実話「スロット軍団リーダーの末路とは?」
この記事は、過去にブログで公開した記事を再編集した記事となります。
私がまだ20歳頃の時に実際にあったことを昔話しとして、お話ししていきたいと思います。
まだ俺が20歳頃の時、俺はとあるパチンコ屋でバイトをしていた。
そこまで大きくないパチンコ屋であり、人気もない店であった。店員の数も少数だが、居心地が良い職場であり、俺はそこで2年半程のバイトをしていた。
当時のパチンコ屋は、今程にクリーンな環境ではなかった。
また、スロット機種も今とは違い、ギャンブル性の高い機械が多くて、更には裏物と呼ばれる更にギャンブル性の高い機械も平気で存在していた。
店も今とは違い、店内POPや多くの誇大イベントを開催して射幸心を煽っていた時代であり、パチンコ屋の客層も現在とは違い、荒れた人間も多く、喧嘩も多かった時代であった。実際に舎弟を連れた怖い方も俺の店には何人も来ていたし、機械を売る営業自体が裏の方だったこともあるし、危険な香りがする方が毎月なにやら秘密の集金をしにお店に来ていたほどである。
当時のパチスロは1日で数十万勝てる時代であったし、1時間で5000枚(10万円)でる台もたくさんあった。恐らく、上手いプロ達は月に軽く100万以上は勝てていたのではないだろうか。最低でも、月50万ぐらいなら簡単に勝てた時代であった。
俺がパチンコ屋でバイトしていて、いつからかは忘れたが、とある軍団が店にくるようになった。
その軍団は、男3人ぐらいだったと思う。
年齢は当時30歳ぐらいのリーダー格らしき中年と同じく30歳ぐらいの小太り中年、そして少し年下と思われる金髪サンダル男の3人である。
この3人はほぼ同じ機種を毎日打っていたのだが、人気のない俺が働く店に毎朝並び、ほぼ閉店まで粘り、毎回のように同じ機械を打ち込んでいたのだ。
そして、ほぼ毎日勝っていた。彼らが毎日朝から並んで閉店まで打ち続けた機械とは何だったのか??
それは、以下の機械であった。
機種:タコスロ/©瑞穂(ミズホ)
設定 BIG REG 機械割
設定1 1/273 1/468 105.9%
設定2 1/268 1/468 106.8%
設定3 1/248 1/468 110.9%
設定4 1/240 1/468 112.6%
設定5 1/240 1/409 113.7%
設定6 1/240 1/364 115.2%
機械割を見て頂くと分かるが、設定1でも目押しさえ上手ければ勝ててしまう機械割の台であったのだ。
そして、その3人の軍団プロは目押しが上手く、この台のポテンシャルを最大限に引き出せていたからこそ、毎日のように勝つことが出来ていた。
ちなみに俺の働いていた店のタコスロは全台オール1。これは後から店長に直接聞いたので間違いない。
彼らはこのタコスロを毎朝10時から閉店23時付近までほぼ毎日打って、日々勝ち続けていた。
この時代ならば、もっと上手く立ち回れば、もっと高い稼ぎ方があったはずだが、彼らは安い日当ながらも、このタコスロで確実な収支を上げていた。
だが、彼らの収入源も永遠と続くわけがなく、終わりは突然くることを彼らはまだ知らない‥‥‥
俺がバイトしていた店に来ていた通称タコスロ軍団だが、タコスロ軍団が来て数か月経過したころには、俺はそのリーダー格の中年とは少しずつ話しをしていく関係となっていた。
話しをしていて思ったが、彼は本当にスロットが好きなパチプロであった。
だからこそ、毎日毎日10時間以上フル稼働出来ていたとも思う。タコスロの目押しはビタ押しだし、DDTが必要な機種でもある。だから設定1でも勝てる台となる。
とてもじゃないが、パチスロが好きでなければ毎日毎日同じ機種を打ち続けるのは厳しいといえるし、4号機時代ならばもっと楽な勝ち方があったのだから。
仮に俺がタコスロの設定1を毎日打っても目押しが下手なので負ける自信しかないし、たかが機械割105%を、4号機時代に苦労してまで追わないだろう。もし自分ならば店周りを強化して、もっと機械割の高い機種の設定狙いをメインにイベント周りしている。その方が、稼げる金額も遥に高くなるだろう。
しかし、彼ら、いや特に彼はタコスロの設定1を打ち続けて勝つというスタイルを崩すことなく、毎日来店していた。目押しで勝つという行為自体が好きなのかもしれない。
当時の俺は「流石にプロは凄い」と感じていた。
だが、今思えば彼は目押しは凄く上手いプロであったのだが、他の立ち回りをしようとしないし、稼働エリアも狭いし、危機感が足りないような少し甘い立ち回りだったと思う。
分かりやすくいえば、環境の変化ですぐに喰えなくなる(稼げなくなる)可能性の高いプロというイメージである。
※店長の英断
ある日、店長が俺に言ってきた。
「あの連中、毎月30万ぐらい勝っている計算なんだよ! 設定1で、更にメーカーに問い合わせして色々試しても、抜かれてしまうんだよ。参ったよ」
そう店長は言ってから、再び1,2ヵ月ぐらい経過しただろうか?
