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[日記]会話失敗人間、俺

今日はバイトしかしていない。
4歳下の後輩と一緒のシフトだったのだが、これだけ歳が離れていると、ただでさえ低い俺のコミュニケーション能力が地を舐めるほどにガクンと下がる。
共通の話題からなんとなく話を盛り上げていくのが俺のトーキングスタイルだからである。
部活の2個下とかならまだしも、4個下はそりゃもう下すぎる。
会話の糸口がなさすぎる。

じゃあ黙ってスマホ見てればいいじゃないかと思うのだが、俺のよくわからん性質として、喋れる距離に人がいるときに黙っているのがそこそこ嫌だというのがある。仲の良い友人といるときも沈黙の時間は好きじゃない。
殊更4個下の後輩と同じ空間にいるときの沈黙はかなり気まずい。
先輩として俺から話しかけるべきか、とも思うが、相手がスマホを見ているときなら邪魔になってしまう。あくまで相手が暇そうにしているときに話しかけるべきだとは思っている。
それでも迷惑だとは思うが沈黙が苦手すぎるのが上回ってしまう。申し訳ないのだが。

今日はそんなこんなで後輩がスマホをいじっている間はお互い無言だったのだが、後輩がスイカゲームのパチモンみたいなゲームをやっているのが見えて、後輩から「motyさんもスイカゲームやりましょうよ」と誘ってくれた。
社交辞令ではあるだろうが共通の話題が出来てこれ幸いと、その場でスイカゲームのパチモンをインストールした。
ただしバレないように。
興味なさげな素振りなのに実はこっそりとプレイして、後からめっちゃいい成績を出しているところを見せたかったからである。
スイカゲームは友人のswitchで何度かプレイしたことがある。
先輩として良い格好をするために素知らぬ顔でスイカを作ってやろう。
そんな下心を抱きながら後輩に見えないように果物を転がした。

所詮スイカゲームのパチモンなので本家よりはぬるい。ぬるいというのは箱が溢れる判定が甘めだったり広告を見たら復活したりするというガバさがあるということである。
俺はそんなぬるさを利用してなんとかスイカを作ることが出来た。
これを自分から自慢するのはダサい。
先輩ズム(先輩として守るべき倫理、規範)に反する。
ホールから注文が入ったときに、わざと後輩から画面が見えるようにスマホを置き、何事もないかのようにハイボールを作った。
すると後輩は狙い通りに俺の画面に鎮座するスイカに気が付き「motyさんスイカ作ってるじゃないですか!すごい!」と感嘆してくれた。
俺は超嬉しくなった。ゲームで褒められた経験がこれまでの人生でほとんどなかったからである。
「え〜私何回やってもスイカできなかったですよ!motyさんってやっぱ頭良いからこういうのも上手いんですね!」
社交辞令だ。太鼓持ちだ。だが、めちゃんこに嬉しい。
嬉しくなりすぎて、俺はこのあと完全に対応を間違えてしまった。
賢いと思われたいという気持ちが膨れ上がり捻じ曲がり口から溢れ出てきて、早口で「うん、まあね、こういうのって“方程式”だから、頭の中でさ、方程式を立てるの、で、解くの。じゃあ答え出てるじゃん?ってハナシなわけだ」と言ってしまった。
そこから記憶がない。
多分仮死状態になっていたと思う。
そして今悶絶しながら日記を書いている。この失敗を絶対に忘れないために。
今日特別失敗したような言い方をしているが、毎回バイトから帰るたびに、また会話に失敗してしまったと落ち込んでいる。
別に今日に始まったことではないのだ。
会話に失敗した日は「もう二度と会話せず!」と引きこもりたくなるのだが、結局会話は会話することでしか上手くならないのだと思う。にしては成長しなさすぎではあるが。
コミュニケーション、いつか得意になる日が来るのだろうか。

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