シン・仮面ライダー観たという話【観てない人は読むなよ】
僕に仮面ライダーを教えてくれたのは母で、当時ガンダムSEEDを観せてくれたのも母で、コミックボンボンを買ってくれたのも母だった。
間違いなく今の自分の趣味を作ったのは母であり、多くの男の子にとって母というのは良くも悪くも影響を与えるものだと思うのだ。なぁイチローくん。
そんな母が言う。「仮面ライダー」とは「孤独」でなければならないのだ。それは仲間を作らないとか協力しないとか信頼をしないとかそう言うことではない。他人といてもどこか寂しく、自分は人間ではないという事実が付き纏う。そういう孤独感を持つのが仮面ライダーであると…その思想が僕の中にも入っている。
そういう意味ではシン・仮面ライダーは僕の観たかったモノを観せてくれた。大満足だ。
人間とオーグメントの間に生きる本郷猛の孤独。ヴィールスって言って欲しかったし、仮面のままで血を吐いて欲しかったし、仮面は割れて欲しいし、最後はやっぱり泥臭い肉弾戦をして欲しかったからあらゆる展開が想像の範疇ではあるのだが、そこがやっぱりいいよね。
序盤のダークな特撮雰囲気が最高だし、クモオーグが一番好きなキャラクターだ。
クモオーグはショッカーの思想の中では単純に人殺しがしたいという危険思想の割に別に頭がいいわけでも無さそうだから、もう掃除屋しかやらせることなさそうな感じがいいし、割とその境遇に満足いってる感じがポジティブな感じしていい。人に戻るというどうでもいい理由でプラーナを排出する云々のセリフは結構効いてて、人と怪人の差をちゃんと考えるように誘導してるのが上手い。
そして物語の観測者として出てくるK。ロボット刑事Kでもあるし、単純に石ノ森作品や手塚作品のロボット感もあるK。AI云々の話や観測者であることなんかは浦沢先生のプルートゥなんかも思い出した。特にヴィジュアルと駆動音が最高だ。
割と僕の仮面ライダーの思い出の中にはSICの思い出が印象的に残っている。小さい頃母に連れられ、よくアキバのリバティに観に行ってたしレビューブログみたいなのをひたすらに眺めてた。
怪人も含めて、今回割とSICっぽい雰囲気のヴィジュを出してくれててそこは嬉しい。KとかまじでSICのロボット刑事Kだもんねー
駆動音は人造人間ハカイダーっぽい。小学校くらいの時に観た衝撃は忘れられない。正直ストーリーは全然覚えていないが、あの駆動音とゴア描写、戦闘シーンは焼き付いている。
そして終盤。割と巻き取ってる感じはあるけど、ロボットものと特撮はそういうバタバタして雑な感じがあり、大風呂敷纏まんないぜ、みたいな方がいいという個人的な思想があるので逆に良かった。
正直いえば序盤のダークな特撮雰囲気と肉弾戦主体かつCGなしのアクションが常時続けばいいが、平成ライダーのようなギミックに薄いので映像として間がもたないのは否めない。かと言って怪人は二体しか出ませんとか言われても悲しいのでそれはしょうがない。
そんなわけで、ちゃんと仮面ライダーしてたし、観たかったものは観れた感じがしたんだけど、確かに人には勧めづらい。
特撮独特の映像の雰囲気とか、設定や舞台小物がハマる人とハマらない人はいるよねという感じ。
白組のCGが微妙なのはまぁウルトラマンでもわかってたし、セリフが聞き取りづらいのも邦画あるあるではある。
あえて物足りなさをいうなら脳を出して欲しかったよね、脳を。PG12にするためにあらゆることをプラーナで解決することにしたんだろうか。
ちなみにコレはSFじゃないよ。特撮だからね。プラーナ万能すぎるだろというツッコミは無しだよね。