MY17KTM250EXCに乗り続けてるオタクの文章練習①
概要
2018年の年末に友人から譲り受けた2017年式KTM 250EXC(以下17EXC)に拘り、現在に至るまで乗り続けているオタクが文章作成の練習がてら書いてます。今回は車体について。
そもそも17EXCってなに?
2017年にTPI化に伴いフルモデルチェンジ!…されるはずだったのにTPIが間に合わず急遽TPIエンジンにキャブを積んだ(という噂の)バイク。
18年式からは立派なTPIが採用されたので、この17EXCがKTM2st250ccクラス最後のキャブ車になります。
発売当初から次年式(18年式)からTPIが採用されると噂があったのでディーラーも積極的に売ることはなく、半ば在庫処分みたいになっていた記憶があります。
そんなトラディショナルとモダンの狭間みたいなバイクですが個人的にはKTM2st250ccの中では一番ハードエンデューロ(以下HED)に向いたバイクだと思っています。理由は下記につらつらと。
他年式と比較したときの17EXCの優位性
前モデル(2014~16年式)比較
・セルモーター搭載位置
16年式まではセルモーターがエンジンの横についており、どこからどうみても後付けの雰囲気を醸し出していました。
このセルモーター、まあよく壊れます。後付けで無理があったのか、回転軸の向きを変えるクラウンギアが悪いのか分かりませんが、モーター、ジェネレータカバー、ベンディックス軸受と壊れる部品のオンパレードです。
筆者は17EXCの前にフリーライド250Rに乗っていました。こちらも横付セルモーターでしたがチャンバーの取り回し上、セルモーター本体を石や切り株などの障害物にぶつける危険性が高く、筆者も案の定CGC斑尾のフリー走行中にジェネレータカバーを破損してDNS、修理後も騙し騙し乗っていましたが、最後はCGC大町でベンディックスの軸受が破損しエンジン始動不可になってエンジンケースを交換した最悪の経験があります。
16年以前の250EXCはチャンバーが張り出しているので物理的に壊す可能性はフリーライドに比べて低いのですが、やはり横付けセルモーターの信頼性は低く、普段のエンジン始動ではキックを使うな!みたいな話もありました。セルの存在とは…?
その点17年式からはエンジン下にセルモーターが搭載されましたのでぶつける心配もなくクラウンギアを介してもいないので破損する可能性はかなり低くなりました。セルモーターの耐久性も上がったのか4年間使い続けたセルモーターを開けたところ、ブラシの摩耗くらいでその他の不具合はありませんでした。
エンジンを再始動するシチュエーションが多い(≒セルを多用しがちな)HEDではセルの信頼性はなによりも大事だと思っています。
まあ2stYZみたいにキックオンリーなバイクもまだまだ戦えていますのでセルが必須というわけではないのですが、レース中に今まで使えていたセルが使えなくなったときの絶望感は中々辛いものがあります。そもそもセルモーターが付いてるバイクってキックも重いのでエンジンかけるのも苦労しますしね。
・フロントサスペンション
これはスタンダードモデルの16EXCでは関係ない話なのですが、6DAYSモデルではWP 4CSサスペンションが採用されています。
この4CS、乗り味がとても良く今でもファンが多いサスペンションなのですが、内部構造が複雑なのか耐久性が低いのか分かりませんが、よく壊れている印象があります。自分の周りでも二人ほど内部部品をぶっ壊してサスペンション丸ごと交換していました。
17EXCではWP XPLOR48サスペンションに変更されています。オープンカートリッジタイプのサスで性能が高い訳ではないのですが、不思議と不満も少なく更にネガであるはずのオープンカートリッジのお陰でOHも簡単ということで結構万人に受け入れられている良いサスだと思ってます。
減衰機能が左右で独立していて跨ったまま調整出来るのもちょっとしたメリットですね。
・バランサーがない
17年式以降のKTMのトピックスと言えばこのエンジンバランサーが上げられると思います。
2st250ccは結構エンジンの振動が大きく、それが原因で手が痺れたり、疲れが溜まってくることがありますが、17年式以降ではエンジンにバランサーが追加されてこの振動がほぼ解消されています。逆を言えば16年式まではバランサーが付いていないのでこの振動がしっかり残っています。
ただこの振動がトラクションに関係しているという話もあり、一概に振動がないから良いってわけではなさそうです。
現にBETAでは20年式からエンジンにバランサーが追加されましたが、KTMのように完全に振動と無くすのではなくある程度残していたり、そもそもYAMAHAはバランサーレスなところから考えてもバランサーにはメリットデメリットがありそうです。
ただ個人的にはKTMのように完全に振動を消してくれたほうが疲労感が段違いなので好みにあっています。
同モデル(2018~19年式)比較
・分離給油・オイルポンプ
みんなが待ち望んだ待望のTPI、キャブの時代はこれで終わり令和の空気をTPIで吸うぞ!という空気も束の間、TPIならではの不具合も増えました。
大幅に増えたセンサの汚れ詰まりによる始動不良、アイドル不良、プラグ被りなど…
ただ一番の致命的な問題は音もなく壊れ、エンジンを破壊するオイルポンプだと思っています。書いてて思いましたが人間の肝臓みたいですね。
80時間で交換と記載されていますが80時間以内に壊れることもあり、壊れた場合はそのままエンジンが焼き付いて腰上終了…オイルポンプが原因で腰上OHした人はかなり多いのではないでしょうか?
