人の育ちに必要なものはとてもシンプルなのです
「スマホに子守をさせないで」
ということばを耳にしたことがありますか?日本小児科医会がメディアとの接触時間を1日2時間までにするように呼びかけているのです。理事の内海裕美先生が、岡山の講演会でこう訴えた、と山陽新聞の記事で読みました。
「どんなに便利な道具が開発されても、人間の育ちに必要なものは昔から何も変わってない。それは、①眠ること②食べること③遊ぶこと(遊びはやがて学びになる)④愛されることという。」
一昔前、子守は必ず「人」がしていたはずです。お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、兄、姉、親戚、近所のおばちゃんやおねえちゃん。
ところが、メディアの進化により、TVが子守をする時代もあっという間に過去のものとなり、スマホが子守をしています。もしかするとAIがする時代もそう遠くないかもしれません。
それで、子どもたちの心は健全に育つのでしょうか。
もちろん、晒される時間はご家庭それぞれで、最低限上手く利用しているお母さんがいれば、◯歳までは見せませんというご両親もいます。
とは言え、私もその文明の恩恵に身をゆだね、今ではスマホはなくてはならないものです。私の子どもたちもある年齢になると、時代の流れでどうしてもスマホを持つことになってしまうし、スマホ以外のメディアには早くから触れています。子どものスマホ所有率も年々アップ、しかも低年齢化しています。それに比例してか、睡眠時間の短さ、就寝時間の遅さは日本は世界でのトップクラスです。
それで本当にいいのでしょうか。
そんなとき、あるお母さんから相談を受けました。
朝、化粧をするために5か月の娘にスマホを持たせていた。じっと見ているのでいつも見せておくんです。でも顔の上に落ちてしまって目に当たりました。すぐに泣いたのだけれど、大丈夫でしょうか。
5か月のお子さんの小さな額にはスマホがあたった跡がありました。幸い傷や出血はなく、軽い皮下血種のみで眼にも異常はありませんでした。でも何か気づきませんか?5か月の乳児がしっかりとスマホを持つことができたでしょうか。おそらくまだ柔らかい軽いものが持てるくらいで、スマホのような硬くて薄い重量のあるものは保持しておくのは難しいと思います。おそらく胸のあたりでなんとなく手に立てかけていたの状態だったのでしょうか。しかも、その月齢では、視力も筋力も未発達です。まだ上手に手を動かすこともできない、しっかりと何かを持つということもできないその子は、見たいからではなく目の前の動く映像から目が離せなかっただけなのではないでしょうか。持っていると意識のないその子が、手を動かした瞬間に顔にスマホが倒れてきたんだと思います。
傷は大丈夫ですよ。と伝え、まだスマホは持てないこと、楽しくて見るのではなくこの時期の赤ちゃんは動くものから目が離せないこと、メディアではなく、お母さんとの関りを大事にしてほしいことを伝えました。
子どもたちの「育ち」に必要なものはなんだろう。
時代だから仕方がない。ではなく、こんな時代だからこそ育ちに必要なものをベースに大人が考えて行動してあげたい。
よく遊び。よく寝て。遊んで感性豊かに一日を過ごす。一緒にそれを共有する子どもを大切に思う人がそこにいること。
ただ、それだけでいいのだけれど。
小さな積み重ねが誰かのために。いただいたサポートは今後の親子支援の助けになります。先ずは、今企画中の「今どう考える?子どもの育ち」で募集した作文の冊子作成のために使います!よろしくお願いします。