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家事の負担が夫に理解されない理由

 私は、結婚して初めて実家を出て、数年間、子供を作らず二人暮らしをしていました。その頃は私も自由に働き、自由に遊んでいたわけですが、私よりも夫の方が残業が多く、その結果、私の方が家事をしていました。
 その頃、それまで意識したことなかったことに気づきました。
それは、

「どの家事も、線になると心理的負担が急増する!」

ということ。

 うちもそうですが、最近は、経済的理由ではなくキャリア志向のために共働きをする夫婦も多く、また、男性自身も家事に積極的という方も増えました。
 でも、「家事をしている割に妻の負担を減らせていない」と感じる男性もいるのではないでしょうか?
 以前、男友達が、「結構家事をしているつもりなんだけど、妻にイライラされるように感じる。でも、自分は残業が多くて家にいる時間が少ないのはどうしようもないし、これ以上どうしたらいいんだかわからなくてモヤモヤする」と話していたときに、「家事を線ですることの負担」と「線で家事を請け負うこと」の話をしたら役立ったようなので、今回は、このことについて記録しておきたいと思います。

「家事を線ですることの負担」とは?

 まず「家事を線でする」を言い換えると、どんな家事も毎日の連続である、ということです。

例えば料理の場合。

夕飯1食だけ作ればいいなら、その日の献立をバランスよく決め、必要な材料を買い、調理をして出し、片付けをする。できれば食材が余らないように使い、余ったら処分する。で済みます。

これが、日々の連続になるとどう変わるかというと、

・過去1週間くらいの夕飯の献立を記憶から呼び出し、献立が繰り返さないように配慮しつつ、朝やお昼食べたものが麺類ならご飯にしようと言った具合に調整して、栄養バランスと、家にある食材を踏まえて献立を決める
・足りないものがあれば買い出しに寄り、買い出しに行く時間がなければ献立を見直す
・買い出しに行く時には、明日以降2、3日先の朝昼晩を意識して、お夕飯に使うもの+αを買う
・お夕飯の調理しながら、食材が余ったら、その食材をいつどうやって次回以降に使い切るか考える
・食べ終わったら片付けをし、食材の整理をする
・調理や片付けと並行して、余った食材から明日以降の献立を考えたり、食材の下ごしらえをする

というように、前後のことを含めてあれこれと考える必要が出てきます。

また、炊事の計画に合わせて自分の予定の方を調整することもあるでしょう。
来週は仕事が忙しくてゆっくり炊事する余裕はなさそうだから、日曜は予定を入れずに買い出しと作り置きをしておこう、とか、水曜は早めに帰宅してその日の夕飯の準備の他にも色々しておくと木金の夕飯作りに余裕ができるので、出来るだけ水曜は残業をせずに帰ろう、とか。

節約中の場合にはさらに検討項目が増え、ますます複雑になっていきます。

こんな風に、毎日の連続=線で炊事をする、ということは、ある1回の食事=点で炊事をする場合にはわからない、やるべきこと、考えることがたくさんあるんです。これは炊事だけではなく、洗濯も、ゴミ捨ても、掃除も同じことです。
こう言った、線になったから生じる苦労や手間は目には見えないし、点でしかしたことないとわからないので、本人も気づきにくいんです。でも、じわじわと、確実に心理的負担になります。

これが私が、実家を出て初めて実感した、「家事を線ですることの負担」です。

点の家事しか知らない夫vs線の家事で負担を強いられる妻

勘の良い人はもうわかっているかもしれませんが、これが、家事の負担に関する夫婦の軋轢を生んでいる、と私は思います。
なぜならこれらの、線になったから生じる苦労や手間は、家事を点では手伝っているけど線では負担したことのない夫にはわかりにくんです。むしろ、点でした時の家事の負担量で見るから、「手伝ったことあるけど大して大変じゃないじゃん」と思ってしまう。だから夫側は、無意識に、そこの苦労をないがしろにしがちです。

夫から「今日飲み会行く」と急に言われたとき、線で炊事をしている妻側は、その、線でするからこその生じる負担を全部無下にされたように感じます。
だから、すでに用意してしまったお夕飯に大して、夫の「ごめん、明日の朝食べるよ」だけでは済まされません。

なぜならその日用意したお夕飯は、食材の準備、下ごしらなど数日前からのコツコツした負担の積み重ねでできているから。その日の献立は、前後のお夕飯の献立にも影響をあたえているから。

この日のお夕飯がいらないともっと早くわかっていたら、おとといの下ごしらえの時間いらなかったんですけど!!面倒だったけど炊事を楽にするために奮起して頑張ったのに!食材の残りと昨日のお夕飯の献立から今日の献立を決めるのに結構悩んだのに!しかも今日のお夕飯のためにわざわざ遠回りして帰りに買い出ししたんですけど!!となるわけです。

でも夫側は、点の負担しか知りません。
だから、作ってくれたものを無駄にせず食べるんだからいいじゃんと思うし、謝っているのに妻が不服そうな姿に、さらに夫側も「なんだよ」とモヤモヤするのでしょう。

家事を線ですると生じる負担を知ろう!