店長は遅すぎる決断を出した。
それは――
タコスロを全台撤去すること。
タコスロを全て撤去すれば、タコスロ軍団に抜かれることはないと踏んだのだろう。
そして、次の入れ替えでタコスロは全台撤去された。こうして、タコスロが撤去したと同時にタコスロ軍団の姿も消えていた。
彼らとは家が意外と近所なのだが、他ホールでも見かけることはほぼ無かった。
当時、タコスロを配置していた店は極少ない。かなり古い機械だっただろうし、あんな甘い台をいつまでも置いておく店は珍しいはずだから。
俺が働く店にタコスロ軍団が来なくなってから数か月経過しただろうか?
タコスロ軍団のこと等を忘れた頃に彼らは再び俺が働く店に来店してきたのだ。
以前は、大体3人組であったのだが、今回はリーダー格の中年と小太り中年の2人だけであった。
そして、彼らが座った機種はとある機種であった。忘れもしないが、その機種は『大花火』というアルゼの機械に彼らは真っ先に向かったのであった。
ちなみに俺がスロットに大ハマりして借金地獄という道へ誘いこんだ魔性の機種でもある。
なんとなく、彼らの雰囲気が変だなとは思ったのを覚えている。なんか、挙動不審というか、そわそわしているというか。しかし、久々に来店した彼らと会話もした俺は、特に気にする必要もなく、自分の仕事に戻っていた。
そして、事件が起きるのであった‥‥‥
リーダー格の方が大花火に座り、打ち始めた。
‥‥‥が、もう一人の小太り中年は打とうとはしなかった。というよりも、小太り中年は腕を怪我しているのか、片手に包帯を巻いている状態であり、イメージとしては骨折した人が包帯している感じであった。
リーダーの中年は普通に大花火を打ち込んでいるが、小太り中年はなんだか挙動不審であり、時々リーダーの席にいったかと思えば、またそこから離れてホールを意味なく徘徊したり、外に出たりと正に挙動不審であった。
当時の俺はなんとなく違和感は感じたが、特に気にしないで仕事をしていた。
しばらくすると、大花火のある島の赤ランプ(呼び出し)が付き、大花火の島に行ったのだが、ここでも違和感が!!
いつのまにか、リーダーの大花火が連チャンをしていたのである。
来店してから大して時間は経過していないのに「なんてヒキだ! 流石プロ!」とおバカな考えで、俺は普通に大花火にメダル補給して、リーダーに「お待たせしましたぁ~(⌒∇⌒)」とお辞儀をして、その場から離れる。
「あれ、小太りの中年がいないなぁ?」と思った。
‥‥‥と、思ったら少し経つとまた小太り中年が外から店内に入店して、リーダーの隣に座り何やら会話をして、小太りが直ぐに去っていく。
すると、リーダーの大花火がまたもや連チャンしているではないか!
これは明らかにオカシイ!! 何か不正をしているに違いない!!
