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甲田学人さん作品まとめ(2024.07更新)

甲田学人さん作品の感想を書き溜めた読書ログです。初出はついった+えっくす。
最新作の「ほうかごがかり」シリーズまで。


本文中にもありますが、中学からの友人に「Missing」シリーズをおしえてもらったことが、甲田作品の読者になったきっかけです。
いちばん好きなのは、「断章のグリム」シリーズ。童話になぞらえられた悪夢を紐解く過程が大好きで、でも描写はいちばん苦手だし完全なるトラウマエピソードもあります。それでも読み返してしまう魅力があると、私は感じています。
その後の「ノロワレ」シリーズも「霊感少女は箱の中」シリーズも好きなのに、完結できないままフェードアウトになっているのが歯がゆい……。




▼『夜魔』

たいへん久し振りに『夜魔』読み直しました。
詠子ちゃんは最初から自覚的な魔女のイメージだったけれど、神野さんの文字通り影があれほど強いとは。
2020年11月2日


▼ 「Missing」シリーズ

 折に触れて旧版を読み返し、新版が出てはそれを読み、結局また旧版に戻り、などをしています。
 いえ、新版のメディアワークス文庫が決定版だとは判っているんですよ。改稿されてるし。掌編あるし。それでも翠川さんイラストの旧版が読みたいときがあるわけです。


▽『Missing 神隠しの物語』

新装版が出たのを期に、『Missing』新旧版を読みました。
それまでラノベと言えば「スレイヤーズ」シリーズだった異世界ファンタジー脳の私には、現代でありながら異界、日常でありながら異常の「Missing」シリーズは、そりゃあもう衝撃でした。最初に貸してくれた友人に感謝しかない。
2020年6月1日
 +
あえて旧版で読みました。
異存在が「物語」によって媒介されるという理論、昔は雰囲気で成程としか思っていなかったけれど、改めて読んで説得力がすごいと感じます。語られない怪異は存在できない。存在できていたとしても知覚されない。
2023年10月27日

▽『Missing 2 呪いの物語』

新装版『Missing 2 呪いの物語』読みました。
ここから私の呪い論好きがはじまったと言っても過言ではない……いや作中では亜紀ちゃんが苦しめられるのでアレですが。知られないと効力のない呪いが、ファクシミリで送り付けられるという効率性。おぞましくも感嘆してしまう。
2020年8月13日
 +
あえて旧版で読みました。
ファクシミリという道具立ては古びてきてしまったけれど、相手に順番通り知覚されるという仕掛けは古びることがなくて感嘆します。亜紀の強さと脆さには共感を憶えるし、憑き物が彼女の武器になればと願ってしまう。
2023年10月28日

▽『Missing 3 首くくりの物語〈上〉』

新装版『Missing 3 首くくりの物語〈上〉』読みました。
末子成功譚は長子としては思うところもあるけれど、民話の定型としてはものすごく面白い。この巻を読んでから、作者が亡くなってから刊行される本にかすかな恐さを覚えるようになったよね……笑
2020年12月17日
  +
あえて旧版で読みました。
「奈良梨取考」という題名だけでウワーーー!!! と情緒が乱れます笑。単なる末子成功譚であればまだしも、末子でないと生き残れないとすれば私は真っ先に贄です(三人兄弟の長子より)
2023年11月1日

▽『Missing 4 首くくりの物語〈下〉』

新装版『Missing 4 首くくりの物語〈下〉』読みました。
結実してしまう魔術師。正統な末子にしろ、代わりにされた末子にしろ、どちらも十代の少女が器になるというズレがまたおぞましい。……否、いやらしい……?笑
2020年12月18日
  +
あえて旧版で読みました。
かの老獪な魔術師が、私はきらいではない、です。自我を残すために、それ以外の人間を贄にしようと思うことは許されないとしても。突き詰めた欲が自己研鑽にしか向かわないところが割と好印象です。
2023年11月1日

▽『Missing 5 目隠しの物語』

新装版で『Missing 5 目隠しの物語』読み直しました。
「弟の想二」が"そうじさま"として、コックリさんに、怪談に、都市伝説になってしまうことが、私はたまらなく恐い。本質と違うものに造り変えられていく恐怖。「向こう」に行ってしまった以上、本質などというものはないのかも知れないけれど。
2021年3月29日
  +
あえて旧版で読みました。
空目の弟・想二が題材にされたのだとしたらひどく哀しいものであるはずなのに、そうじさまという名前とその楽しげな見た目から、私にはどうしても悲哀が感じられない。それが自然な在り方のようにさえ、思えてしまう。
2023年11月2日

