離人症について
ふと、「離人症」という言葉を目にした。
なんだろうと思い調べてみると、「周囲の出来事や人々、自分自身に対して現実感がなくなり、夢の中にいるような奇妙な感じに襲われる症状」とあった。
その説明を読み、人生で2度そのような経験をしていることを思い出させられた。
2度共わたしが小学生の頃に起きていた。
1度目の記憶ははっきりとは覚えていないが、2度目に経験した際に「これ、前もあったやつだ」と感じたので、間違いない。
2度目の離人症の症状が出たのは小学6年生の修学旅行最終日だった。
その日は八景島シーパラダイスでグループ行動をしていて、雨が降っていたのをよく覚えている。
1日の内半分は楽しく過ごせていた。
午後の自由時間を過ごしていたところで突然、
自分が自分なのかよくわからないと言った瞬間が訪れたのだ。
友達の発言に笑っているのは自分なのか。
この感触は本当に自分が感じているものなのか。
今わたしはどこにいるのか。
突然わからなくなってしまい恐怖を感じた。
友達には「私ここにいるよね?」と、聞かれた側からしたら意味のわからない質問をしたり、友達の手を握って自分の存在を確かめたりしてみた。
友達も「??」な反応だったが、そこには深く触れられず引き続きグループ行動をした。
その間も私はずっとよくわからない状況だった。
自分が自分でないみたいな状態で、そこにいる自分の存在、そこで行なっている自分の行動全てが自分の意識の下に行われていない気がして恐ろしかった。
そうして不安を感じているうちに集合時間になり
バスに乗り、眠ったところで正気を取り戻した。
今ならスマートフォンがあるので何かあればこの症状は何か調べることができたかもしれない。
だが当時小学生。その頃はスマートフォンなんてなかったし、子供なので過ぎてしまったことを思い返すことはなく、親に相談することもせず今まで来てしまっていた。
ただ、恐怖を感じていたことは確かで、
帰宅後親に「寂しかった」と伝えていたらしい。
スマートフォンが無い時代だった当時の私は、
「この症状は親から離れて寂しくなってしまった事で、自分の頭がおかしくなってしまっていたのだ」と思っており、また親から離れる時があったらこういう症状になるのではないかという不安があった。
だがその日を最後にその症状が現れることはなく、
今日まで来た。
大人になった今原因を調べてみても
特に原因はないようだった。
やはり親元から離れて過ごしていたことで、
少なからずストレスを感じていたのだろう。
ただ、今回離人症という言葉を目にして、
自分以外にも同じ経験をしている人がいること。あの時感じた症状に名前がついていたことに少し安心を覚えた。
皆も同じ経験はあっただろうか。