「わかりやすい音楽理論」を作ってみようのコーナー
おはすみよし♪
バーチャルシンガーソングライターの元住吉菜々緒です
発端はすきえんてぃあさんのこのツイートです
これはわかるんですよ
この問題が生じているのは、音楽理論というか、インターバル(音程)の名前だけだと思うんですが、たしかに面倒くさいのです
というのも、音楽理論やる人ってだいたいピアノをやってるので、ピアノ語で話した方が早いんですけど、非ピアノ語話者はピアノ語の習得からはじめないといけないんですよねー
というか、ピアノ語以外に音楽を表す言語がほとんどないので、英語以上にピアノ語が音楽世界共通言語になっていて、ギタリストは理論苦手みたいになっちゃってるのです笑
動画でもこの記事を解説しています
前提
基本的にバークリー系の理論を「わかりやすい言葉」に変換する感じでいきます
ほとんどのポピュラー音楽はバークリーとその派生の音楽理論を用いていますし、そもそもこの元住吉菜々緒が馴染んでいるのがこれなので、これで良いでしょう
また、元ツイートの引用などで平均律を前提としているのが間違っている!みたいなレスが散見されましたけど(その指摘自体は正しいです)、そもそもバークリーメソッドは平均律前提で作られているのでOKでしょう
てか平均律を前提にしてない音楽理論って、わたし知らないんですよねー
じゃ、はじめます
わかりやすい音楽理論
CDEFGAB
ドレミファソラシ、のことをCDEFGABと言います
これはさすがに「わかりやすく(MIDIノートナンバーなどに)」する必要ないと思うので、普通の音楽理論と共通する名前にしておきます
インターバル
2つの音の間隔をインターバルと言います
インターバルは半音いくつ分離れているかで決まります
インターバル0、つまり同じ音はユニゾンと言います
インターバル12も同じ音の名前になり、これをオクターブと言います
例えばCDEFGABのインターバルは、Cから見ると[0 2 4 5 7 9 11]です
今後、インターバルのリストを[]でくくって表記することにします
トライアド
3つの音からできているコード(=和音、同時に複数の音を鳴らすこと)です
典型的なトライアドは4つあり、そのインターバルによって名前が決まっています
メジャートライアド、インターバルは[0 4 7]
マイナートライアド、インターバルは[0 3 7]
ディミニッシュトトライアド、インターバルは[0 3 6]
オーギュメンテッドトライアド、インターバルは[0 4 8]
たとえば、Cからインターバル4のE、インターバル7のGを持ってきた和音は、Cメジャートライアドと呼びます
ルート
コードの基準となる音をルートと呼びます
CメジャートライアドならCがルート、EマイナートライアドならEがルートです
コードネーム
楽譜などにCとかAmとか書いてあるやつで、コードを表します
ルート+コードの種類になっています
コードの種類はトライアドの場合
なにも書いてなければメジャートライアド
mならマイナートライアド
dimならディミニッシュトトライアド
augならオーギュメンテッドトライアド
です
具体的にはコードネームがAmなら、Aがルート、mはマイナートライアドを表していますので、Aからインターバルが0 3 7で、A C Eの3つの音のコードだとわかります
セブンスコード
4つの音でできている和音をセブンスコードと言います
名前がおかしいのは古典的な音楽理論と整合性が取れないためなので我慢してください笑
典型的なセブンスコードは8つあり、以下に名前とインターバルをならべておきます
メジャーセブン(maj7) [0 4 7 11]
ドミナントセブン(7) [0 4 7 10]
マイナーセブン(m7) [0 3 7 10]
マイナーセブンフラットファイブ(m7-5) [0 3 6 10]
ディミニッシュトセブン(dim7) [0 3 6 9]
マイナーメジャーセブン(mmaj7) [0 3 7 11]
オーギュメンテッドメジャーセブン(augmaj7) [0 4 8 11]
オーギュメンテッドセブン(aug7) [0 4 8 10]
スケール
CDEFGABみたいな音のならびのことです
コードと同様にルート+種類で表現されます
バークリーの音楽理論は、アドリブをするときに、なんのコードに対してどのスケールを使うかを選べるようにするのが主な目的のようです
メジャースケール
メジャースケールはCDEFGABと同じインターバルのスケールのことで、明るい印象です
インターバルを数で表すと[0 2 4 5 7 9 11]です
例えば、DメジャースケールならD E F# G A B C#になります
マイナースケール
