復学空想日記10/4

「今日が金曜日だったら良いのに」
満員電車で呟いた。隣のサラリーマンが同調した。サラリーマンと言うと男性のみを指す言葉のようで令和にはそぐわないような気がする。サラリーウーマン。でもOLはオフィス・レディの略なので、オフィス・ジェントルを指すOGもあるべきか。OG。オールド・ガール。困った。
「あなたはどう思いますか」
同調したOG(大柄なグーフィー)に尋ねてみた。
「いいえ僕はやっていません」
そこでOGは左に頭を傾けて見ると「僕?」と自分を指さす人に見えることに気づいた。板前さんでもいい。
女は板場に立つな。男がキッチンに入るな。西洋でも東洋でも身勝手なのは変わらない。だからあんたは太平洋と名乗りなさい。橋本太平洋。条約結べそうだもの。今朝ベーリング海へカニ漁に出かけた祖母の言葉が身に染みる。隠し包丁を入れといてよかった。
話を戻すが、幸運のデキャンタを見つけたトルコアイス職人サムはその後ユバの民となってガガユラバの再建に成功したらしい。その功績が認められて一万石が与えられたサムの有名な言葉を残して終わろうと思う。

「私にとって今日は金曜日の夜のようなものだ。翌日の一限の時間を気にせず酒が飲める。明日はきっといい日になるんだ。楽しみでしょうがないんだ。月曜日のことは月曜日に考えればいい。さあ、グラスを持って。カントゥーヤ!

ちょっと待ってBeReal来たわ。もっかいやっていい?ちょ、なんで飲み干しちゃうの?早く注いでよー。はいはいはい映って映って。カントゥーヤ〜!…やば、全然盛れてないわわら」

(『十返舎一九』より抜粋)

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