UCLA Research Studio "Design with an Explicit Statement of Mission & Vision" by Greg Lynn / Part1
00. はじめに
僕はUCLA Architecture and Urban Designの3年間の建築修士コース(M.Arch)に2020年から在籍して、2023年6月に卒業しました。
UCLAはクオーター制(11週間)をとるため、1年で3クオーター、つまり3年間で9つのスタジオを履修します。詳しいカリキュラムや個々のスタジオの作品、スタジオ構成については別の記事で書こうと思います。こちらでは3年目に通年で行われるResearch Studioについて紹介します。
通年のResearch Studioで、かつそのプロセスがかなり興味深く、詳しく説明したいなと思い、Part1ではリサーチのフェーズ、Part2では設計のフェーズにわけて紹介します。
01. Research Studioについて
修士設計スタジオでは、毎年4人の教授が指導教員となり、それぞれがテーマ設定を行い、配属された学生はその先生のもと、リサーチを行い、最終的に修士設計の作品を制作する流れになっています。
個々が自由なテーマ設定を行える日本の卒業設計・修士設計と大きく異なるのは、それぞれのスタジオに指導教員の技術的・理念的な特性が色濃く現れることです。
例えば2020-21年度のNeil DenariのResearch Studioでは、高層ビルのプロトタイプを12人の学生がそれぞれ設計するという課題設定のもと行われました。同年度のJason Payneのスタジオでは、Owens Lakeの人工的な生態学に基づいたアプローチを全体のテーマとしています。
UCLAも過去には自由にテーマ設定を行なって修士設計を行う制度があったのですが、学生が教員の元で、最新の技術や理論を1年間かけて研究することで、修士設計の質を高めることができると判断したことから、現在のようなフォーマットになったようです。
02. このResearch Studioを選択するまで…
Greg Lynnは、もはや説明する必要はほとんどないかもしれません。特に90年代-00年代の建築のデジタル分野においては最重要人物の一人と言っても過言ではありません。最近では、ロボティック・カンパニーを作ったり、ヨットの会社を持っていたり(!?)かなり活動の幅が広いことでも知られています。(自分のカバンをロボットに載せて、大学に来たりしてました)建築家であると同時に、ビジネスパーソンのようなパーソナリティをみせる、僕がこれまで接してきた建築家とはかなり異なった個性を持っている人だなと思いました。とはいえ、よくみてみれば、ロボットやヨットの形態のデザインそのものも、これまで彼が研究してきたスムーズな造形とリンクするものがあるので、もちろんプラクティスとしては大きく異なるとはいえ、一貫性がないわけではないということにも気づきます。(その気質のようなものと、今回の修士設計スタジオの課題設定とリンクしているな、と後々気づきました。)
ここ数年はIDEAS CAMPUSの方で教鞭を取ることが多く、ほとんど姿を表すことのないレアキャラだったのですが、今年度からResearch Studioを持つこととなって、かなり周りがざわざわしていたことを覚えています。(笑)
毎クオーターのはじめに、全校の学生がホールに集まって、全てのスタジオ課題の紹介を書く教員がプレゼンテーションするLotteryというイベントがあります。そこで僕を含めた多くの学生が期待感をもってGregの課題説明を聞くことになるのですが、彼は主にVision StatementとMission Statementというあまり聞きなれない概念と、どうみても怪しい(!)建築家のパーソナリティ診断のようなチャートを紹介するだけで終わりました。敷地や、プログラムは全く決まっていないし、スタジオの骨組みはコレクティブに行っていく予定だ、と知らされるだけで、全く掴み所のないまま、指導教員を選択するアプリケーションの締め切りを迎えたのを覚えています。(笑)
とはいえ、課題設定が明確すぎる他のスタジオで決められた手順でリサーチを行って、決められた提出要項に則って制作をするのは自分の3年間のスタジオ生活を締めくくるにもどうも納得がいかないよな、と思っていたので、半信半疑でしたが、Gregに賭けてみようと考え、彼のスタジオを受けることにしました。そもそもこのResearch Studioのフレームワーク自体も彼が初めてトライするものであるとプレゼンテーションで話していたので、ある意味失敗が許される、プレッシャーのない状態で1年間チャレンジできることに魅力を感じました。
