見出し画像

【深掘り】知っておきたい「債務上限問題とQT縮小議論」


-- 債務上限問題とQT縮小 --

今年最初の米国の金融政策を決める会合であるFOMC(連邦公開市場委員会)が1月に開催され、それから3週間が経ったため、その議事要旨が水曜日に公表されました。

その中で、市場が注目したのは次の文章でした。

Regarding the potential for significant swings in reserves over coming months related to debt ceiling dynamics, various participants noted that it may be appropriate to consider pausing or slowing balance sheet runoff until the resolution of this event.
(債務上限問題に関連し、今後数ヶ月間に準備金が大幅に変動する可能性があることから、問題解決までバランスシートの縮小を一時停止、または縮小することが適切かもしれないと複数の参加者が指摘した)


バランスシート縮小に関しては、1月FOMC後の会見においてパウエル議長も言及することがありました。

So the most recent data do suggest that reserves are still abundant. Reserves remain roughly as high as they were when runoff began. And the federal funds rate has been very steady within the target range. We track a, a bunch of metrics, and they do tend to point to, to reserves being abundant.
We do intend to reduce the size of our balance sheet to a level that’s consistent with implementing monetary policy efficiently and effectively in our ample-reserves regime.
(最近のデータでは、準備預金は依然として豊富であることを示しており、ランオフ開始時とほぼ同水準にあります。そしてFF金利は目標範囲内で極めて安定しています。様々な指標を追っていますが、どれも概ね準備預金が十分だということを示しています。
我々は潤沢な準備預金を維持するもとで、金融政策を効果的・効率的におこなえるレベルまでバランスシート縮小をしていくつもりです)

FRBの公式ページより

市場にとっては、バランスシート縮小の停止などに関する判断はまだ先になるという考えを持ちやすい発言だっただけに、今回の議事要旨の中身は前回の会見では示されなかった内容としてやや意外性もあるものとなりました。

そこで、債務上限問題については過去にも少し触れたことがあるため、軽くおさらいしつつ、今回はバランスシート縮小(QT)との関係について気にしておきたいことを短く簡単に解説し、まとめていきます

具体的には、
・債務上限問題とは
・QTとは

を非常に短くまとめたうえで、
・なぜ債務上限問題の中で、QTの扱いに気を付けなければならないのか
ということをまとめています。

("バランスシート縮小"の縮小という分かりづらくなる表現を避けるためにも、QTという言葉を使います)


ここから先は

2,196字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?