アクター・ネットワーク理論
ブリュノ・ラトゥール「アフターネットワーク理論」
アクターネットワーク理論(Actor-network-theory)は、社会科学における理論的、方法論的アプローチのひとつである。社会的、自然的世界のあらゆるもの(アクター)を絶えず変化する作用(エージェンシー)のネットワークの結節点として扱う点に特徴がある。
ラトゥール(Bruno Latour)は、1947年フランス東部ブルゴーニュ地方に生まれ、1975年にトゥール大学で哲学博士を取得。2006年までパリ国立高等鉱業学校教授。2017年までパリ政治学院で教授を務めた。現在は、同大学名誉教授。西洋近代の主客二元論的な思考を根底から批判し、独自のアクターネットワーク(行為者組織網)理論を提唱した。
ブリュノ・ラトゥールは、堀口真司訳『法が作られているとき――近代行政裁判の人類学的考察』の中で、法の決まり方は、不変的な真理体系に基づいて作られているのではなく、アドホック(限定的)な要因、職員の関係性や、主観、阿吽の呼吸によって作られており、実は未開民族の政とそれほど変わりはないと指摘する。
アクターネットワーク理論は、社会学から生まれ、哲学、歴史学、心理学、人類学、芸術などに応用されている。この理論は、人類学において文化を捉える場合に、「人間だけが多様な文化(主体)をもっていて、反対に自然は単一で不動のもの(客体)である」という近代二分法の認識を否定する。そして、社会的なモノは、もっと異種混合したハイブリッドなものから産まれてきていることを基軸に、人間も非人間も同一のモノとして認識対象に組み込んで研究することで、新たな可能性を開拓しようとする。
参照
ブリュノ・ラトゥール(伊藤嘉高 訳)2019『社会的なものを組み直す-アクターネットワーク理論入門-』法政大学出版局
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