マイナースケールは、メジャースケールの3番目、6番目、7番目の音を半音下げたものです
インターバルは[0 2 3 5 7 8 10]です
例えば、CマイナースケールだとC D Eb F G Ab Bbになります
レラティブスケール
なんらかのメジャースケールから見て、インターバル-3の関係のマイナースケールとの関係をレラティブスケールと言います
関係性の名前なので、マイナースケールから見て+3のインターバルのメジャースケールもレラティブスケールです
どういう意味があるかというと、音が同じなんです
Cメジャースケールに対してのAマイナースケールがレラティブスケールですが、CメジャースケールはCDEFGAB、AマイナースケールはABCDEFGと並び変えただけですね
もう一つ例を出しておくと、Eマイナースケール(E F# G A B C D)に対するGメジャースケール(G A B C D E F#)もレラティブスケールです
ダイアトニックスケール
トニックはルートとほぼ同義です
ダイアトニックは、2つのトニックを持つスケールという意味で、レラティブな関係のスケールをまとめてダイアトニックスケールと呼んでいる(ようです)
Cダイアトニックスケール(あんまりこういう言い方しないです)はCメジャースケールと同一と考えて良いでしょう
ダイアトニックコード
ダイアトニックスケール上に現れるコードのことです
Cダイアトニックスケールであれば
トライアドはC Dm Em F G Am Bdim
セブンスコードはCmaj7 Dm7 Em7 Fmaj7 G7 Am7 Bm7-5
となります
アナライズ
出てきたコードがスケールに対してどんなインターバルにあるのか、数字を振ることをアナライズと呼びます
Cメジャースケール上のEm7だったらCからEはインターバルが4ですので、4m7とアナライズします
ダイアトニック上のセブンスコードをこの表記で表すと
0maj7 2m7 4m7 5maj7 77 9m7 11m7-5
となります
ドミナントとトライトーン
インターバル6をトライトーンと呼びます
トライトーンを持つコードをドミナントと呼びます
ダイアトニック上では、77と11m7-5ですね
G7ではFとBがトライトーンです
このトライトーンが半音動いてE Cに解決することをドミナントモーションと言います
通常、ルートはインターバル5で動きます
アナライズすると 77 0maj7 です
コード進行
コードの連続したものをコード進行と言います
ケーデンス
ドミナントモーションを起こすコード進行がケーデンスです
典型的なものに
ツーファイブワン 2m7 77 0
マイナーツーファイブワン 2m7-5 77 0
があります
テンション
コードトーン以外の音をテンションと言います
ダイアトニック上に存在するテンションをナチュラルテンションと言って、ルートからのインターバルと名前は以下の通りです
2: 9th
5: 11th
9: 13th
Cmaj7に9thテンションを加えたCmaj7(9)コードであれば、インターバルは[0 4 7 11 2]で、C E G B Dとなります
それ以外にオルタードテンションと言うものもあり、これもインターバルは以下の通りです
1: b9th
3: #9th
6: #11th
8: b13th
これらは主にドミナントコードで使われます
これも「わかりやすく」インターバルだけで表記したいのですが、楽譜のコードネームを読むときに必要なので、9th(9)のように両方書いていくことにします
アベイラブルテンション
脳死で使用可能なテンションのことをアベイラブルテンション、逆になるべく避けておいた方がよいものをアボイドノートと言います
基本的には各コードトーンの全音上(インターバル+2)の音がスケール上にあればアベイラブルです
Cメジャースケール上のCmaj7であれば、コードトーンがC E G Bで、それぞれインターバルを+2すると、D F# A C#、F#とC#はスケール上にないので、9th(2)のDと13th(9)のAがアベイラブルテンションになります
ただし例外があって、2m7の13th(9)はアボイドです
理由は、コードトーンの3との間にトライトーンが発生し、本来ドミナント機能でないコードなのにドミナント化してしまうからですね
テンションコード
コードの名前に9や11や13が入っているコードがテンションコードです
その数字以下のアベイラブルテンションが含まれます
Cmaj13なら9th(2)と13th(9)がアベイラブルテンションなので、これをCmaj7に追加して、C E G B D Aが構成音になります
13th(9)だけを入れたい場合、Cmaj7(13)と書いたりします
特殊な表記のコード