そして、無事彼の元に配属されることも決まりました。
03. Mission Statement and Vision Statement
03.01 Background: Statementについて
Research Studioでは、最初の2クオーターは週1回のセミナー形式、最後のクオーターはエスキスがメインの週2回のセッションという流れです。
さて、晴れて彼の元で初めてのセミナーが始まるのですが、まずは開口一番「技術的なことを教える予定はない」と話しました。というのも、Gregといえば色々なモデリング、プレゼンテーションテクニックなど技術的な部分が秀でている人というイメージがあるので、彼が技術的なアドバイザーになることをおそらく僕ら学生たちもどこか期待していた部分はあったと思います。真意として、修士設計ではこれまでの2年間と3年目のトピック・スタジオで技術的なノウハウを積み重ねていったものを用いて表現するべきだということなのではないかなと思っています。
最初の2クオーターはひたすらMission StatementとVision Statementを既存のレファレンスをもとに、自ら編集して付け足し、削除し、新しい言葉を考えたりしていきながら作成していく作業に徹しました。この期間ではモデリング・イメージメイキングなどは全く行うことはなく、ひたすらステートメントを限りなく明瞭なものに近づけることを行っていきました。
さて、そもそもここで指す、Mission Statement とVision Statementは何なのかを説明しなければいけません。
まずMission Statementについては「Core Competency」という言葉と重要な関係を持っています。この言葉は直訳してしまえば「核となる能力」のことで、企業で例えると、競合他社を圧倒的に上回る「得意分野」のことを指しています。つまり建築家としてどのような能力が他のデザイナーよりも優れているのか、自分の売りとしているのかをMission Statementを用いて、最も明瞭な形で説明するということです。
例えばGoogle社は:
Nike社であれば:
というステートメントを持っている。これらの企業の本質は「Core Competence」を定義しているもので、そしてそれらはMission Statementによって体現されているとGregは考えています。
Google社にもMission Statementに加えて、Vision Statementがあります:
つまり、Vision Statementは、このCore Competencyを実現するための手段を明確化させたものです。
ところで、このセミナー自体は、彼がもともとIDEAS CAMPUSで学生たちが過去の建築家の作品や言説などを分析して、彼らのMission StatementとVision Statementを作成するというセミナーのリサーチの一部を引き継いでいる。さて、その過去のセミナーを通して、彼はシラバスで以下のような問題意識、あるいは気づきを明かしています:
当然、僕自身も、建築家が自分自身のコア・コンピテンシーを正しく把握しているはずだとは思っていますがやはりそれを明文化してしまうことによって、自分自身が縛られてしまうことに抵抗を感じているのかもしれません。(これについては個々の実務者がどう考えているのかを実際に聞き出してみないとわからないことかもしれませんが)
とはいえ、このステートメントの作成においてすごく重要視されていたのは、建築に蔓延るジャーゴンを極力取り払い、オーディエンスを市民領域(Civic Realm)に広げることです。この作業はかなり大変でした。
ステートメントはかなりシンプルな1文に収められるので、一言一言の微妙なニュアンスの差などは致命的な影響を持ちます。
03.02 Statement作成のプロセス - 「集団的主観」
ではこのステートメントの作成はどのようなプロセスで行われたのでしょうか。まず、Gregがこれまで行ってきたセミナーで学生が作成した建築家のステートメントをテンプレートとして利用しました。ここで、レファレンスとなる建築家の「パーソナリティ」なるものを先述のチャート図を参考にしながら、自分自身のデザイナーとしての「ペルソナ」と照合していきます。例えば僕が候補として選定した建築家はチャート図においては、「Connect to Other」の範囲に入ることがわかりました。もちろんこれはあくまでも指標にすぎないので(若干の胡散臭さも感じつつも)主にレファレンスとなるステートメントに注目していくことに専念しました。
