22/12/05 (月)「経済統計への反応に変化」寄り前情報
経済統計への反応に変化
金曜日の米国株市場では11月の雇用統計の発表がありました。
まず非農業部門雇用者数をみてみると、前回は+28.4万人に対し市場予想では今回+20.0万人予想とされていましたが、この予想を大きく上回る+26.3万人となりました。
一方で平均時給に関しては前月の+0.5%からの低下が予想されていたのに対し、予想外の+0.6%と上昇してしまいました。
また歴史的低水準を続けている失業率については前月と変わらず3.7%となっていました。
全体としては予想外に強い雇用統計となったため、労働需給の逼迫状態の継続が意識されてか、雇用統計発表直後は米国株先物は急落、為替市場ではドル買いが進み、ドル円に関しては134円周辺から一気に136円手前まで動きました。米長期金利も10年債利回りは3.50%周辺から3.6%を越えるなどといった動きになりました。
株式市場がスタートすると、主要三指数は下落してのスタートとなり、最も安いところでNYダウは1.03%安、NASDAQは1.61%安などとなりましたが、S&P500とともに開始直後を安値にする形で下げ渋り始めました。取引終盤では主要三指数それぞれがプラス圏に浮上する場面もあるほどで、NYダウは実際に小幅のプラスで終え、NASDAQとS&P500も最終的にマイナスで終えたものの小幅に留まりました。
米長期金利に関しては雇用統計後の急上昇から一転上げ幅を縮め、さらにやや下落を続けたために3.5%を下回る形となるなどして、同じく為替もドル円は134円前半に戻る形になりました。
雇用統計後はやや上昇したVIX指数に関してもその後は戻し、さらに20を下回る形となりました。VIX指数が20を下回るのは8月中旬ぶりとなります。
S&P500の業種別指数は上げ下げまちまちな中、フィラデルフィア半導体指数はやや下げが目立ち、1.2%程の下落となっていました。
今日の注目ポイント
先週はADP雇用統計も水曜日にあり、そちらでは市場予想を大きく下回る内容でした。元々ADP雇用統計と労働省の雇用統計では傾向の差が大きく、今年は一時期ADPの方は統計の取り方の改善のために発表を中止していた期間がありましたが、やはりあまり連動性があるように感じませんね……
来週のFOMCにむけてブラックアウト期間となるために今週はFRB高官の金利に関する発言は制限されます。なおかつ注目のイベントが来週に比較すると少ない印象がありますが、それでもFOMCの前週ということで、出てくる経済統計や事前の報道などに注意しておきたいところです。
今晩はISMの非製造業景気指数の発表があります。既に発表された製造業の景気指数は予想より下回り、それに対して今までのような「金利上昇鈍化要因」とみるよりも「景気減速懸念」の見方の方が強い印象を感じました。もしそうだとすれば、それは来週のFOMCの利上げ幅鈍化(75ベーシス上昇から50ベーシス上昇へ)が強く意識されており、利上げ鈍化のための要因を求める声がやや少なくなっているからとも考えられます。ただしこの見方で正しいのかどうかは、実際に12月FOMCの利上げ幅をみてから(すなわち直前のCPIで妙な上振れなどがなく、突然の方向転換がないか)と、さらに来年以降の利上げペースが来週のFOMCでアップデートされる「Summary of Economic Projections」の中でどのように示唆されるかをみてからということになると思います。
また、ドル円の動きをやや気にしておきたいと思います。ドル円は現在134円前半となっており、先月の頭時点では148円だったことを考えると、雇用統計を終えてもなお急速に円高方向に振れている印象があります。来週はFOMCをはじめとする各国の中央銀行の政策の会合がありますし、日銀も再来週に予定されています。ここ最近の日本株の上昇の勢いが止まっている原因が為替なのかは分かりませんが、株価の動きと合わせてしっかりとチェックしておきたいところです。
指数・今後の重要イベント
終値
Dow 30 :34429.88 (+0.10%)
S&P 500 : 4071.70 (-0.12%)
NASDAQ:11461.50 (-0.18%)
イベント
2022年12月第2週 (メジャーSQ週)
12/5 (月):米11月ISM非製造業景気指数
12/9 (金):米11月卸売物価指数
12/9 (金):米12月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値
2022年12月第3週
12/13 (火):米11月消費者物価指数
12/13 (火):FOMC(~12/14 日本時間15日早朝にパウエル議長会見予定)
12/14 (水):日銀短観
12/15 (木):ECB理事会
12/15 (木):米11月小売売上高
12/15 (木):米11月鉱工業生産
12/15 (木):米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数
2022年12月第4週
12/19 (月):日銀金融政策決定会合(~12/20 20日に黒田会見予定)
12/20 (火):米11月住宅着工件数
12/21 (水):米11月中古住宅販売件数
12/23 (金):米11月個人所得・個人支出・PCEデフレーター
12/23 (金):米11月新築住宅販売件数
12/23 (金):米11月耐久財受注 速報値
2022年12月第5週
12/26 (月):クリスマス 米休場
12/28 (水):配当・株主優待 権利付き最終日
12/30 (金):大納会
2023年1月第1週
01/02 (月):元日振替休日 日米休場
01/03 (火):日本休場
01/04 (水):11月JOLTS雇用動態調査
01/04 (水):米12月ISM製造業景気指数
01/04 (水):FOMC議事要旨公表
01/05 (木):米12月ADP雇用統計
01/06 (金):米12月ISM非製造業景気指数
01/06 (金):米12月雇用統計
2023年1月第2週 (SQ週)
01/09 (月):成人の日 日本休場
01/12 (木):米12月消費者物価指数
01/13 (金):米1月ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値