進化生態学


キーワード:最適捕食戦略

主にアメリカ人類学(先史学)において、進化(行動)生態学は解釈学的基底として大きな潮流を形成しつつある。

生物の生態や行動を、進化の結果として形成され維持されてきた秩序であると考え、その過程における自然淘汰(とうた)の働き方を考察することで解明しようとする学問。生物が、とりうる挙動(戦略)のなかで、繁殖の成功度をほぼ最大にするものを実際に採用している、と考える適応戦略モデルが有効に用いられる。最適制御理論、統計的決定理論、ゲーム理論などに基づいて解析され、野外での実験や観察データによって検証される。たとえば、動物の餌(えさ)とすべきものの選び方や探し方、移動分散、休眠、成長や繁殖のスケジュールといった生活史戦略、雄と雌の子の割合(性比)や雌雄同体か雌雄異体かなどの性配分については、進化生態学によって統一的理解が進んだ。ヒトを含む動物の社会行動に関する進化生態学的研究は社会生物学とよばれている。複数の種が相互作用するシステムにおいて、それぞれの種が進化する共進化(きょうしんか)coevolutionによって形成される秩序も進化生態学の重要な研究対象であり、競争する種どうしが利用する資源を分かち合ってすみ分けるように進化する形質置換、植物による防御のための化学物質の生産と植食昆虫によるそれの解毒、病原体と免疫システムなどについて研究が進められている。

田村隆2006「実験考古学」『現代考古学辞典 縮刷版』同成社

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