この骨組みを利用して、ステートメントにおいて残すワード、追加するワード、それを推敲していきながら編集を行なっていきます。当然、骨組みはスタートポイントとして機能しているに過ぎないので、最終的に作成されるMission Statementでは文章構成が大きく変わっているものがほとんどです。
このプロセスで面白いと思った部分は二つありました。一つは、この自分自身の「デザイナー」としてのアイデンティティのようなものを定義させるというかなり私的なプロセスにおいて、必ず「他者の視点」が入っているということです。自己認識を明文化させる過程において、どれだけの純度を持ちたいのかは人それぞれだと思いますが、それを他者に委ねることはそう簡単ではないと思います。自分自身が認めている人間、そうではない人間、自分のことをどこまで知っているのかわからない人、など、色々な人が同じスタジオにいるわけですが、彼らも積極的にステートメントの言葉選びや推敲に参加します。とはいえ、2年間スタジオ生活を過ごしてきたということもあり、デザイナーとしての「ペルソナ」という層に関していえば、ある程度表現されてきたものから他者に見出される部分はあると思います。僕は本来頑固な部分があるのですが、今回のスタジオの性質も鑑みて、ここはあえて他者に身を委ねてみてもいいのかもしれない(!)と思い、作成のディスカッションに臨んでいました。
ここでMission Statementの変遷をなぞっていきたいです。まず、僕は、レファレンスリストの中から、Robert Mallet Stevensのステートメントから出発しました。ちなみに、Mallet StevensはVilla Noaillesが有名で、ここは後にマン・レイが「骰子城の秘密」という映画を撮ったことでも知られています。
建築家の「Core Competency」を最も体現することができるのは「動詞」にあるとGregは説明しました。ここで、このテンプレートの中から、主に動詞に注目して、保持するものと、取り替えたいワードを選別していく作業に移ります。
ここで、太字はキープ、線を引かれたものは取り替えたいワードとして選ばれました。Stevensのステートメントは、空間体験(Spatial Continuity, Scenes)と方法論(Experiment, Permutation, Combination)の二つが組み込まれていることから選びました。
次のステップは線が引かれた部分に入れられる言葉を入れ替えながら、ステートメントを編集しました。
さて、ここで問題になったのは、「field/definition」はどう意味か、という問題です。日本語だと「場」、ですが、これは一定の秩序・ルールによって支配されている空間のことをイメージしていましたが、これをではオーディエンスにいちいち説明しないといけないのか、さらにこの説明自体がそもそも明瞭なものなのか、ということを問われました。僕自身ではある程度明確なニュアンスを持って使っていたつもりですが、とはいえそれは多くの人と共有できるわけでは決してないため、ここについて考え直すことになりました。このように、曖昧に、あるいは無批判に使われた言葉は徹底的に明瞭化させられました。
ここで、レファレンスとなるプロジェクトをみせる機会がありました。以下の3つの作品を見せたのですが、ここで「Maze(迷宮)」という言葉が浮かび上がってきました。「MotoはMazeをいつも作ってきたんだな!」とGregに言われ、確かに、この言葉には「空間体験」と「フィールド」、そして「Play」のどちらもが含まれていると思います。つまりこの一言で上記のステートメントにある多くの言葉を凝縮することができるわけです。その結果、以下のようなステートメントになりました。
もう一つ、「experiment」という言葉も一つネックとなっていました。「experiment」はある仮説があり、そしてその結果を受けて何らかのフィードバックを行うまでが「experiment」なのではないかという議論になりました。その場合、僕は常に仮説をもってプロジェクトに臨んでいるのかと問われたのですが、決してそうではないため、では先述の「rule」という言葉に基づいた異なる動詞を考えていこうということになりました。ここで候補に上がったのは「Organize」「Develop」「Design」で、「Design」は直接的で、上記のニュアンスがないためペケをつけました。「構造を与え、全体を形作る」という意味では「Organize」はかなり「Rule」という考えには近いのですが、ニュアンス的に「整理」などといった堅さを印象として与えてしまう部分が問題でした。「Develop」においては「Gradual」「Growth」「Evolve」が含意されていて、その発展的なプロセスが最もイメージに合うことからこの言葉がふさわしいと考えました。
