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オーディション番組Britain's Got Talentで学ぶ英語の極意
イギリスで有名な素人をオーディションで発掘する番組、
BGT(Briton's Got Talent)をご存じでしょうか?
Britain's Got Talent (often abbreviated to BGT) is a televised British talent show competition.
(ブリテンズ・ゴット・タレント(しばしばBGTと略される)は、テレビ放映されるイギリスのタレント番組コンテストである)
日本人も吉本芸人を始め多数参加してますね。
On average, Britain's Got Talent draws viewing figures of 9.9 million viewers per series. The show's live final in the third series attracted a record 17.3 million viewers, obtaining a 64.6% audience share at the time of its broadcast.
(ブリテンズ・ゴット・タレントの平均視聴者数はシリーズごとに990万人。第3シリーズのライブ・ファイナルは過去最高の1730万人の視聴者を集め、放送時の視聴者シェアは64.6%だった)
すさまじい数の人が見てます。世界的に名前を売りたかったら、ここに出るのが一番かと。一夜にして世界的なスターダムにのし上がれます。はい。
で、私が初めてこの番組を見たのが2007年の👇です。
これには世界中がやられたと思いました。この殺伐とした世の中で、つかの間の癒しを与えてくれるじゃないですか。こういうのがこの番組の魅力かと。
そして、ちょっと前から話題になっているある日本人がいます。
Don't worry, I'm wearing.
一躍、世界中で認知される言葉になりました。
この英語うまくできてて、聴衆を引き込む仕掛けがしてあります。
このwear(身に着ける、はく)は他動詞ですから、後ろに「~を」にあたる目的語つまり名詞が必要になります。SVOの型で、英語で一番多い文型です。この場合、文脈からわかる場合でも省略しません。ないと、英語ネィティヴは舌足らずでなんか落ち着かないんです。
そこで、相手は思わずPants!と叫びたくなります。
最初に I'm wearing pants.と言って、何をはいているか聴衆に説明しています。その時点で皆わかるわけです。そしてその後、省略するので見ている人はなぜ言わないんだ、パンツだろ、と思わず口にするという仕掛けです。
それにジャッジの面々が先陣を切って叫んでくれたので、次からは聴衆も完全にお約束のフレーズ(signature phrase)となり、合唱して叫ぶようになりました。作戦通りですね。
ところで、このI'm wearing pants.は他に注目するところが2つほどあります。
一つがイギリス英語とアメリカ英語の違いです。「下着のパンツ」は、アメリカではunderpantsになります。pantsというと「ズボン」の意味に。
そしてもう一つが「be~ing形」の現在進行形を使っているという点です。
進行形にすると一時感がでます。「いつもは違うけど今だけ」、という感じです。You are kind.なら、「あなたって優しい人ね」と性格を言っています。性格は過去も今も未来も変わりません。ところが、You are being kind.とbe動詞を進行形にすると「(あなたっていつもは違うけど)今日は優しいのね」となってしまいます。言い方や場面によっては皮肉に聞こえます。
なのでここは「(普段はこんな恰好はしないんだけど)、今はこうやってパンツをはいています」というニュアンスです。I wear pants.だと、普段の習慣になってしまい、「私は普段パンツはいてるんです」と過去、現在、未来に渡るもっと広いスコープを意味することになります。
こんなことをこの表現を聞いて思った次第です。