シックススコード X6 [0 4 7 9]
アドナイン Xadd9 [0 4 7 2]
サスフォー Xsus4 [0 5 7]
ドミナントセブンサスフォー X7sus4 [0 5 7 10]
Xはコードのルートです
ハーモニックマイナー
今までマイナースケールと言っていた[0 2 3 5 7 8 10]は本当はナチュラルマイナーと言う名前で、他にもマイナースケールがいくつかあります
ハーモニックマイナーは、10を11に変化させて、[0 2 3 5 7 8 11]としたスケールです
これにより、ダイアトニックの5番目のコード77と同じコードが現れるので、トニックへのドミナントモーションが可能になります
メロディックマイナー
ハーモニックマイナーの8を9に変化させ、[0 2 3 5 7 9 11]にしたスケールです
なぜそんなことをしたかというと、ハーモニックマイナーの6番目と7番目[8 11]のインターバルが3で歌いづらいので、スケール上すべてのインターバルが2以下になるように調整したのだとされています
このスケール、メジャースケール[0 2 4 5 7 9 11]の4を3に変化させたスケールでもあるので、実はナチュラルマイナー[0 2 3 5 7 8 10]よりもメジャースケールに近いことも覚えておくと良いかもしれません
パラレル
同じルートのメジャーとマイナースケールの関係のことをパラレルと呼びます
DメジャースケールのパラレルマイナーはDマイナースケール、みたいな感じです
モード
ダイアトニックのレラティブスケールとしてメジャーとナチュラルマイナースケールがありましたが、他にも5つのスケールが考えられて、合わせて7つのスケールがあります
これらをモードと呼び、以下の通りです
リディアン [0 2 4 6 7 9 11]
イオニアン(メジャースケール) [0 2 4 5 7 9 11]
ミクソリディアン [0 2 4 5 7 9 10]
ドリアン [0 2 3 5 7 9 10]
エオリアン(ナチュラルマイナースケール) [0 2 3 5 7 8 10]
フリジアン [0 1 3 5 7 8 10]
ロクリアン [0 1 3 5 6 8 10]
リディアン、イオニアン、ミクソリディアンをメジャーモード、ほかをマイナーモードと分類しています
これは3番目の音が3か4かの違いで、スケールと同一ルートのコードがメジャーコードになるか、マイナーコードになるかの違いです
そういう意味で、5番目の音の7が6になってしまうロクリアンは、同一ルートのコードがディミニッシュトになってしまうため、マイナーモードでもない特殊なモードと捉えられる場合もあります
セカンダリドミナント
ダイアトニックの77はプライマリドミナントと言って、トニックへのドミナントモーション(77 1maj7)を導きます
他のダイアトニックコードへドミナントモーションするドミナントをセカンダリドミナントと言い、以下の5つが存在します
97 2m7
117 4m7
07 5maj7
27 77
37 9m7
エクステンデッドドミナント
セカンダリドミナントからさらにドミナントモーションを連続させたものです
例 97 27 77 1maj7
リレーテッドツーマイナーセブン
ドミナントの前にあるインターバル5下のm7コードのことで、ツーファイブワン進行を作り出します
7m7 07 5maj7
の7m7ですね
マイナーツーファイブ
ハーモニックマイナーで考えると、
2m7 77 1maj7
が
2m7-5 77 1mmaj7
に変わります
この2m7-5 77がマイナーツーファイブです
サブスティテュートドミナント
インターバル6つ離れたドミナントコード同士は、トライトーンを共有しています
たとえばDb7はG7のF Bを共有しています
そのため、この2つのコードは機能的には代理可能ということになっています
通称「裏コード」です
モーダルインターチェンジ
基本的には、同じルート音を持つモードに転調することをモーダルインターチェンジと呼びます
Cイオニアン(CDEFGAB)からCリディアン(CDE F# GAB)にモーダルインターチェンジする、などです
CメジャースケールからGメジャースケールに転調したと捉えることもできます
サブドミナントマイナー
5m7のことです
スケール上は、エオリアンへのモーダルインターチェンジとなります
ダイアトニックスケール上の9が8に変化しているのが特徴で、8を含むコードはすべてサブドミナントマイナーと考えてもかまいません
1maj7 2m7-5 5m7 8maj7 107
ディセプティブケーデンス
レラティブに解決するケーデンスです
アナライズでは 2m7 77 9m7 となります
ピカルディの3度