上記のようなすれ違いを感じたら、まずは、家事は毎日の連続であり、1回分の食事を作る、一回分の洗濯をする以上の苦労や手間があるということを知ってもらおう。あるいは、聞いてみよう。

そのお夕飯は、夕方キッチンに立った時に自然と思い浮かんだ献立ではなく、前後数日を含めたスパンで色々なことを考慮しながら妻が考えたご飯です。
妻は、そのご飯のために、お夕飯直前にキッチンに立った時間だけではなく、昨日の朝、少し早起きをして下ごしらえをしました。

ということを知ってもらう。
そうすれば、人並みに思いやりのある夫であれば、もう少し、1回のお夕飯を急にキャンセルすることをねぎらってくれると思いますし、
男性側も、「明日食べるって言ってるのに何イライラしてんの」というモヤモヤは無くなるのではないでしょうか?

線で分担する

もちろん、夫婦として家事は妻が請け負うことにしている家庭もあると思いますが、妻側も同じようにフルタイムで仕事をしていいて、家事も分担しようと言うことになってたはずなのに、でもなんか気がつくといつも妻ばかりに負担が・・という場合にオススメなのは、家事のうちどれか一つでも、夫にも線で請け負ってもらうこと。

家事の分担は、曜日での分担やできる人がやるというように分担する夫婦も多いと思います。でもそれだと、線で家事を考える妻と、点でしか家事をしていない夫、という構図から抜けだけません。

なので、サボるとわかりやすい家事を、1つでいいので夫に丸っと線で請け負ってもらう。請け負った側は、毎日の連続のこととして丸っと引き受けると言う体制にします。
オススメは、洗濯かゴミ捨て。お風呂掃除とかサボったことが分かるまでちょっと時間がかかるものや、食器洗いのように「食器を使ったら洗う」と言うように前後のことをあまり考えなくてもいい単発系ではない方がいいです。

例えば洗濯なら、洗濯から畳むまでを日常的に回るようにコントロールするハンドルを夫に任せる。天気予報や自分の予定を考慮して、いつ洗濯機を回して干すか、干したものや乾燥機にかけたものを畳むタイミングの把握、など、1回の洗濯だけではなく前後も含めたコントロールをしてもらうんです。

洗濯が溜まってるぅ・・と気づいたときでも、代わりに洗濯をしておいてあげるのではなく、もはや開き直って(少なくとも頼まれて了承するまでは)手伝わない。
溜まっても大丈夫なように衣服を用意しておきましょう。(笑)

線で家事を請け負うって、点で家事を手伝っている時よりもずっと大変です。

時には、洗濯が溜まっているのに明後日から二日間雨予報だと気付いた!けどもう今日はもう寝たい(洗濯回したら30分くらい待ってないといけないのよ!)、けど明日は飲み会で帰りが遅くなる、どうしよう・・(T ^ T)、という時もあるでしょう。
点で洗濯を手伝っている場合には気づけないものですが、線で家事を請け負うと、そういうことを把握して気づくことも必要になります。

そしてそういう時は、その対処も、ちゃんと責任を持ってなんとかしてもらう。
そういう自体を見越して洗濯を予約にし、翌朝少し早く起きて干しておくとか、奥さんに干すところまでやっておいて欲しいとお願いするとか。

線で請け負った側は、責任を持って、できない日の予測もして、対処もする。
どうしてもできない時は、相手に一言伝えて、頼む。

いつもお夕飯を用意してる妻が、「ごめんこの日飲み会だからお夕飯はどっかで食べてきてね」「今日残業になりそうだからお夕飯の準備お願いしていい?」と頼むのと同じことです。

もちろん、線で任せたら言われるまでは絶対に代わってあげてはいけない、と言うわけではないです。
洗濯でもしておこうかな〜と言う気分の時、夫の仕事が集中的激務な時、やってあげようかなと言う気持ちを捨てるべしと言うわけではありません。
崩してはいけないのは、「この責任者はあなたであり、私はあくまでサポート」と言うスタンスを忘れないことです。
なので、何も言わずに手伝ってその後も何もそのことを話さない、ではなく(これすると自然とまた、妻がすることになります・・)、「これ、手伝おうか?」と声をかけたり、「やっておいたよ」と声をかけることが大事だと思います。

家事負担のすれ違い、ケンカする前に試してみる価値あり

線で請け負う側と、線で任せる側の立場を、1つだけでも入れ替えて家事を分担すると、

・相手の苦労を無意識に軽んじてしまい、相手に不満を抱かせて喧嘩になる
・気がつくと妻ばかり家事をこなし、妻が爆発すると分担を見直し、また徐々に妻に家事が集中し・・と言うループ

から抜け出すきっかけになるのではないかと思います。

もちろん、家事をどう回すかについては、いろんな方法があると思います。

それぞれのすべての家事は、互いに自分でやる、つまり、それぞれが家事を線でこなし、互いの線が交えないルームシェアタイプもありだと思います。
極端な話、私はお互いの家事を自分で負担するために、別居すると言う形も、悪くないと思っています。

でも、やはり一つ屋根の下で暮らしたいし、家事は協力しあって、ご飯は同じものを食べたい、完全に分離することは望んでいない、でも、すごく不満がある、つい家事分担のことでケンカになってしまうと言う場合には、試してみる価値ありだと思います。

ま、こんなことしなくても自然に負担しあえるのであれば、それが一番ですけど。

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