程の計画。てんくらはA。Windyは晴れで風もそこまで吹かない予報。旭岳のピークを踏み下山する計画を立てた。

 私は山の天気予報として、「てんきとくらす」と「Windy」を参考にしている。
「てんきとくらす(てんくら)」は、登山指数として、A・B・Cに区別されている。個人的に、この登山指数の信頼度が高く、計画の参考にしている。
A:登山に適している B:風または雨が強く、やや登山に適していない
C:風または雨が強く、登山に適していない
「Windy」は、風を読むツールとして利用している。天気も確認することができる。

 当日3時30頃に道東を出発。旭岳ロープウェイには、8時30分頃到着。
 ロープウェイの始発は9時。事前情報として、外人が多く、激混みするらしい。早めに到着できたと思ったのだが、見込みが甘く、スキー・スノーボーダーの外人で溢れていた。20分間隔だと思っていたのだが、ロープウェイは10分間隔で運行していたため、第2便(9時10分)に乗ることができた。

 日本人が少ない。色々な国の言葉が行き交うロープウェイに乗り、本日のスタート地点の姿見駅に到着。こちらでトイレを済まし、外に出てスノーシューを装備。気温は−16度で視界は十分。山頂は雲に隠れて見えないが、天候のコンディションは悪くなさそうだ。
 今朝からお腹に入れたものは、ゼリー飲料とナッツを少しだけ。なのにお腹が痛い。トイレは済ましているため、「大丈夫だろう。」と自分に言い聞かせ登山を開始。

 前半は、スキー・スノーボーダーがつけたトレースを利用する。
 姿見の池を過ぎてからは、人が少なくなり、登山者のみとなる。視界もあり、夏道のロープを忠実に辿ったためルートロスの不安はない。この時点で登山者と思われる者を確認できたのは1パーティ。

 しかし、標高を上げていくにつれて、風が強まる。雲の中に入ると、時折立っていられない程の風を浴びる。
 過去の登山で、強風とホワイトアウトに遭い、プチ遭難と顔の凍傷を負った。この時は装備も知識も甘かった。これ以来、冬山は万全の準備をしているつもりだった。しかし、ここは厳冬期の北海道最高峰。風を浴びているうちに、顔周辺の装備は凍りついてしまった。

標高2059m地点にて、撤退を決断。あと少し歩けばピークに立つことはできた。しかし、これ以上標高を上げてさらに風が強くなると考えると、若干の恐怖を感じたためだ。

 私が登山に求めているのは、下界では味わえない厳しい環境や自分の生が揺さぶられる中で挑戦することに伴う楽しさだ。しかし、死んでしまうとそれは味わえないため、生きて帰らなければならない。私には帰りを待ってくれる人がいる。山で死んではいけない。強風に恐怖を感じたが、あのまま進んでも死ぬことはなかったと思う。
 下山開始後、山頂方面を見るとさらに雲が濃くなっていた。私の経験と技術量では撤退が正解だったと思う。

 下山開始後まもなく、単独者と外人パーティとスライドした。無事に登頂できたのだろうか。風が穏やかな標高までくると、若く元気なパーティとスライド。少し登ったところで撤退しているようだった。

シュカブラ


 厳冬期の大雪山旭岳に登頂することは、私の憧れである。再び挑戦する機会を得たので、レベルを上げてまた挑戦したい。

 高速道路に乗る前の国道で、飛び出して来た鹿と衝突してしまった。凍結路も重なり止まることはできなかった。衝突時は、大きな音もなく自走できたため、「大丈夫では?」と甘い期待を抱いて、最寄りの道の駅に停車。甘い期待は一瞬で消えた。私の車は、5月に購入した新車…。自走はできたので、このまま走行し、失意の中無事に道東へ帰宅した。

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