▽『Missing 6 合わせ鏡の物語〈上〉』

新装版で『Missing 6 合わせ鏡の物語・上』読み直しました。
掌編が文化祭のことから服装のことになるのちょっと戸惑う笑
先輩の描く〈七不思議の連作〉はとても好き、なのだけれど、そこかしこに〈奴ら〉が居ると気付くのは、とても耐えられない。
2021年6月28日
 +
あえて旧版で読みました。
〈鏡に映るモノ〉よりも、〈鏡によって切り裂かれるコト〉のほうに本能的な恐怖を憶えてしまう。易々と切り裂かれる肉体。あっさりと切断される人体。それに伴う、夥しい血飛沫。
2023年11月3日

▽『Missing 7 合わせ鏡の物語〈下〉』

新装版で『Missing 7 合わせ鏡の物語〈下〉』読みました。
〈鏡の向こう側〉が恐ろしいのは、たぶん現実と似て非なるものだから。同じもののはずなのに、違う動きをするもの。見た目は似ているのに、中身は違うもの。己の醜さを映すから。己の弱さを映すから。
2021年8月30日
 +
あえて旧版で読みました。
水中に〈異界〉があることはさほど恐ろしくはない、と感じる一方で、そこから派生したと考えられる鏡の向こうの〈異界〉はひたすらに恐い。あんな板に向こうなどないと、知っているから。
2023年11月3日

▽『Missing 8 生贄の物語』

新装版で『Missing 8 生贄の物語』読みました。
ひとを異界に引き込むための怪談はこれまでも数あれど、ひとを異界に捧ぐための怪談はまた恐怖の質が違う。明確な人間の意志があるおぞましさ。でも『宮司様』たる御三家が揃うのはたいへんに好みです。
2021年11月1日
 +
あえて旧版で読みました。
隠された七不思議の〈七番目〉、内容的にはいちばん平凡なのだけれど、あまりに影響力が強くて〈実用的〉ですらあるのが嫌らしい。シチュエーション的にも嫌らしい!!!
2023年11月4日

▽『Missing 9 座敷童の物語〈上〉』

新装版で『Missing 9 座敷童の物語』読みました。
〈どうじさま〉のお呪いが、何故かとても印象的。座敷童が幸いも災いも運ぶことはこの作品で知ったし、今回の掌編にある宗教論も好き。
2022年1月7日
 +
あえて旧版で読みました。
〈どうじさま〉のイメージは割に可愛いのだけれど笑。亜紀が儀式を行なってしまうことも、形代を池から取り出すときにずるりと掴まれるような描写だったことも衝撃だった。水中という〈異界〉に引き込まれる予兆。
2023年11月7日

▽『Missing 10  座敷童の物語〈中〉』

新装版で『Missing  10 座敷童の物語〈中〉』読みました。
「文芸部」が分裂することは悲劇か。そもそも連帯などはなかったから、これは自然な成り行きに思える。一方で、無個性な「魔女団」が連帯するという喜劇。稜子を選んだ武己、私は好きだよ。
2022年4月20日
 +
あえて旧版で読みました。
力なき存在と思われていた近藤と稜子が、明確な訣別をすることがやっぱり印象深い。魔女と魔術師に比べて、我らが魔王様のできることはあまりに少なくて、絶対的なイメージとの乖離に愕然とするね。
2023年11月7日

▽『Missing 11 座敷童の物語〈下〉』

新装版で『Missing  11 座敷童の物語〈下〉』読みました。
掌編で武己の〈田舎〉について触れられていて、おぉコレはコーダ先生が裏話で言っていた「逃げられた近藤家」だと感慨深くなる。本編では吹っ切れた村神がとてもいいと思います。飼い慣らされては死んでいるも同然だ。
2022年8月2日
 +
あえて旧版で読みました。
神隠しも座敷童も、等しく人間を〈異界〉へ送るモノ。「かつて人間だったモノ」であるが故に、まるで自らの意志で〈異界〉へ連れ帰るように見えていたけれど、ただのシステムでしかなかったことが空恐ろしい。
作中に聞いてはいけない「放課後のチャイム」が出てきて、ワァーーー新作の下地はココかァーーー!!!とひとりで悶えておりましたッ
2023年11月7日

