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20230311_演劇ユニット鵺的第16回公演『デラシネ』

作品概要

演劇ユニット鵺的第16回公演『デラシネ』
脚本=高木登
演出=寺十吾(tsumazuki no ishi)
■キャスト
小崎愛美理
堤千穂
とみやまあゆみ
(以上、演劇ユニット鵺的)
高橋恭子
田中千佳子
中村貴子
米内山陽子
(以上、チタキヨ)
川田希
木下愛華
未浜杏梨
佐瀬弘幸

■スタッフ
舞台監督=田中翼・伊藤新
演出助手=中山朋文(theater 045 syndicate)
照明=青木大輔
音響=岩野直人(STAGE OFFICE)
音楽=坂本弘道
舞台美術=袴田長武
宣伝美術=羽尾万里子(Mujina:art)
衣装=上岡紘子
舞台写真撮影=石澤知絵子
映像撮影=浪谷昇平・木村聡志・小崎愛美理
webデザイン=成川知也(MU)
制作=J-Stage Navi
制作協力=contrail・塩田友克
協力=チタキヨ/動物自殺倶楽部/フロアトポロジー/theater 045 syndicate/tsumazuki no ishi/SASENCOMMUN/株式会社地球儀/ケイエムシネマ企画/ザズウ/スターダストプロモーション/フォセット・コンシェジュ/ミッシングピース/有限会社ジェイ.クリップ/ACALINO TOKYO/BOX CORPORATION/Pita.inc/イッカイ・東五反田/Mujina:art/浄風寺

公演日:2023年3月6日(月)~12日(日)
シアター:新宿シアタートップス
上演時間:1時間50分

観劇所感

鵺的は、数年前より観ているユニットになるのだけれど、
実は観ている最中はその舞台空間にある意味の「嫌悪感」を抱きながら観ている。
自分的には観ていて「気持ちのいい」作品ではないのです。
でも、観終わるとまた次が観たくなる、観ずにはいられない…
という不思議なユニットだなと感じています。

観ていて「気持ちがいい」作品ではない理由は、作品の多くが何らかの加害(特に男性から女性に対しての)を主軸に描いた作品がだからだと思います。
描き方も匂わせ程度というものではなく、過度です(笑)痛々しいまでに。

・加害を許してきた業界・世界-共依存

今回の作品はパンフレットにある高木さんの言葉に

ここに描いたいろいろは、すべてフィクションです。いまどきこんな師弟性を布いている人はたぶんいません。けれど核にあるのは「真実」です。なにがどう真実なのかはご想像にお任せします。

公演パンフレットより

とあるように、全体的に「こんな家や人はいないだろ?」と思いつつ、あっても驚かない世界でした。そこにある「真実」ってなんだろう?と自分の中で想像に任せられた中でたどり着くのは、やはりここ数年芸能、映画や演劇業界で表ざたになった、加害(女性差別、性加害、パワハラ含む)とそれを暗黙の了解、必要悪、受け入れるしかないとしてきた業界や人間の共依存と言える関係性だったと思っています。
それが本当に起こったこととして、モザイクのように透けて見える。
そんな作品でした。

鵺的を見るといつも思うし今回も思ったのは、観客が男性と女性(これで分けるものどうかと思うけど)だと相当印象が違う話なんじゃないかとは思います。

・俳優陣みんなおもしろいな

鵺的を観るたびに「演じている俳優さんたちの精神状態、大丈夫かな?」となることが多いのですが、今回も。
でも、なんか今回はその中に楽しく演じている感じが見えて、「すげえな、この人ら」とも思いました。
今回チタキヨメンバーが全員で出演するということで、楽しみにしていたのですが、想像を超ええてよかったです!
千佳子の相変わらずの安定感、貴の透明感と1シーンで強烈な印象を残す存在感、高橋さん(実は高橋さんだけ知り合いではないので敬語)はちょっと驚愕するレベルで鳥肌が立ちました。
そして初めて観たヨナの女優姿。これは、ちょっとあとで本人に話します。

・「withコロナ」と小劇場

これは作品の感想ということではなく、来週13日からマスクが個人の判断に任されたりCovid-19が二類から五類に変更になるので、
特に客席と舞台の距離が近い、観客同士の距離が近い小劇場という空間での「with コロナ」について今回ちょっと考えされられることがあり、「急激に元に戻るのは怖いな」という気持ちが自分の中にあることに気づかされました。

様々な価値観の人が集う空間でもあるし、その団体や劇団がどのように方針を立てているか我々観客も確認してからチケットを取る必要があるし、
製作陣も頭を悩ませているとこなんじゃないかな…。


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