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今月読んだ本

この間、友人と会った時。最近note更新してないねと言われた。どうやら僕の文章を楽しみにしてくれているらしい。申し訳ないなと思ったので、その日はメモとして保存されているどこにも出せないようなエッセイをこっそり彼にだけ披露した。

僕が今、どんなことに興味があってどんなことを考えて生きているのか。そんなに頻繁には会えない彼に見てもらうために、また少しづつnote更新しようと思ったのだ。

今回はとりあえず今月読んだ本。

左上から①イマジナリー②ゴーストフィクサーズ③Tarzan④本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む⑤女の園の星 下段左から⑥鍋に弾丸を受けながら⑦箱男⑧kota scale model archaive book

①イマジナリー3 幾花にいろ


 小物や人物の細かな所作、クセがまめに描かれていて、手元に置いておいて何度も読みたくなるような漫画。こういう漫画は現物で買うことに決めている。比喩表現や心象風景をそのまま絵として積極的に表されている、まさにイマジナリーがコンセプトなのだろうか。画力の高さがあるからこそのコンセプトだと思うので普通に羨ましい。
 同じ作者から「あんじゅう」という作品も出ているが上記の魅力はそのままにこっちの方がメインのキャラ二人に焦点が定まっていて他キャラもそんなにたくさん出てこないので読みやすい。面白さの問題ではなく味付けが違うというだけなのでどちらの作品もおすすめ。
 今回の3巻では作中に最近欲しいと思ってるktm250というバイクが出てきたのが嬉しい。車やバイク、ファッションは作者の趣味だろうか。どんどん作者の趣味が反映されていろんな劇中小物が出てきて欲しいなと思う。

②ゴーストフィクサーズ 01 02


 最近YouTubeでハマっているのがネットミームかるた。短い時間でテンポよくネットミームやネットカルチャーを紹介していくショート動画で、知らないミームはもとより知っているミームも改めてちゃんと説明されると面白いので是非見てほしい。
 これを見てて思うのは最近の創作作品を楽しむためのコンテキストにはこういうネットミーム的なものも多く含まれていて、しかもそれは学校教育の中で得られるような教養、つまり地政学とか歴史とか古典作品とか、からはあまりにも突飛すぎて推察することができないんじゃないかということ。もし今、スカイネットが世界を支配して半世紀ぐらい過ぎたら、たとえ文明を取り戻したとしても今ある作品群を十全に楽しめるか疑問だ。
 もうわかると思うがそういうネットミームカルチャーハイコンテキスト作品群の一つだなと僕が思うのがこのゴーストフィクサーズだ。
 1巻冒頭で描かれるゆっくり解説動画風に紹介されるのは、GHOSTいわゆるSCPのようなもの。解説しているのはダークエルフ、聞き役は鬼のキャラだ。何言ってるかわかります?わからない時はネットミームかるたを見よう。ただ、この作品の素晴らしさはそういう設定部分というよりは単純な漫画の上手さ。特に場面転換の仕方や、水や暗闇、モノなどのテクスチャーがトーンで巧みに表現されており、一見複雑な設定をわかりやすくしている。
 こういう漫画読むと日本に生まれてよかったと思う。まだ2巻なので長く続いて欲しい。

③Tarzan 自体重トレ大全


 最近週2、3回プールに行って運動をしている。疲れにくい体や健全なメンタルを得るためには運動が効果的ということで有酸素と無酸素ができ、しかも全身運動だという水泳を選んだのだが、相変わらず疲れているし、メンタルは落ちている。でも楽しいので続けてはいるが。
 その延長としてジムにわざわざ通うほどではないが家で少し筋トレもしようと思って買ったもの。脱いだらエロいみたいな体を目指しているが、脱ぐ機会はない。
 筋トレはフォームの確認でいうなら動画で見た方が効果的なんだろうが、体系的にまとまっていて自分のペースで情報を入れるのにはこういう雑誌とか本みたいな方がいい。動画で見るとインプットの速度を動画に合わせるのですごく遅く感じてしまう。時間を掛けるのは嫌いなのでこういう本で読んで、細かいフォームとか動き方とかは動画で確認するのがいいのかなと思う。

④本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む かまど・みくのしん


 これはマジですごい。タイトル通りなのでもうとりあえず読んで欲しいから語ることはあんまりない。
 これを読んでてふと思ったが、僕って国語の時間で何を学んでいたんだろう。数式の覚え方や導出の仕方、物理の理論を教わった記憶はあるが、国語の時間で何かをしたという記憶が全くない。僕が読み書きできていると思っているだけで本当は何もできていないのだろうか。もう一回授業を受けたくなった。
 最後のかまどさんの後書きが良過ぎて少し泣いた。