――というような考えがいまだに働かない、頭の悪い俺は普通にまたメダル補給をしたりと、普通に何も考えずに呑気に仕事をしていた。
今、思えば、相当な使えない店員であり、バカすぎる。
結局、その後リーダーは2000枚ぐらいを交換して帰っていった。
その日は、なにもなく仕事を終えて帰宅した。
そして、翌日かは忘れたが俺が休みをとった日に事件が起きる。
ここからは聞いた話しを元に話しを進める。
昼間タコスロ軍団の2人(リーダー、小太り)が再び来店して、リーダーは大花火で今度は5000枚程タコ出ししていたらしい。異変に気が付いた店長が、カメラで監視をしていると、意外な事実が分かった。
リーダーが大花火を普通に打っている時に、腕を骨折級の怪我をしていると思われた小太り中年がリーダーに近寄り、大花火になにやら包帯をした腕を近つける行為をして、早々と小太りは店から出ていく。すると、リーダーの大花火は小太りが離れた直ぐにBIGボーナスを揃えたのである。この行為が何度かカメラで確認出来たのである。
すなわち、小太り中年の包帯の怪我は嘘であり、実際は包帯の下には電波で大当たりの信号を送る機械を仕込んでいたのである。そして、小太りが去ってから、リーダーがBIGを揃えるのである。
小太りが去ってしまえば証拠は何も残らないので、リーダーをいくら調べても不正の機械等は出てこないという寸法である。
こうして彼らは前回は試しの意味でも、手加減して2000枚程抜いて帰宅したのだが、バレないという油断と抜けるならば抜けるだけ抜くという欲望から、不正な方法により設定1の大花火でありえない連チャンをさせたのである。
しかし、流石にやり方が悪く、これは一発で店長に悪事がバレたということである。
その後、リーダーが笑顔満々で交換を希望したが、ここは店長が対応した。
「不正しているのカメラで分かっている。警察呼ぶけど?」と、冷静な口調で淡々と相手を追い詰めるように店長は問う。
「‥‥‥す、すいません。交換はしません」
元々、このリーダーと会話をした俺のイメージだと、ただのスロ好き中年であり、罪悪感に苛まれて、本当の悪にはなてない人柄。その時のタコスロオヤジ(リーダー)は憔悴の顔だったらしい。
「いくら何でもあれだけ出せばバレるの分からなかったの?」問い詰めるように、そして再度確認を得る為に店長は言う。
「すいませんでした」と、ひたすら謝り続けるリーダー。
「まぁ、以前は常連として毎日のように来てくれてたの知ってるから、警察は勘弁するけど、出禁にするから、もう来ないでくれ!」店長なりの優しさで警察沙汰にはせずに、出禁だけで穏便にすましたが、今なら間違いなく、いや、大手なら確実に窃盗罪等で逮捕案件である。
だが、人情ある店長は彼の事を心配するように彼の話しを聞く。彼の話では、事実が真実かは定かではないが、タコスロが撤去されてからは小太り中年と2人で、とあるゴト組織に入り不正を働いていたとのことだった。
ちなみに小太り中年は既に逃げた後だった。だから、完全な証拠がないというのも警察沙汰にしない理由の1つであったらしいと店長は後に語った。
後日、その話しを聞いた俺は少なからずショックだった。
タコスロ軍団が、タコスロ撤去を機にかは確実に定かではないが、まさかゴト師に転身していたとは思いもしなかった。ただ、彼らには彼らなりの生活やら理由やらがあって選んだ道だったのだろう。
彼らとは店に来ていた時に何度も話しをしたが、悪い人達ではない印象だったし、本当にスロット好きな人達という印象であり、優しい部分も多くあったのも事実であった。
人は何かのきっかけで道を踏み外すことがあるが、間違った道に進まないようにしなければならないと当時に思ったが、まさか後に俺も店長も同じゴト師になるとはこの時には夢にも思わなかった‥‥‥
後日談ではあるが、数年前にとあるパチンコ屋でタコスロ軍団のリーダーを偶然見かけることがあった。それ以外のメンバーはあれ以来見ていない。
まさか、今でもゴト師をしているのか??
――と、思ったが普通にスロットを打っていた。ただ、立ち回りを陰ながら拝見したが、完全に一般客の立ち回りであり、ほぼ負けているだろうということは簡単に想定できる立ち回りであったので、スロプロもゴト師も既に引退したのだと思った。
ただし、今も目押しだけは半端じゃなく上手かったのは言うまでもない。
相当な年月が経過していたので、俺は気が付いても向こうは恐らくは分かっていないだろうし、話しをかけることはなかった。彼は、きっと今でもスロットが本当に好きなんだなと思い、俺は静かに彼がいる店から退店したのだった
(追加)2020年7月27日現在、今でも彼を群馬県太田市の某〇ステーションの5スロ又は21スロにてたまに見かけるが、相変わらず技術介入系のスロ好きだなと思い、またそのビタ目押し力に衰えは見えなかった。
終わり