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AI時代だからこそ必要な疑問力と行動量
みなさん、はじめまして!
株式会社アトラエでエンジニアをしている飯山(@motonosuke_dev)です。
アトラエでは成功報酬型マッチングサービス「Green」、ビジネス版マッチングサービス「Yenta」の開発・運用を兼務しています。
はじめに
ここ数年、AI技術の進化はめざましく、エンジニアの開発現場にも大きな変化をもたらしています。
2022年にリリースされたChatGPTやGitHub Copilotは、わずか数年でその精度と機能を飛躍的に向上させ、2025年の現在ではさまざまなAIモデルが登場し、複雑な要件定義やロジックに対しても的確にコード提案を行うようになりました。
こうしたAIツールの普及により、コーディングやデバッグの効率は格段に上がり、生産性やコスパ、タイパといった観点からプロジェクトを高速に進められるようになっています。
しかし、AIが優秀になった一方で、私たちエンジニアが失いつつあるかもしれない大切なものがあるのではないか?と考えました。
本記事では、「失われつつある大切なもの」とは何か、私の経験を踏まえながら考察したいと思います。
AIツールの普及とエンジニアの環境変化
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私はエンジニアとしてのキャリアをスタートしてから3〜4年ほどが経ちますが、AIツールがまだ本格的に登場していなかった時期から、ChatGPTやGitHub Copilotなどが登場し、エンジニアの開発スタイルが激変する過程を間近で見てきました。
当初のGitHub Copilotは名前が示す通り副操縦士的な役割で、メインでコードを書くというよりは、エンジニアの書いたコードを補助するレベルの提案が中心でした。
しかしリリース後は早いスパンで学習と改善が進み、執筆時点の2025年では深いコンテキストを正確に捉え、より的確なコードを提案してくれるようになっています。
このように、AIツールはわずか数年で大きく進化し、それに伴いエンジニアの働き方や学習方法も変化してきました。
効率を上げるためのツールが豊富にそろったことで、私たちは短期間で成果を出しやすくなる一方、失いつつある学習プロセスもあるのではないかと思っています。
デバッグに見る「地道な手間」の減少
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AIの進化で顕著に変化した点の一つとして「デバッグプロセス」が挙げられます。
従来であれば、エラー文が出力されたらその内容を読み、自ら仮説を立て、分からなければネットでエラー文を検索して類似の事例を探したり…という地道な作業が当たり前でした。
この過程でエラーが起きる原因を探るためにコードの一行一行に向き合い、
「なぜこの条件分岐でエラーになるのか?」
「別の書き方ならどう動くのか?」
といった疑問を持ちながら試行錯誤することで、エンジニアとしてのスキルが少しずつ底上げされていたと思います。
しかし現在では、AIツールにエラーの内容や状況を投げるだけで、「動くコード」の提案や修正まで行ってくれます。
もちろん、提案されたコードがいつも最適な解決策かは別問題ですが、エラー解消までの時間を大幅に短縮できるのは事実です。
これは効率化という観点では大きな利点ですが、同時に「自分で原因を突き止めるための地道な手間」を省略してしまう面もあります。
その結果、「なぜこのコードだとエラーになるのか?」=「なぜこのコードだと動くのか」を深く考える機会が減り、疑問力が衰えてしまう可能性があるのではないかと考えています。
※ 一方でAIツールを利用して"なぜ"という疑問力を育む人も多くいることは理解しています。
「疑問力」の衰退とそのリスク
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ここでいう疑問力とは、本質的な問いを立てる力のことです。
疑問力が衰退すると、エラーや不具合を表面的に「動く状態」へ持っていくことができても、その背後にある仕組みや原因を十分に理解しないまま終わってしまうこともあるかもしれません。
小手先の修正はできても、コードの保守性や拡張性を考えた最善策を講じることが難しくなり、結果的に大規模な変更や複雑なバグに直面した際に対応しきれないリスクが高まります。
もちろん、AIツールがなぜその提案を行ったのかを解説させたり、関連するドキュメントを参照させたりすることである程度のプロセスを学ぶことは可能です。
しかし、問題に直面したときに自分でエラーの根本に立ち返り、「ここが怪しいかもしれない」という直感や、「この変更でどう挙動が変わるのか」という行動を重ねる過程は、エンジニアが論理的思考を身につけるうえで欠かせないものだと考えています。
AI時代だからこそ必要な「泥臭く行動すること」
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前段を踏まえて考えていることは、「泥臭く行動すること」の大切さです。
昨今はAI技術の進化や時代傾向的に生産性向上、タイパ、コスパ意識といった言葉を耳にすることが増えてきた印象を持ちます。
効率的に作業を進めることは業務をする上で非常に重要ですが、そればかりにとらわれると、疑問力を育む余地が失われてしまう可能性があると考えています。
実際、AIツールを使えば一瞬でエラーを解消してくれるかもしれませんが、あえて時間をかけて「ほかの書き方はないのか?」「こうするとどんなエラーが出るのか?」といった確認を一つひとつ行ってみる価値はあると思います。
こうした泥臭いアプローチを繰り返すことで、コードの仕組みや動作原理への理解が深まり、将来の開発で応用できる知識やノウハウが蓄積されていきます。
量をこなしながら疑問を持ち、疑問を持ちながら学習し、学習しながらまた実践する。
特に若手と呼ばれる人にはAI時代だからこそ、この繰り返しがエンジニアのスキルアップには欠かせないと感じています。
おわりに
AI技術やツールの進化によって、私たちエンジニアの仕事は日々効率化され、環境が整いつつあります。
一方で、自ら疑問を持ち、深堀りする機会や泥臭く行動して試行錯誤する機会が損なわれがちな側面もあるかなと思います。
特に私のようにキャリアの浅いエンジニアで、問題解決のプロセスを飛ばして答えだけ得てタスクをこなしている場合は危険信号だと思います。
AI時代だからこそ、効率化だけに意識を向けず、地道に学ぶ姿勢も維持し、自ら疑問を抱え、学んでいく力を養うのも大切だと考えています。
おしまい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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