映画へ、映画の方へ
初めまして、こんにちは、“もっと映画を観たい人”というアカウント名で映画のことをつぶやいている川端です。知人からの勧めでnoteを始めてみました。まずは自己紹介と言いますか、なぜnoteを始めようと思ったかを…
思い出、もしくは遍歴
「あんた、試験期間か?」
リビングの机に積み上げられたレンタルビデオ屋の袋の山を見て母が中学生だった私に問いかけた。あれから20年ほどたった今では私の棚は映画のDVDやBlu-ray、映画関係の書籍で埋め尽くされている。
思えば物心ついた頃から私はまわりの友人たちがポケモンや部活動などその年相応の物事に熱中するのを尻目に映画の方へと向かっていた。少年時代は毎週末テレビでやっていた映画が楽しみで仕方なかったし、今はもう無いけれどレンタルビデオ屋が近所に乱立し価格競争が起きた時は連日嬉々として通っては観るを繰り返していた。テスト期間など中学高校の授業が少ない時はまさに映画を集中してみれる期間だったのである。
「ちょっと映画見てくる」と親に言って始めて一人で映画館に行ったのも中学生の頃。未だに週二本は映画館で見ないとなんだかソワソワします。
高校に入ると皆が携帯電話を持ち出す中「携帯いらんから映画代をカンパしてほしい」と親に頼み“ふや町映画タウン”という途轍もないコレクションとしか言いようの無い個人経営のレンタルビデオ店に入り浸り古典映画鑑賞に勤しみ、VHSからDVDへの転換期も相まって安くなった中古VHSを買い漁る日々。そんな私が大学で映画の勉強をすることになったのは当然の流れで、入学後先生から“そんなに映画を観ているのなら試験受けなくても入れたよ”と言われたのはここだけの話。大学時代のアルバイトはこれまたレンタルビデオ屋さん、もちろん映画を安く借りられるからです。
大学卒業後の10年間は…まぁ社会勉強。のらりくらりとビデオ屋の深夜バイトでこっそりと映画を観るだとか、山形に映画祭ありと噂を聞けば夜行バスに乗り込み駆けつけるだとか、友人の映画制作を手伝うだとか、友人のウェブマガジンに文章を寄稿するだとか、映画館の館長だった友人に呼ばれ一緒にラジオを始めたりもしたし友人を招いての小さなサロンというか映画上映会をしたこともありました。兎にも角にも映画漬けという言葉がぴったりな人生を送ってきたわけであります。ちなみに見た本数は一万本を見たところで“数は重要じゃ無いよな”と思いやめました。
なぜ映画が好きなのか、なぜnoteを始めたか
では何故私はここまで映画を愛し、執着しているのか、さらには人生の三分の一が過ぎ去った今更どうして映画への恋文を再びしたためようと思ったのか……
私が生まれ育ったのは京都の老舗和菓子屋で、お茶会に合わせ1年の和菓子ルーティーンを何百年もこなしてきたのが我が家の家業です。おそらく多くの人が興味や感嘆、あるいは憧れなどを抱く世界でしょう。ですがそこは極めてドメスティックで閉ざされた世界でもあります。もちろんその世界の美学、美徳というものは限りなく私に影響を与えています。それでもそのクローズドな世界の中で生まれ育った私にとって映画は世界を観る“窓”であり、その“窓”を通じて自分自身と対話する“鏡”の役割を果たしてきました。そしてまた幅広い世界、世代の人との対話を生むツールであるとも思っています。
最近は店の中で色々任されることが多くなってきました、きっと誇っていいことなのでしょう。
世の中も日々凄まじい勢いで変化しています。そんな中私の中には強烈な不安のようなものが存在するのもまた事実です。“窓”が閉ざされてしまうのでは無いかと…。その不安を払拭するために今一度“窓”を大きく開かなければいけません。“鏡”を磨かないといけないのです。
あわよくばその“窓”を共に覗く人が一人でも多くいますように…