▽『Missing 12 神降ろしの物語〈上〉』

あえて旧版で読みました。
ここにきて「受けてはいけない着信」という平凡な怪異? と思ってしまったけれど、電波とヒトならざるモノの親和性が高いのなら、これはつまり「直通」で、直接的な干渉ということか。それなら納得できる。
2023年11月8日

▽『Missing 13 神降ろしの物語〈下〉』

ようやく新装版で『Missing 12 神降ろしの物語〈上〉』『Missing  13 神降ろしの物語〈下〉』読みました。
〈魔女〉詠子を疎んじ抗いながら、〈魔女〉のおかげで、武己以外は在るべき場所へ収まったとも言えてしまう皮肉。せめて、武己と稜子はこの先も一緒に居てほしい。
2022年12月30日
 +
あえて旧版で読みました。
この物語は〈喪失〉で終わるしかないことに、いつも打ちのめされてしまう。生死不明の空目、あやめ、村神。さすらう亜紀。枠の外に出された近藤と稜子。残されたのは空っぽの学校と、都市伝説に潜む〈影〉だけ。
魔王様とあやめが〈神隠し〉となって永劫を過ごすのは美しいし、〈犬神〉の鋳型を利用された亜紀がむしろ〈使徒〉を返り討ちにするのは好き。でも魔術師の敗北は残念で、魔女の離脱は勝ち逃げだし。なにより、村神までも行方をくらましてしまったことをすっかり失念していて、そのダメージが大きい。
これまでずっと、亜紀に感情移入しやすい自覚はあったけれど。私は村神にもかなり思い入れていたのだなと気付きました。〈普通〉から逸脱できるだけの才覚をもちながら、〈異界〉に対しては思うように動けないふたりが、痛ましくて愛おしいのだと。
2023年11月9日


▼ 「断章のグリム」シリーズ

 童話の見立てをする構成があまりに好きで、じつは甲田さんのシリーズでいちばん好きです。でも描写はいちばんトラウマです。


▽『断章のグリム 1 灰かぶり』

『断章のグリム 1 灰かぶり』読み返しました。
王子様が救えなかった、灰かぶり。
童話の見立てがとても好き。ひとがひとならざるものに変質する、よりも、ひとならざるものになってひとを物理的に壊す、ほうが恐ろしい。その描写に胃がひっくり返りそうになる!
2017年5月8日
 +
罪を償わなければ幸せになれないシンデレラ。
私は「グリム」シリーズの登場人物たちの距離感がいちばん好き。配役当てもとても好き。童話解釈はたいへんに好き。展開自体はトラウマになる率も高いけれど!
2020年6月5日

▽『断章のグリム 2 ヘンゼルとグレーテル』

『断章のグリム 2 ヘンゼルとグレーテル』読み返しした。
魔女殺しのグレーテル。
グリムが好きなのに苦手な理由を、泡禍の描写ゆえだと思っていたけれど、じつはそれ以上に、少女ら少年らに向けられた悪意が苦手なのではないか、と今更に気付く。その悪意が悪夢を招く。
2017年5月9日
 +
人喰い魔女になるしかないグレーテル。
この解釈で初めて、グレーテルの罪を意識した記憶が。
2020年6月10日

▽『断章のグリム 3 人魚姫・上』

『断章のグリム 3 人魚姫・上』読み返しました。
泡となるのは、誰のせい。
初読時は誰がどの配役か、下巻が出るまでずーっと考えていた記憶が。灰かぶりが灰を呼ぶように、人魚姫は泡を呼ぶ。
2017年5月10日

▽『断章のグリム 4 人魚姫・下』

『断章のグリム 4 人魚姫・下』読み返しました。
何もかもを失って置いていかれたのは、人魚の王様。
断章保有者の異常性を理解したのは、おそらくこのとき、神狩屋さんの欠落から。そして、このあと訪れる群草さんの「悪夢」を思い出して、どうしたら安寧をあげられるのかと、何度も何度も考える。
2017年5月11日
 +
人魚姫 上・下を読み返しました。
初読時、下巻が出るまで「人魚姫」の配役を考え続けた思い出······笑
「黄泉戸喫」こと「八百比丘尼」はネタとしてとても好き。そうなった理由はたいへんきついけれど。
2020年6月16日

