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英語学習をもっと楽しく!洋楽で口語スキルを磨きませんか?(24)
今日はビートルズの曲にしましょうか。私が初めて聞いた洋楽が実はビートルズだったんですよね。それから外の世界、つまり海外に興味を持つようになりました。いつかはアビーロードを歩いてみたいと。
で、あれからン十年。まだ一度もイギリスの地を踏んだことがないのです。はい。では、今日はビートルズの中から、ジョージ・ハリスンさんが作詞作曲を手がけた、
Here Comes The Sun
をピックアップします。なんとこの曲、2021年時点でSpotifyて世界で最もストリーミング再生されたビートルズの楽曲だそうです。映像は少し短めで終わってしまいますが、ライヴの醍醐味が味わえるのであえてアップします。
では、今日はこのタイトルを深堀しましょう。
● Here comes the sun
(ほら顔出したよ、太陽が)
この文は学校で習った「副詞+動詞+主語」の「倒置」という形です。ボズ・スキャッグスさんの記事でも紹介しました。本来ならThe sun comes here.のような「主語+動詞+副詞(場所などを表す語・語句)」ですが、なぜわざわざ倒置にするのか。また、元の文とはどう違うのでしょうか?
倒置を使うことで、「強調」できると習ったかと。日本語でも同じです。例えば、「電車がここにやって来る」(=The train comes here.)だと単なる事実描写で、なんの感情も伝わってきませんが、「ほらこっちに来たよ、電車が」(Here comes the train.)なら、来ることが強調されて、待ち望んでいた心の有り様が伝わってきます。
これは、「今来る」とあるものがやってくることをまず述べて、相手に心の準備をさせておいて、そのあとに何が来るのか相手がまだ知らない情報、つまり新しい情報を追加するという情報構造が背後にあります。言わば、新しい情報は最後にという英語の持つ「文末焦点」のルールです。
My sister came out of a dark night street.(暗い夜道から姉が出てきた)
これだと、何の恐怖も感じず単なる事実描写ですが、
Out of a dark night street came my sister.
(暗い夜道から出てきたのは、(誰だったと思う…..)私の姉だったのよ)
ではどうでしょう。思わず身を乗り出して聞き入ってしまいませんか。
これが倒置の働きです。また、
The front door opened and my dream guy stood there.
(玄関が空いたら私の理想の人がそこに立っていた)
なら、The front door opened and there stood my dream guy!
(玄関が空いたら、そこに立ってたのよ、私の理想の人が!)
ってな感じで、語り口調によっては怪談話を聞かせているように、その場が盛り上がるわけです。
なおこのタイプの「副詞+動詞+主語」の場合、「彼女や彼、彼ら」などの代名詞だとHere she comes. やHere he comes. Here they come.という語順になります。代名詞というのは一般に相手も知っている既知情報(=旧情報)なのでHere comes she. やHere comes he.とはならないわけです。
英語は最後に相手が知らない新情報を持ってくるというルールがあるので、代名詞は最後に置けないんです。また、言い易さというか、口調も関係しています。Here she comes.とHere comes she.どちらが楽に発音できますか。Here comes she.のほうが言いづらくないですか。発音の際、余計なエネルギーが必要になります。人間は本来怠け者です。楽な方を選ぶという理由もあるかと。
というわけで、なぜHere comes the sun.なのか考えてみました。
でも、この曲ギターの音が素敵ないい曲ですね。これを朝の目覚めのモーニングコールに使っている人がいるんですが、ナイスチョイスです。はい。
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