見出し画像

#02【ミニスカート】_おしゃれ独本 (昭和~平成、個人的ファッション史)

1959年にマリー・クワントが若者向けに売り出し大ヒット。
65年にアンドレ・クレージュも発表。これがきっかけで世界的なブームとなったミニスカート。

67年には、ミニスカートの女王・ツイッギーが来日。
小枝(Twiggy)という呼称に偽りなしの、細くて長くてまっすぐな脚。
日本ではお菓子や自動車やアパレル等のTVコマーシャルに引っ張りだこ。
この露出がきっかけで、日本にもミニスカートブームが巻き起こる。

今の時代というのは、何かが流行ったとしても、猫も杓子もそれ一辺倒という訳ではなく、おしゃれの多様性みたいなものが存在するように思う。
例えばこの令和の時代にミニスカートが流行ったとしても、「ミニスカートもいいけど私はパンツスタイルが好きだからはかない」とか「今日の気分は短いスカートよりも長いスカート」とか、敢えて流行りに乗っからないという選択もアリではなかろうか。
実際、スカート丈やパンツのシルエットは実に多種多様で、それぞれが好みや気分やTPOによって着分けている感じだ。

しかしながら、60年代後期の日本では、選択肢に今のような幅はない。
ミニが流行れば、みんながミニ・・・(だったように思う・・・)。

断言できないのは、当時の私はまだ3歳とか4歳の幼児で、リアルタイムの記憶が薄いからだ。
それでも、その頃の母親や親戚のおばちゃんの写真を見ると、一様にスカート丈は短め。少なくとも、膝小僧は丸見えだった。

そんな田舎の主婦だって短いスカートだったのだから、都会の若い女性のスカート丈は推して知るべし。
当時のグラビア写真やテレビの映像などを見ると、「おおっ!」と驚きの声を上げるくらいにすごい。
何がすごいって、スカート丈の短さもさることながら、そこからニョキッと出ている脚の太さと短さだ。

今でこそ、日本人の体型も欧米に近づきつつあり、2000年あたりに栗山千明や冨永愛を見た時には「日本の女の子もここまできたか・・・」としみじみしたものだった。
が、1960年~70代の日本女子はまだまだ4~5頭身くらい。
しかも太ももやふくらはぎが張っていて、日本家屋の畳生活の影響か膝小僧も飛び出ている。
要はまったくミニスカートに向かない脚。

なのに!なのに!

ミニスカートをはいた当時の女の子たちは実に颯爽と、堂々と、楽しそうに街を闊歩している。
ツイッギーみたいに細くて長くてまっすぐな脚じゃなくて御免あそばせ!でもそれが何か?とでも言いたげな視線を投げかけながら。

戦争が終わって20年と少し(そんな頃に私はもう生まれていたのか!)。
戦後の復興の速さは奇跡的ではあるが、戦中、終戦直後から復興までの時代を生きた庶民の耐乏生活は想像を絶する。
ようやく食べる心配がなくなり、若い女の子が着たいものを着られる時代が戻ってきた。
そんな希望や喜びも、ミニスカートブームに一役買ったのではないか?
そんな気がしている。

今の時代にはそぐわない言い方かもしれないが、女子供が笑って暮らせて初めて、幸福な国、幸福な時代なんじゃなかろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?