▽『断章のグリム 5 赤ずきん・上』

『断章のグリム 5 赤ずきん・上』読み返しました。
赤ずきんが受ける罰は、何。
田上姉妹の「自分のものではない恐怖」で記憶を喰われ続けているという異常さに、背筋が冷える。狼は、いつから街という森に棲みついていたのだろうか。
2017年5月12日

▽『断章のグリム 6 赤ずきん・下』

『断章のグリム 6 赤ずきん・下』読み返しました。
ごまかし続ける、赤ずきん。
隣人が異形でも異形になりかけでも、ごまかさなければ、「普通」は訪れない。そんな矛盾もやがて、恐怖になるだろうに。
2017年5月13日
 +
赤ずきん 上・下を読み返しました。
<泡禍>はいつも起こる端から見境なく人間を呑み込むと思っていたので、成り代わって年単位が経過するという起こるおぞましさに心底ゾッとする。狂っている自覚があるかないかが、<騎士>と<異端>を分けるもの?
2020年6月22日

▽『断章のグリム 7 金の卵をうむめんどり』

『断章のグリム 7 金の卵をうむめんどり』読み返しました。
卵から孵ったのは、化物。
表題作も「アリとキリギリス」もトラウマ案件です。
2017年5月14日
 +
トラウマボックスな中短編。とくに表題作の、命を費やして傷付けようと思った相手が生き残るという憤り! 人間の悪夢としては、さもあらんとしても。
2020年6月26日

▽『断章のグリム 8 なでしこ・上』

『断章のグリム 8 なでしこ・上』読み返しました。
枯れない花に変えられたのは、誰。
「なでしこ」のそもそもの発端に理不尽さを感じてしまう。神が余計な力を授けなければ、罪も罰も生まれなかったのではないか、と。
2017年5月15日

▽『断章のグリム 9 なでしこ・下』

『断章のグリム 9 なでしこ・下』読み返しました。
死者が咲き誇る、なでしこ。
若きいのちを繋ぐための、群草さんの覚悟がただただ苦しい。ほんの何十年か、は、ひどく長い。悪夢と過ごすなら、なおさらに。
2017年5月16日
 +
なでしこ 上・下を読み返しました。
心底恐ろしいと思っているのに、若者のために〈異端〉となることを選ぶ群草さん。その覚悟と慈愛に、私はいつでも胸を打たれる。
2020年6月29日

▽『断章のグリム 10 いばら姫・上』

『断章のグリム 10 いばら姫・上』読み返しました。
いばらの中で眠るのは、誰。
この巻を読んで、生まれ変わりにも故人と同じ名をつけることにも嫌悪感を抱くようになったんだったなと思い出す。あと人体から芽吹く描写は殊更に駄目だった・・・・・・。
2017年5月17日

▽『断章のグリム 11 いばら姫・下』

『断章のグリム 11 いばら姫・下』読み返しました。
生き返りたくなかった、いばら姫。
失わせた命を甦らせたがるのは、生者のためだけの贖罪でしかない。いばらの城は、朽ち果ててしまった。あの家族を道連れに。
2017年5月18日
 +
いばら姫 上・下を読み返しました。
〈生まれ変わり〉を、誰かの名を子に付けることに抵抗をもったのは、この「いばら姫」から。芽が出る描写はいまでもトラウマーーー!!!
2020年7月3日

▽『断章のグリム 12 しあわせな王子・上』

『断章のグリム 12 しあわせな王子・上』読み返しました。
剥ぎ取られた黄金は、美徳か。
相手がひとならざる化物であっても、姿形が同じなら、縋る。狂ってなどいないと、願ってしまう。
2017年5月19日

▽『断章のグリム 13 しあわせな王子・下』

『断章のグリム 13 しあわせな王子・下』読み返しました。
誰より理解した王子を救えない、ツバメ。
病院で起こる泡禍パンデミックが、最初の「シンデレラ」と似通っていながら、より無差別で。「死んでも共に」を願う可南子さんは美しいと思うけれど、それをさせられる瀧さんは、哀れだ。
2017年5月20日
 +
しあわせな王子 上・下を読み返しました。
まともな顔をして狂う。その受け入れ難さ。あの病院の惨状も、とてもきつい。
2020年7月6日