現在は色々対策が増え、100:1程度の混合ガソリンを給油しておくのが定番になっていますが、当初は混合ガソリンを入れるとインジェクターが詰まるなんて噂もありました。
17EXCはトラディショナルなキャブ車なのでそもそも混合給油ですし、焼き付きとはほぼ無縁です。
・車両重量
TPI化に伴い大幅にセンサなどが増えたと前項で書きましたが、もちろんその結果車重も大幅に上がっています。
17EXCが乾燥重量で100kgのところ、18EXCは103kgと3kgの重量増となっています。同じ車体なのに3kgも差があるということはそれだけTPIに関係する部品が増えているということがわかります。
個人的にはオフロードバイクの部品は少なければ少ない程良い(≒それだけ壊れにくい)と思っているので部品も増えて重量も増えているTPI化は結構なデメリットだと思っています。
・キックペダルの重さ、かかりの悪さ
一度借りてキックでエンジンをかけようとしたことがありますが、同じエンジンのはずの17と比べてもべらぼうに重く、かつ全くかからず諦めたことがあります。ただこれはセルが動けば全く問題ないところではありますね。
17EXCはキックオンリーなSXやYZに比べると重いですが、普通にキック一発始動です。
後モデル(2020~23年式)比較
・分離給油・オイルポンプ
・車両重量
については18~19年式と同様ですね、ただしTPIは熟成が進みましたし、このモデルからKTM/HSQよりお手頃なGASGASが新たに増えたことにより、TPIユーザーも増えて対策が一気に広まり、TPI関係の変なトラブルはほぼ聞かなくなりました。但しオイルポンプは品番も変わらず対策品も出ていないので相変わらず時限爆弾を抱えています。
ちなみにこの年式から乾燥重量は103.9kgになりました。17EXC比で+3.9kgです。
・エンジンケース、ピボットシャフト部の破損
最近は聞かなくなったので対策されたのかもしれませんが、20EXCではエンジンケース、ピボットシャフト部に亀裂が入る、最悪完全に破断してエンジンケース内のブッシュが露出するという不具合が散発していました。
通常の使い方だと発生しない不具合かもしれませんがHEDのようなバイクが横回転しながら落ちていくような使い方をしているとエンジンに捩じれるような荷重が掛かりケースに亀裂が入るのかもしれないです。
※このトラブルは20年以降特有の不具合だと思っていましたが先日筆者の17EXCでも同じトラブルが発生しました。ただ約7年近くHEDでシバかれ続けた17EXCと新車で買って半年くらいの20EXCでは悲壮度にかなりの違いがあると思います。
・リアフェンダーが折れるとシートが取れる
20~23EXCはなぜかシート後端部をサイドゼッケンではなくリアフェンダーに共締めして固定しています。
リアフェンダー固定だと何がいけないの?って話なのですが、20~23EXCのリアフェンダーは4か所ボルト止めで止まっているのですが、ウィリーなんかで捲れるとリアフェンダーの剛性が高いせいなのか、リアフェンダーが折れるわけではなく、リアフェンダーを固定している4か所のボルトに繋がるリアフェンダーのステーが(ほぼ)全て折れます。
ステーが折れるとリアフェンダーがフリーになるので、リアフェンダーに固定しているシートもフリーになってしまいます。結果、コース上や山の中でシートとリアフェンダーのないバイクが誕生します。
17EXCのリアフェンダーは捲れたときにリアフェンダーが曲がる、折れる程度の剛性なのでステーは折れませんし、そもそも構造上シートが外れないようになっています。
・キックペダルがオプション化
前項でキックペダルが重い・かかりが悪いと書きましたが、それでもキックがあれば不意にバッテリーが上がった時に頑張ればエンジンをかけることが出来ました。セルを多用するHEDライダーはバッテリーの消費も早いのでキックペダルがないのは死活問題になりかねません。
すぐにトランポに戻れるような場所なら問題ありませんが、トランポから離れた山奥、しかも谷でバッテリー上げた日には自分を恨まずに神を恨むしかありませんが17EXCなら大丈夫。最初からキックペダルが付いてます。
※オプションなので5万くらい払えば付きます。
現行モデル(2024~年式)比較
・オイルポンプ
TPIからTBIに変わっても相変わらずオイルポンプは相変わらず部番も変わらず(≒対策せず)昔のものを使用しています。一番最初に交換すべきところな気がしますが、KTMは何を考えているのでしょうか?
