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ダンスガード・オシュガー・サイクル Dansgaard-Oeschger cycle



氷床コアから得られた酸素の同位体比を分析することで過去数万年間における地球規模の気温変化を調べることができる。グリーンランドの優良な氷床コアを用いて製作された気候変動曲線が現時点での世界標準となっている。

最終氷期は、非常に不規則だがだいたい 1500-3000 年程度の周期をもって急激に温暖期と寒冷期を繰り返している。これを Dansgaard-Oeschger cycles (events) という。
Willi Dansgaard はデンマークの地球化学者、Hans Oeschger はスイスの地球化学者。 Dansgaard らがこれを発見したのは 1960 年代終わりから 1970 年代初めにかけてで、 北西 Greenland の the Camp Century ice core の解析によるものだが、 この記録はあまり質が良くなかったので注目されなかった。こののち、 1980 年代半ばに Dansgaard と Oeschger らが南グリーンランドの the Dye 3 core で同様の現象を発見してから、注目されるようになった。
Dansgaard-Oeschger cycles は数回で1まとまりを成している。 Dansgaard-Oeschger cycles が弱まりながら何度か続いたあと、北大西洋に氷山によって運ばれた堆積物がたまる事件があって(Heinrich event)、 そのあとに比較的大きな温暖化がある。Gerald Bond は、このことを 北大西洋の海底堆積物で発見した(最初の論文は 1993 年)。それで、このサイクルを Bond cycleと呼ぶ。
Bond Cycle の原因は Hudson 湾の氷床の消長によると思われている (MacAyeal, 1993)。まず、Hudson 湾でゆっくりと氷床が成長する。ある程度以上厚くなったところで、氷床自身の毛布効果により、その底部が地熱によって融ける。すると、氷床が崩壊し、氷山が大量に北大西洋に流失して Heinrich event の堆積物を残す。氷がなくなると、まわりの空気が冷却される効果が弱まって、温暖期が訪れる。 一方、これに対し、10 万年周期の氷期・間氷期サイクルは ローレンタイド氷床全体の消長である。Heinrich event ではローレンタイド氷床全体が融けることはない。
「最終氷期とその変動」九州大学オリジナルアーカイブ(2005年8月1日更新)

なおここでいう最終氷期とは、10万年前から1万年前ぐらいを指す。

ハインリッヒ・イベント詳しい内容については下の記事を参照。

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