マイナーへ解決するケーデンスの解決先のマイナーコードがメジャーに変わることです
2m7-5 77 0
みたいな感じです
これもモーダルインターチェンジですね
R&Bでは、ディセプティブケーデンスと組み合わされて使われるパターンが頻出します
2m7 77 9maj7
です
メロディックマイナー派生スケール
メロディックマイナー上でもモードのようにスケールを考えていくことができます
よく使うものは以下の2つです
オルタードスケール [0 1 3 4 6 8 10]
リディアンb7スケール [0 2 4 6 7 9 10]
いずれもドミナントコードで使われますが、オルタードはマイナーツーファイブで、リディアンb7はサブスティテュートドミナントで使われることが多いです
ビバップスケール
1音追加して半音の動きを加えた8音スケールです
例えばミクソリディアンスケール[0 2 4 5 7 9 10]を8分音符で2小節演奏すると
|0 2 4 5 7 9 10 0|2 4 5 7 9 10 0 2|
と、順番がズレてしまいます
リズム上重要な奇数番目の音を抜き出すと
|0 4 7 10|2 5 9 0|
となり、1小節目はセブンスコードになっていますが、2小節目はズレてしまって、2m7コードになってしまっています
そこで1音追加してビバップドミナントスケール [0 2 4 5 7 9 10 11]にすると、ちょうど1小節でループするので使い勝手が良いというわけです
ペンタトニックスケール
ダイアトニックスケールから5と11を抜いたスケールをメジャーペンタトニックスケールと言います
これのレラティブスケールがマイナーペンタトニックスケールで、よく使われます
メジャーペンタトニックスケール [0 2 4 7 9]
マイナーペンタトニックスケール [0 3 5 7 10]
ブルーノート
ダイアトニックの4が3に変化したものと11が10に変化したものがブルーノートです
マイナーペンタトニックスケールはこのブルーノートを持ったスケールになっています
また、特殊なブルーノートに6があります
マイナーペンタトニックスケールに6を加えて[0 3 5 6 7 10]としたスケールもよく使われます
シンメトリックスケール
対称に音が並んだスケールをシンメトリックスケールと言います
代表的なものは以下の通り
クロマチックスケール [0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11]
ホールトーンスケール [0 2 4 6 8 10]
シンメトリックドミナントスケール [0 1 3 4 6 7 9 10]
シンメトリックドミナントスケールは、コンビネーションオブディミニッシュスケール、通称コンディミと呼ばれたりもします
ボイシング
コードの構成音を積む順番のことです
たとえば、maj7を[0 4 7 11]と積むのが基本的なボイシングですが、[0 4 11 7]と積むとちょっと響きが変わります
ちなみにこの積み方はドロップ2と言います
インバージョン
コードの一番低い音をベースと呼びますが、ルート以外がベース音にくるボイシングをインバージョンと言います
インバージョンはベースをスラッシュで区切って書きます
C/E [0 3 8]、C/G [0 5 9]などです
構成音のインターバルはベース音を基準にすることにしました
アッパーストラクチャートライアド
コードの構成音の上部にあるトライアドのことです
例えば、Cmaj7からルートのCを抜くとEmになります
なので、Cmaj7はEm/Cと表現することができます
ハイブリッドコード
ルート音がコードトーンではないコードです
例えば F/G [0 2 4 10]は、ドミナント機能はないけれども、ミクソリディアンを感じさせるコードとして重宝します
ナポリの6
1/5 [0 3 8]のコードです
2dim/5 [0 3 9]の2が1に変わった、または5m [0 3 7]の7が8に変わった、と考えると良いです
具体的には、Bdim E7 Amというマイナーツーファイブのツーをナポリの6にすることでBb/F E7 Amにします
このときBb G# AとAを半音で囲むラインが出来るので、メロディにこれを組み込むと良いです
おわり
いかがでしたでしょうか?
インターバルを半音何個分で表現するとわかりやすくなりましたか?
プログラムは組みやすくなってるんじゃないですかね
平均律ベースで解釈できる音楽理論のトピックはもっとたくさんあるので、気が向いたら更新したいなと思います
次回の更新もお楽しみに!
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