【詩】日陰の二人

白くて長い指を思わずぎゅっと掴んだ
何処かに飛んで行きそうに思えたから
「握力つよ」って少し笑ってあなたは
いつもならふりほどく手をそのままに
空を見上げている電線には椋鳥が四羽
会話がないままにぎこちなく手を繋ぐ
一方的にこちらが握っているだけだが
左薬指にひかりが一つ毎度感じる苦さ
手を繋ぐのを嫌がるのは年齢のせいか
いい年をしてみっともないと言われる
わたしのことが疎ましく恥ずかしいの
白髪が増えてきたあなた心の中で問う
許されない関係にあるのは百も承知だ
触れるのも厭わしいのならば別れよう
あなたに聞くたび抱きしめられるから
別れられない本当は別れたくないから
二人でいる意味を探すのを諦めたんだ
後ろ指差されて地獄に堕ちるとしても

 

いいなと思ったら応援しよう!