ちょっと息切れしてきた。毎月これ書くのは無理じゃない?彼に対して書いているので有料にする気は全くないが、これ読んで頑張れと思った人は褒めてくれたり、投げ銭してくれてもいいですよ。

⑤女の園の星 4 和山やま


 ギャグ漫画なのでこれもそんなに語ることはない。こういうギャグに僕が弱いというだけ。シュール系。
 せっかくなのでアクリルスタンド付きの特装版を買った。アクリルスタンドってイマイチグッズとしての良さがわかんなくて、ポストカードでもよくねって思っていたが、いざそこにあると、アクリルの綺麗さと立っていること、少し厚みがあるということで生まれる存在感は確かにポストカードとは違うかもなと思った。近くでラーメンとか食ってて油がとんでも拭けば大丈夫というのもいいのかもしれない。
 同じ作者の「カラオケ行こ」と続編「ファミレス行こ(上)」がすごくいいので下巻が出るのが楽しみ。

⑥鍋に弾丸を受けながら 5


 旅とそこで出会う少し危険な場所にしかないうまい食べ物を紹介するというグルメリポート。原作者の実体験に基づいたエッセイ漫画なのだが、原作者とその友人たちの人柄の良さが感じられて読書体験として心地いい。最初はちょっとニッチな感じがするのであんまり流行らないかなと思った。が、5巻まで出るくらい話題になっていて嬉しい。
 今回の巻はアメリカの話が中心。高カロリーかつハイテンションな食事がガンガン出てくるがどれもめちゃくちゃうまそう。胃もたれに耐えられなくなる年齢になる前にアメリカには行っておいた方がいいかもしれないと思わされた。
 原作者が釣り好き&釣りで知り合った海外の友人と会うという話なので釣りの話が多く出てくるがこの人の釣りの解説本とか初心者向けの本とか欲しい。長く続けられて一人でも楽しめる趣味を増やしたいよね。

⑦箱男 安部公房


 安部公房は砂の女しか読んだことなかったのだが、この間師匠と飲んだ時、箱男が話題に登ったらしいので(何も覚えていない)読んでみることに。
 人に匿名性を付与する「箱」。冷蔵庫が入るような大きな段ボール箱には外を眺める切れ目がついており、その内側には生活のための様々なものがぶら下がっている。それらを駆使しながら都市に紛れ込み、切れ目から人々を眺める。何かに帰属することも時間や規則に縛られることもなく都市という雑多な世界に紛れ込み他人から意識されない。一度は夢見たことがあるだろう。
 最近僕の周りの40代以上の男たちが既婚未婚に関わらず自分の趣味車として軽バンを買ったり、欲しいと言っているのをよく聞く。奥さんや彼女を乗せるわけでもないその車は少し汚らしくもあるが、中には趣味に使うような道具や合羽や上着、携帯バッテリーやイヤホンなどのガジェット類。車で走る時間を楽しむようなスポーツカーではなく、所有欲を満たすような外車でもない。部屋の延長としての車。それはどれもシルバーで商用車にしか見えず、街歩く人々は個性のないその車の運転者にまで気を回したりしない。都市に紛れ込んでいる。そういう車こそ現代の「箱」かもしれない。
 本の中で「箱」から男を引き摺り出すのは「女」だ。逆に現代の「箱」に男を押し込むのは「女」かもしれない。

⑧kota scale model archive book


 以前からYouTubeで見かけていたバイク模型制作動画、そのクリエイターさんの作例集。動画はクリーンな雰囲気の少しアンダー気味な画面で、パチパチと小気味よい音を立てながら組み上げられていく模型は汚い部分が少しもない。プラモデル作ってみるとわかると思うが、接着剤や塗料は指につくし、パーツにはその汚れがついたり指紋がついたり、はたまたパーツは折れるわ途中で取れるわ、大変なのだ。模型を綺麗に作るのは大変。動画の中では綺麗にしかもまるで簡単なことかのようにサラッと組み上げられていく。僕はといえば何度パーツを落とし、なくし、あー腕がもう一本あれば上手くいくのにと思ったことか。
 本の中には道具についても書かれているが、接着剤もカッターもヤスリも特殊なものが使われているわけではない。自分が使っているのと同じだなと思うくらいだ。もっとも驚いたのは撮影に使われているのがiPhoneだということ。自信をくれるような気もするし、もうダメだと思わせてもくれるような驚愕の本だった。


仕事をしていると本当に仕事の話しか口をついて出てこなくなる。インプットとアウトプットをしっかりしないと、飲み屋で管を巻くこともできなくなりそうで怖い。なるべくこういうことは続けていきたいものだ。


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もとぴ
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