▽『断章のグリム 14 ラプンツェル・上』

『断章のグリム 14 ラプンツェル・上』読み返しました。
ラプンツェルが引きずり込んだのは、何。
大切なあのひとに似た「生き返り」が、まだ生きているひとたちを絶望を救っていたとして、そのために何度も何度も「悪夢」をくり返した彼を悼むどころか、それを奪ったに近いアリスを憎悪する、なんて。
2017年5月21日

▽『断章のグリム 15 ラプンツェル・下』

『断章のグリム 15 ラプンツェル・下』読み返しました。
死者を招いた、ラプンツェル。
誰もが誰かの力にすがって、醜いことこの上ない。だから独りで立つ雪乃さんは美しい、のに、彼女だってもう限界だ。
2017年5月22日
 +
ラプンツェル 上・下を読み返しました。
〈泡禍〉を受け入れられなかったことがすでに悲劇の因子。死んだ人間を取り戻そうとしてはいけない。あと私は責任を取れる神狩屋さんより、責任を取れない勇路くんのほうに苛立つ。
2020年7月20日

▽『断章のグリム 16 白雪姫・上』

『断章のグリム 16 白雪姫・上』読みました。
小人によって救われない、白雪姫。
白雪姫の泡禍は雪乃さんのものだと思っていたし、蒼衣の泡禍はアリスだと疑っていなかった。アリスになった泡禍なのだから、当然違うはずなのに。
2017年5月23日

▽『断章のグリム 17 白雪姫・下』

『断章のグリム 17 白雪姫・下』読みました。
そこらじゅうにばらまかれた毒林檎、と、ふしぎの国の恐怖に怯えてきたアリスとウサギ。
死にたい彼が死ぬために、見えるものも見えないものも失われた。生き残ったアリスと雪の女王が、少しでも長く、悪夢から目覚めたままで居られますよう。
2017年5月23日
 +
白雪姫 上・下を読み返しました。
神狩屋さんの計算された狂気が本当におぞましい。何もかも失ってなお生きる、アリスの少年と雪の女王。湧き出で続ける悪夢は尽きないのに、それでも人を救おうとする彼ら彼女らに、ほんの少しでも安寧を願うばかり。
2020年7月31日


▼「時槻風乃と黒い童話の夜」シリーズ

▽『時槻風乃と黒い童話の夜』

『時槻風乃と黒い童話の夜』読み返しました。
シンデレラは、王子様にも魔法使いにも頼らない。
グレーテルは、その身を賭して魔女を殺す。
めんどりを捌き続けた農夫は、すべてを失う。
2017年5月28日

▽『時槻風乃と黒い童話の夜 第2集』

『時槻風乃と黒い童話の夜 第2集』読み返しました。
魔法の鏡は、唯一の友であるお妃を殺す。
魔女のままでは、ラプンツェルという幸せな姫にはなれない。
2017年5月28日

▽『時槻風乃と黒い童話の夜 第3集』

『時槻風乃と黒い童話の夜 第3集』読み返しました。
十三番目の魔法使いは、いばら姫にも王子にも従者にも、永劫会うことはできない。たった一人、目覚めたまま、生きていく。
2017年5月28日


▼「ノロワレ」シリーズ

▽『ノロワレ 人形呪詛』

『ノロワレ 人形呪詛』読みました。
ひとを模してあるというだけで、それに込める情愛や呪詛は強くなる。まして、名前を与えれば、なおのこと。ひとのかたちは、ひとのこころの内側の何かをより深く写し取る、らしい。
 +
夢人の遭った「鬼」の存在は不可解だけれど、信乃歩に向けられた妬みの人形呪詛はよく解る。けれど、術者の痛みなしに、完全な呪いなどできるはずもない。
2017年5月29日

▽『ノロワレ 弐 外法箱』

『ノロワレ 弐 外法箱』読みました。
法に外れた箱に込められるのは、嫉妬。犬など生ぬるい。ひとゆえに嫉妬し、ひとゆえに憎む。外法の箱には、パンドラの箱のように、望みは残っていない、らしい。
2013年9月16日
 +
「何か」の恨みを利用する外法に、ひとでなければ持ち得ない浅ましさを感じる。原動力となる恨みの矛先を、他者に向け続けられるうちはいいけれど。
2017年5月30日

