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オトナ同士は、相手にオトナを求め、あとには何も残らない。の話。

こんにちは、もつこです。
私自身、少年漫画のキャラような奴でして……。
少年漫画のキャラは、少年漫画では活きるけど、オトナ世界はちょっと苦手だ。苦手だけど、現実世界に生きる私は無限に14歳で居ることはできなくて、オトナになってしまった。

オトナになった少年漫画のキャラには、苦手なことがたくさんできた。

そのうち一つは「断ること」だ。

え?少年漫画にも「だが断る」が上手なキャラもいるでしょうって?
違うねん、あれは、少年漫画なのに「だが断る」から、そのギャップに目が奪われる。それが個性なのよ。

少年には、断る場合は理屈と謝罪が必要だった。
「○○だから受け容れられない」「要望に沿えずごめん」
努力友情勝利が報われるロジックの中では、友人の大事な望みを跳ね除けるにはそれだけの熱量が必要なのだ。


さて。舞台を3次元に、30代のオトナの会話に移そう。時を戻そう(?)。

旧い友人同士のグループチャットで、1人があることを依頼した。
その依頼は、本人にとってはホンの軽いものだった。おそらく、その裏側に実はすごい労力がかかるということを知らず、他の頼み事と同列に話題に上ったのだ。

……頼まれた側は、できないわけじゃないけど、ちょっと嫌な気持ちになるのでは……?

もつこ少年は心配した。「えっとえっと……よく知らないけど、それはちょっと難しいのではないかな?」などと無駄口を挟んだりなどした。もつこ少年は、少年であると同時にめちゃくちゃ老婆なのだ……老婆心が超発達しているのだ。
そして「この流れヤダヤダ~、誰も悪くないのに何となく空間が歪んでしまうやつでは~~!そわわ!」と語尾が「そわわ!」になりそうにもなった(なってない)。

どうなっちゃうの~!?と思いながら事の顛末を見守っていたのだが……結果から言うと、どうもならなかった。依頼された側が、びっくりするほど見事にその依頼をスルーし、その依頼以外への回答だけをしたのだ。

「○○(別の話)はできますよ~!他に必要な人いる~?(おそらく、「スルーするってことは嫌なんだな~って思ってね~わかるよね~」の意)」

もつこ少年はまだまだ「そわわ!」としていたよ。けれど、もう誰もそのことには触れなかった。

依頼した側も、された側も「察した」し、「許した」のだ。
誰も「熱量を投じて断る」ことをしないまま話は終わった。

とてもびっくりした。断る側は、しっかりとした理由説明も謝罪もない。不慮の依頼をしてしまった側も、これまた理由説明も謝罪もない。
でも、ゆるしてる。すごい!文字のチャットなのに、文字を超えてる。お互いがゆるしているし、揉めてないし、テキストの流れと同時に感情も流れて行って、私のびっくりだけが残り……やがて、目から落ちたウロコが風に舞った。

勿論、もともと旧友同士というバックグラウンドのなせる業でもあると思う。
ただ、オトナ同士って、「あなたオトナでしょう?だから察せるよね。だからゆるすね」という、言外のコミュニケーションが成立しうる。なぜなら、オトナ同士だから。その信頼をしているからね/あるいは、ひっくり返すなよ。
そして、悔恨を残さない。オトナは時が流れるということを知っているのだ。

ロジックはループして鶏と卵になる。
少年はまだ、そのロジックを使いこなせず、ひたすらびっくりしているけれど……何も残っていないことの尊さに、少しだけ背筋が伸びた。


追伸 「金のジョウロ欲しい」は他の「金の○○欲しい」みたいに言っちゃあかんなのですじゃ(小声)(勝手にネタにしてごめんなさい)

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