27.そして一人旅が始まる ーアムステルダム編~旅の終わり。
無事、太陽の島から脱出した僕達はチチカカ湖で国境が繋がっている
隣国ボリビアに渡る。
ペルーよりももっと素朴で時間が止まっている様に感じられる
ボリビアの首都ラパス。標高は3,640メートルで富士山より高い。
長期の外国の旅が続くと無性に日本食が食べたくなるけど、
海外で食べる日本食は、ほとんどは酷いもので
あくまでも日本風で、がっかりする事ばかりなのだが
このラパスで食べた日本食は、本物の日本食で驚いた!
あまりの美味しさに「日本人が作っているのだろう」と思っていたら
現地のボリビア人の料理人で、
日本人以外で完璧に日本食が再現できる人が居て本当に驚いた。
(と言っても他のアジアの国をそんなに旅していないのだが。。)
そして帰りのチケットの期日を迎え再びイギリスへ。
3月のロンドンは2月の頃と比べると多少温かくなっていたが
やはり物価は高いので、海を渡ってオランダのアムステルダムに行く。
ちょうどベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した北野武監督の
「HANA-BI」が上映されていて、10カ月ぶりに日本人監督の感性に触れ
思わず涙してしまう。
日本を離れて10ヵ月。自分でも全く想像できなかった
世界一周の旅が終わろうとしていた。
特に行く先も決めず、
その時その時出会った人のご縁が導いてくれた今回の冒険。
全ての人との出会いが、また全ての出来事が自分にとって必要で
大いに怒り、傷つき、涙を流し、途方に暮れ、笑い、最後は
心の底から感謝して旅を終え、
満足して日本に帰ろう、という気持ちになった。
まさかこんな体験をして、こんな気持ちになって
日本に帰れるとは夢にも思わなかったが
自分が旅の最初に思っていた「自分探しの旅」で
自分が探していた自分に出会え、満足して旅を終えれるのは
やっぱり、どん底のイランの経験のお陰だな、と
心から思えた。
この旅の中で、日本人である事の素晴らしさを実感し
自分のアイデンティティを再確認出来た事は
自分にとって本当に大切な事だった。
10ヵ月に渡る世界放浪の旅に終わりを告げ
春の新しいスタートを日本の桜で始めようべく
最後の街を後にしたのだった。
この旅で出会った全ての人達に心から感謝します。