▽『ノロワレ 参 虫おくり』

『ノロワレ 参 虫おくり』読みました。
死んだ人間が、その死をもたらした相手を呪って何が悪い? 正当な恨みは、あると思う。ひとを呪わば穴ふたつ。ただし、その反動は生きている人間にのみ、当てはまる、らしい。
2013年9月16日
 +
呪いは、自らの命を費やさなければ、相手にほんのかすり傷しかつけられない。そうして復讐が成されたはずだったのに、最後の奴らには単なる傷しか負わせられないなんて! 理不尽に思えてしまう私は何様なのか。
2017年5月31日

▽『ノロワレ 怪奇作家真木夢人と幽霊マンション』

帰りがけに『ノロワレ 怪奇作家真木夢人と幽霊マンション』を読んでいたので、自宅マンションのエレベーターから降りてきた住人にガチでビビるなど!!!
2016年6月2日

『ノロワレ 怪奇作家真木夢人と幽霊マンション』読みました。
呪われていたのは土地ではなく、ひと。親なのに、親だから、呪う、報復する。どうしてもどうしても、私は呪うほうに肩入れしてしまう。けれど、「出て行け」と怒鳴りつけたのはきっと、一抹の優しさだった、はず。
2016年6月4日
 +
善人よりも親で在れ。復讐は、成されてしまえ!!!・・・・・・ああ、でも、奪われた痛みは恨みを呼ぶ、から、断ち切られたことを、喜ばなくてはならない。あの子どもたちに罪がなかったことは、判るから。
2017年6月1日


▼「霊感少女は箱の中」シリーズ

▽『霊感少女は箱の中』

『霊感少女は箱の中』読みました・・・・・・
ものすごく面白かった・・・・・・っ!霊感少女たる瞳佳が中心の心霊メルヘン、たいへん好みです。瞳佳と真央のキャラクタがいいし、ミーディアムという設定もすごくいい。呼んじゃう系女子、アリです!!!アニメイト版掌編のノリも好き笑
2017年1月11日
 +
復讐が為されても、そのために彼女が極小の「地獄」に囚われるのは、そう簡単に承服できない。堕ちるべきは、もっと別の者。瞳佳も真央も、霊に、棺に、囚われたまま。
2017年8月19日

▽『霊感少女は箱の中 2』

『霊感少女は箱の中 2』読みました。
学校という場はなんと濃縮された悪意の箱か・・・・・・と思っていたら、仕組まれた箱であったなどと。『Missing』のときのような自発的な箱ではなく、餌にするための箱庭とすら言えるなど!
2017年8月20日

▽『霊感少女は箱の中 3』

ようやっと『霊感少女は箱の中 3』読みました。
薄いと思ったら続いてる!!!笑
新キャラ・調ちゃんがかっこよくて好きだよ。
2018年4月8日


▼ 「ほうかごがかり」シリーズ


▽ ほうかごがかり 1

https://dengekibunko.jp/product/houkagogakari/322304000357.html

ノベコミ冒頭では「主人公が小学生男子……甲田せんせいが書くには幼すぎない……?」と身構えてしまったのだけれど、紛れもないコーダ・メルヘンが構築されていて素晴らしかったです。
2024年1月11日

▽ ほうかごがかり 2

https://dengekibunko.jp/product/houkagogakari/322307000326.html

「まあや」ちゃんがめちゃくちゃ尾を引くの、6人しか〈かかり〉が居ないからかなと思っていたのに、そんなたった6人の仲間が減ってゆくスピードが速すぎて安定のコーダ・メルヘン……
2024年2月11日

▽ ほうかごがかり3

https://dengekibunko.jp/product/houkagogakari/322304000358.html

どの子も誰かのために死んでいいと思っている理由が、献身と自己肯定の狭間にあって、愛おしくて痛ましい。無名の存在よりも、私は太郎さんが何者なのかのほうが引っ掛かる。
〈学校わらし〉の永遠が、私には「断章のグリム」の群草さんに重なって本当に恐ろしい。安寧のない永遠は地獄でしかない。それを子どもたちが味わうというなら、なおさら。


コーダ・メルヘンのシリーズ続刊を待ちます。

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