さて、では最終的にできたステートメント自体に納得感はあるのか?と聞かれたら、僕は90%以上の納得感を持っていると答えます。すごい不思議ですよね。当然、これまでの作品を見てきたクラスメートが議論に参加しているのもあって、さほど自分自身の設計に対する捉え方と、他者によるそれに大きな隔たりがなかったのかもしれませんが、それを踏まえても、違和感がほとんどないものに至ったという結果は改めて興味深いです。
コレクティブに議論しあってステートメントを作成することにあたって実際に受益したものとして、例えば最終的なステートメントで組み込まれている「Maze」は自分からは出てこなかった言葉です。もちろん、サーキュレーション、複数のレイヤがオーバーレイしたネットワーク、フィールド、あるいはそのなかの空間体験、などといったものに一貫して興味を持ってきましたが、それを簡潔にまとめる術はありませんでした。これは、先述のように、セミナーで全体にこれまでの作品の3つのキービジュアルを見せたことによって、ふと出てきた言葉です。確かに、「Maze」は複雑な動線とそこにプレイフルさ、トリッキーさなどが込められている言葉だなと改めて思いました。
Vision Statementは異なるプロセスで行われました。Mission Statementを体現する建築的な「手段」を説明するためのものである、Vision StatementはMission Statementの初稿に基づいて、合計3つ作成します。ここで初めてレファレンスとなるイメージを使用することが許可されます。Vision Statementの初稿をそれぞれ3つのレファレンスと紐付けながら、編集していきます。以下がVsion Statementsの初稿です:
そして、以下がそれぞれのステートメントに対応する3つのイメージとなります。
さて、上のヴィジュアルを参考にしながら議論が進められていったのですが、(A)はあまりにも情報量が多く、スリムダウンしていく必要があると指摘されました。ここで「Rule」はどのように引き出されていったのかが議論の中心になりました。例えば「Hatch! Patch!」というプロジェクトでは敷地の南フランスの郊外にある衛星写真上から見えるランドスケープのパターンをサンプリングし、敷地にある既存の樹木のプロッティングから四分木平面分割を行い生成されたグリッドにランドスケープのパッチワークを新たにデザインしていくというルールのもと行われました。他のプロジェクトにおいても、ルールは必ず敷地の既存の情報を情報をいかに幾何的に変換するのかを考えてきました。つまり「Contextual Rule」という表現がふさわしいのではないか、ということに至りました。
(B)については、「Platitude」(平凡な説)であると言われました。つまり、「Performative Form」は当然空間の「場所」や「エピソード」を規定することにつながるからです。ならば、僕のこれまでのプロジェクトにおいて「Performative-ness」は何が規定してきていたのかを掘り下げていくことになりました。例えば、「House of 100 Furnitures」が表現しているように、場所のデザインにおいて僕は「もの」が重要なファクターであると考えてきました。同時に、天命反転住宅において各部屋が異なる断片として主張しているのはもはや「もの」である、プラトニックなフォームと、部屋の中にある設備や家具です。となれば、「Furniture」と「Equipment」についてフォーカスを置いたステートメントを書けばいいのではないか、ということになりました。
(C)に関してはレファレンスとステートメントが明確な対応関係を持っていて、わかりやすいためパスしました。
ここでイメージがステートメントの強い参照元として現れますが、イメージを通して、もともと自己認識状で捉えていた考えとは異なるコンセプションが生まれてくる可能性があり、その折り合いを集団的なディスカッションの中でどのようにつけていくのかが非常に大事でした。こうして、集団的なディスカッションを通して、1つのMission Statement、そして3つのVision Statementが作成されました。改めて、以下の通りになりました:
このようにいわば「集団的主観」のようなものが働きそれがある種の(緩い)客観性みたいなものを帯び、多角的に自分自身の「Core Competency」を浮かび上がらせる作業はかなり刺激的でした。修士設計・卒業設計において時に見られる、自らの内面性に過度に収斂してしまうものとは異なり、自らのデザイナーとしてのアイデンティティを探しつつも、その段階で必ず他者の目線が「混じって」しまうことによって、その言葉に常に受け取り手となりえよう、「他者」(それは広いCivic Realmなのか、特定のClient像なのかは人それぞれですが)が存在しているのかもしれないです。(もちろん、前者のように時には行き場のない情念をぶつける表現行為もあり得ると思いますし、今回のプロセスが正解だとは決して思っていません)
このプロセスでは、修士設計で何を設計するのか、敷地はどういう場所か、プログラムはどういったものを含めるのか、などといった条件は全く伏せられたまま行われました。プロジェクトの性質に応じるように、ステートメントをかくと、ステートメント自体の抽象性であったり、本質的な部分が揺らぎかねないからだと思っています。当然、与条件が変わればやりたいこと、やることが変わってしまうかもしれません、だとしたら、常に立ち返るべき自分自身のベンチマークであるはずのステートメントがブレブレの場合、全く機能しなくなりますよね。
もう一点、このプロセス内でとにかくすごい、と思ったのはGregのファシリテーター、コミュニケーターとしての能力です。いかに円滑に全体の議論を進めるのか、あるいは時には自ら一歩身を引いて学生たちの議論を(時にはかなり不毛になものになったとしても)進めさせるのかを見極める点についてはすごかったです。建築家としてこのようなコミュニケーターとしての能力は必須だなと改めて感じました。
03.03 Deliverables
さて、セミナーのフェーズにおける最後の段階として、最終提出物を決めるということを、こちらももちろん全体の議論を通して行いました。
これも、かなり面白いですよね、少なくともこれまでのUCLAのスタジオではレイアウトにはほとんどテンプレートがあり、そこに所定のドローイング・レンダリング・ダイアグラムをレイアウトしていくのが普通でした。スタジオ全体の統一感のようなものを出すことが目的だったのかもしれません。対してこのスタジオでは学生それぞれが3つの提出物の希望を出して、それを全体で議論して定めます。
ここで重要なポイントは、そのプレゼンテーション媒体は果たして自分のプロジェクトの考え・ムードを最大限に表現できているのかどうかです。ここで若干難しかったポイントはそもそも設計の与条件(プログラム・敷地・FARなどの諸制約など)がないため、どうしてもイメージしにくいことです。とはいえ、ここでもあくまでもステートメントに基づいて意思決定を行うということに徹することが求められました。
では僕の場合だとVision Statement (B)の家具と諸設備が空間のエピソードを定義するという点に関しては、詳細な家具を含めた平面図を書くことで、平面上に散りばめられた空間の断章のようなものを表現することができると考えたので、一つの提出物が決まりました。もちろん、自分がやりたいこと・チャレンジしたいことがよほどステートメントと乖離していないのであれば提出物に組み込んでもいいので、そこまで縛りの強いものではなかったことを付け加えておきます。結果的に以下の提出物に定まりました:
とにかく、ステートメントに忠実に、照合させながら提出物、そしてこの先の設計のプロセスを決めていくというシステマティックなアプローチを取りました。当然、一連の決断プロセスの中で、ステートメントとその他の事象が齟齬を起こすことは当然起こりますが、その都度、極力ステートメントをずらすことを避け、設計の内容や提出物を修正していく作業が行われました。
面白いのは、設計のプロセスをシステマティックにするのでは決してなく、設計や表現の価値判断基準にシステムを付与するという点です。設計のプロセスをシステマティックにするということはあくまでもそれ自体が一つの選択であり、それ自体もその背後にある価値判断基準をもとにした結果に過ぎないのです。
04. Part1 まとめ
長々と書いてしまいましたが、いかにユニークなプロセスを経て設計の下準備を行ったことが伝わってのではないかと思います。これを探り探りやっていくことは不安よりも、どうにかしてGregの目的を突き止めてやるぞ!という態度でやっていたので、徐々に意図がわかるようになってきてから、これは実はかなり面白いんじゃないのか!?と思い、半信半疑から徐々に興奮に変わっていきました。
次のパートでは設計について詳しく紹介していこうと思います!