ただ24年式からスロットルボディがケーヒンに代わりましたがSXやXCでもEXCと同じスロットルボディを使用しているようなので、何も気にせず混合化できそうなのはいいですね。余計なトラブルを防ぐためにもHEDライダー諸兄は死ぬまでミキシングタンクを振りましょう。
・車両重量
公称は104.9kgで重く見えますが、23EXCまでは乾燥重量で24年式からは燃料を除いた重量なので表記が違います。冷却水とオイルの分を引くと20~23EXCと同じくらいの車重になるのではないでしょうか。
でもやっぱり17EXCのほうが軽い。
・サブフレーム半樹脂化
海外では早くもサブフレームを折った偉大な兄貴がいるようですが、国内ではまだ話を聞かないのでそこまで気にすることないのかもしれません。
ただHSQのサブフレームの印象が強すぎて樹脂のサブフレームはまだ抵抗感があります。
正直現行モデルは身近に乗っている人がまだいないのでよくわかっていません。ただ試乗した感じはとてもシルキーなキャブ車という感じで伝聞を聞く限りは車体にネガもなく、もし乗り換えるならTBIかなと思っていますが、あと4年は17EXCに乗ります。高いよ135万は…(17EXCは101万)
結局何が言いたいの?
筆者が考える一番HEDに向いているバイクは、
壊れないバイク
だと思っています。
壊れやすいバイクはお金が掛かります。ただでさえ他の趣味に比べてお金が掛かると言われるHEDで更にバイクの修理費にお金を掛けたくないのは皆さん同じだと思います。
併せて、バイクが壊れる=バイクに乗れないって事はいつまでも上手くなれないってことでもあります。
この趣味をしている人の大半は社会人で土日くらいしか乗る機会がないと思いますが、その数少ない土日を修理で潰してたらいつまで経っても上手くなれません。
バイクが壊れる⇒修理で乗れなくなる⇒バイクに乗る頻度が減る⇒引退
バイクが壊れる⇒修理でお金がなくなる⇒バイクが壊れても直せない⇒引退
誰もがこんなルートを歩んだ人を見たことがあると思います。
よく初心者が上級者から
「最初はYZ125Xを買え」
と言われていますが、それは"壊れにくい""壊れても部品が安い""部品がすぐ来る"この3点が初心者には一番大事だと肌感覚で分かっているから勧めているんだと思います。
この17EXCは前後モデルのEXCと比べてとにかく”壊れないバイク”になっています。
・セルモーターは壊れやすい横付けではなくエンジン下
・時限爆弾であるオイルポンプがない
・リアフェンダーが折れてもシートが取れない
これに併せて
・キックセル併用
性能はさておき、この4点が筆者が17EXCを愛してやまない点です。
ここまで良い点だけを書きましたが、もちろんダメな点も多数あります。
ただそのダメな点が直しようのない致命的な点ではなく、後からなんとかなる点と言うのがこの17EXCを乗り続けている理由かもしれません。
以上。
次回は
・17EXCのダメなところとその対策について
・他メーカーでも良くね?って思う人向けの17EXCのいいところ
なんかを書きたいですがもうちょっと飽きてます。
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