第三回書き出しコロシアム全体所感

今回はじめて書き出しコロシアムなるものを通読した所感をつらつらと。ひとりごと的な備忘録。
個別の作品に対する言及は一切ありません。



不満というわけじゃなく率直な疑問なんですが、やたらミステリが多くないです?

ジャンルとしてミステリ小説が多いわけじゃないのに、話の展開をみるとミステリしてる作品がたくさんある印象。

過去の書き出し祭りもコロシアムも読んだことがなく、最近のラノベもWEB小説もほとんど知らない人間なので、ちょっと意外で驚きました。

いまどきの流行りかとも思ったんですが、もしかして参加条件になってる書き出し祭りの仕様的にミステリ有利で、限られた話数で万人受けする引きを作ろうとすると必然的に偏っちゃうのかな。

WEB小説一般でよくある序盤に畳みかけるスピード感とかキャラや設定のキャッチーさとかとはまたちょっと違った傾向がみられるんだなーと思いました。

この文字数の3話で、想定読者の属性が通りすがりの読み専ではなく腰を据えて読む気でいる書き手で、じっくり比較される前提なら、まあそうなるかあ。

そのくせ、メインの謎が大きすぎると解答編までいけないから山を作りづらくて、小出しに詰め込むには文字数が足りず駆け足ブツ切りになりやすく、単純にミステリ要素が強ければ有利ってわけでもない。

確認したら書き出し祭りは4000字単発なのか。
それと6000字×3じゃ全然違いますもんねえ。

ベースのストーリーラインは途切らせず出し切らず、次はこうなるんだろうなと先の期待を匂わせ、ほどよく波打たせるバランス感覚が問われたりするんだろうか。

あと、これは私が一般文芸に慣れてしまってるのもあるんだけど、展開を詰め込まれすぎると頭に入ってこない問題。

文章の密度に反して展開が速いと、うまく呼吸が合わないというか。もちろん丁寧に読めば話の流れは追えるけど、それだけで疲れてしまうから没頭しにくいんですよね。

書き出しコロシアム仕様で(?)詰め込まれてなかったら印象がだいぶ変わったであろう作品もチラホラ。私が潮流に追いつけてないだけかもしれないけども。

でもなあ、ちゃんと読めば刺さるかもしれないけどちゃんと読むハードルが高くて、もったいなく感じてしまうんだよなあ。

いや読んでるんですけど。全作品、全話、全文、目は通したはずなんですけど。

こればっかりは感覚の問題なのでどうにもならなくてもどかしい。

第一印象で惹かれても惹かれなくても、フェアに誠実に読もうと思って向き合ってるのに頭に入ってこない。何が起こってるのか点では追えるけど浸れない。

もともと軽いテイストの作品なら駆け足に畳み掛けられてもすんなりついていけるけど、だから続きを読みたいかっていうとそういうわけでもなく、マイナス要素にならないだけで加点要素にもならないのです。

私わりと重たいの好きな側なんで……軽いのも嫌いじゃないけども。読みやすいと読みたいは別で、読みやすさって好みを覆す要素ではないんですよねえ。

読みづらいと読みつづけるハードルは上がるけど、それでも読みたければ慣れて気にならなくなっていくのも経験上わかってる。けれど導入の時点で評価しろって言われるとマイナス要素にはなってしまう。

個性的であればあるほどギュギュッと圧縮しなきゃどんな物語かさえ伝えられないのはわかるし、個性が弱ければ埋もれてしまうのも、一発ネタ的な掴みだけだと息切れするのもわかる。

そういう意味では、だいたい何が起こるか予想できて認知負荷が低く、独自の趣向を凝らす余裕をもてる王道は強い、というか読み手に優しいですよね。それはそれで差別化の戦いが出てくるんでしょうが。




と、まあ、読み手としては贅沢を並べつつ、書き手としてはただただ参加者の皆様の苦悩がしのばれます。

※念のため付け足しますが、なにが良い悪いって話じゃなくて、ただへーそうなんだーって思った話ですよ。

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