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カルテに書いた本 ここ数年 その2

2023年6月、いわた書店の一万円選書に当選しました。
どんな本が好きなのか、noteにも残しておこうと思いました。
幼い頃から今までを振り返って、時系列で書いています。

以前書いた記事はこちら


14冊目『わたしはオオカミ』アビー・ワンバック

2020年、一斉休校になったころ、友人から「Voicy」を教えてもらい、家事をしながら聞くようになりました。そこではあちゅうさんを知りました。はあちゅうさんが『わたしはオオカミ』について語っていたのを聞いて、気になって読みました。

以前勤めた学校で自己申告書を書いて副校長先生に提出し、面談したときのことを思い出しました。その学校には7年勤めましたが、その間に産休・育休2回ずつ取りました。それまで仕事を生活の真ん中に置いていた私は、世間から取り残されるのではという不安が拭えませんでした。学校という現場を離れて、インプットする時間がほとんどないまま育休の1年を過ごしました。それで復帰して、自分が使いものになるのか、という不安がありました。

以前のように仕事を第一に精一杯やりたいけど、実際には初めての子育てでわからないことばかりでした。近くに住む夫の両親のサポートがあったからなんとかやってこれましたが、発熱のお迎えコールがあっても自分が行けないから心が痛みます。割り切って仕事ができればいいのですが、自分の子どもを自分で看たいという思いも捨てきれません。アクセルを踏みたいけど、サイドブレーキを常に引いているような、そんな感覚で仕事をしていました。そんな思いから私の自己評価は低く、『達成できていない』にチェックをつけて自己申告書を提出しました。

副校長先生は「自己評価を低くつけているけれど、できていることがたくさんある。もっと堂々と自分の実績をアピールしたらいい。」というような意味のことをおっしゃってくださいました。もがいてもがいて仕事をしていたけれど、自分の仕事ぶりをそんなふうに評価してくれる人がいるというのは、涙が出そうなくらいありがたく嬉しいことでした。

『わたしはオオカミ』を読んだとき、その時のことが思い出されました。遠慮がちな方がいいとか、謙虚な方がいいとか、私にはそういう価値観がありました。目立とうとしたり、自慢げなのは、品がない、はしたない、というような感覚がありました。人間関係を円滑にするためには控えめであることが大事と思ってきました。しかし、全てにおいて、いつでもそうである必要はないと、自分の価値観を揺さぶられました。自分を卑下する必要もないし、自分がこれまで積み上げてきてできたことは「できました」と言えばいいんだと思いました。上手くできたかどうかの評価はあとから出ることもあります。まずは自分が何をどれだけやったか、事実を語ればいいと思えました。

自分が虐げれられているつもりは全くなく生きてきたけれど、女性ということで、社会的な役割の中で、自分を型にはめてそんなもんだと思って生きてきたのかもと思いました。

心に響くところにふせんを貼っていったら、見事にふせんだらけになった本です。人生で一番ふせんをはった本です。

15冊目『老後とピアノ』稲垣えみ子

稲垣えみ子さんの本を初めて読んだのは、『もうレシピ本はいらない』だったと思います。妹が薦めてくれました。『魂の退社』『人生はどこでもドア   リヨンの14日間』『一人飲みで生きていく』なども読み、『老後とピアノ』へとたどり着きました。

今は全く弾きませんが、私は幼稚園ぐらいから高校までずっとピアノを習っていました。始めたきっかけは幼稚園の先生に憧れたからでした。でも、実際に始めてみると、ピアノの先生に叱られないように、がっかりされないようにと、ただただその思いだけで練習を毎日していました。上達したり、褒められたら嬉しいけど、ピアノの練習自体はそれほど楽しいとは思っていませんでした。同じピアノの先生に習っていた少し年上の生徒さんが、「練習が楽しい。」と言っていて、「え〜!そんな人もいるんだ。」とびっくりしたことなどを思い出しました。

緊張するし、上手く弾けなかったらどうしようとものすごく不安にもなるんだけど、毎年のように出ていたピアノの発表会は、貴重な体験だったなあと思います。大人になって、いろいろな試験や面接や発表など緊張する場面もいろいろ経験してきたけれど、小学生の頃のピアノの発表会の緊張は別格だったなあと思います。

昨年度末に、勤めている小学校で、6年生のお別れ会がありました。その時、一人の子がウクレレの演奏を披露してくれました。その学年のテーマ曲を弾いてくれました。素朴で優しい響きが体育館をいっぱいにしました。とっても素敵でした。私は自分の成長のためというか自分のために練習して弾いていたけど、こうやって誰かに喜んでもうための演奏っていいなあと改めて思いました。

転職し、少し時間に余裕ができたので、家を片付けたり、noteを始めたりしています。自分の生活を豊かにすることを増やしていきたいと思います。


まとめ

本を読んで、いろいろな生き方や考え方を知るのが好きなんだなあと改めて思いました。娯楽として、暇つぶしとして、今まで本を読んできたのだと思っていました。自分の生き方や考え方の根幹に、本を読んで感じたことや考えたことがあったんだ…ということに、こうして書いていて改めて気づきました。noteを始めていなかったら、一万円選書でカルテを書く機会がなかったら気づけなかったことでした。書くことが大事、言語化することが大事、と知ってはいたのですが、『知る』と『わかる』は違うんだと腹落ちしました。


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