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FXトラリピ新戦略①/マイナススワップを回避しよう

この記事では、マネースクエアが推奨する「ハーフ&ハーフ」というFXトラリピ戦略の問題点を指摘し、その解決策を提示します。


収益力No.1のハーフ&ハーフ

ハーフ&ハーフとは、予想レンジの安値〜中間値に買いトラリピを仕掛け、中間値〜高値に売りトラリピを仕掛ける戦略です。

この戦略は、普通のトラリピ(安値〜高値に買いトラリピまたは売りトラリピのどちらか一方を仕掛ける戦略)や両建てトラリピ(安値〜高値に買いトラリピ及び売りトラリピの両方を仕掛ける戦略)より収益力が高いとされています。

このことについて、マネースクエアは、「トラリピ情報局」の「トラリピの応用戦略」という記事で解説しています。

2017年1月から2019年3月までの2年3カ月間、ドル円の105〜115円にトラリピを仕掛けた場合、利益の合計は次のようになったといいます(いずれも1本あたり1000通貨、利益金額1000円、ストップロス104円、見積損失額約30万円とした場合)。

・買いトラリピのみ(51本) 362,938円

・両建てトラリピ(買い51本、売り51本) 618,495円

・ハーフ&ハーフ(買い92本、売り92本) 1,334,761円

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※ 出所:マネースクエア

ハーフ&ハーフは、普通のトラリピに比べ、仕掛けられる通貨量が約3.6倍になるので、収益力も約3.6倍になるのです。

そのため、ブログでトラリピの実績を公開している人たちは、ほとんどがハーフ&ハーフを採用しています。

ハーフ&ハーフの問題点

しかし、ハーフ&ハーフには、1つ難点があります。

それは、一部の例外を除き、買いトラリピと売りトラリピのどちらかで必ずスワップがマイナスになってしまうことです。

上記のドル円の例でも、普通の買いトラリピのスワップ合計が22,938円であるのに対し、ハーフ&ハーフのスワップ合計は5,544円-111,783円=-106,239円です。

これが痛い、と私は思うのです。

もし売りトラリピのマイナススワップがなければ、利益合計が8.4%(111,783円/1,334,761円)以上増えるのですから。


このマイナススワップの問題を軽視する人もいます。

確かに現在(2021年2月)は、新型コロナ禍で各国の政策金利は軒並み引き下げられ、主要国の金利差は極端に小さくなっています。

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※ 出所:外為どっとコム

しかし、それでも、例えばドル円の売りスワップは、1万通貨あたり1日マイナス99円となっています。

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※ 出所:マネースクエア

1万通貨の売りポジションを抱えていれば、スワップによる損失額は1年で3万円を超えます。


新型コロナ禍以前は、各国の政策金利にそれなりの差がありました。

例えば2019年は、次のような状況でした。

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※ 出所:外為どっとコム

日本とアメリカの政策金利には2.6%の差があったのです。

当時、私はドル円とポンド円の売りポジションを抱えていて、マイナススワップに収益面でも精神面でも苦しめられたのを覚えています。

ネットで検索すると、当時、マイナススワップのダメージに耐えきれずにドル円の売りトラリピや豪ドルドルの買いトラリピを損切りする人たちが相当数いたことが分かります。


かつては、もっと金利差の大きい時代がありました。

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2008年1月の日本とニュージーランドの金利差は、なんと7.75%でした。

マネースクエアのあるセミナー資料には、次のようなNZドル円の長期トラリピのバックテスト結果が載っています。

・期間:2007年4月1日〜2016年1月31日(約9年間)
・注文:買いトラリピ
・レンジ:40円〜100円
・通貨量:1,000通貨╳120本(0.5円おき)
・利益金額:500円(利益値幅0.5円)

      ↓

・リピート回数:2,315回
・利益確定金額合計:1,174,820円
・スワップ合計:798,820円
・利益合計:1,972,879円

このバックテストでは、利益合計の約40%をスワップが稼いでいるのです。

逆に言うと、同じ条件で売りトラリピを仕掛けた場合は、ほとんど利益が出なかったことになります(買いのプラススワップより売りのマイナススワップの方が大きい)。

ハーフ&ハーフにした場合も、「トラリピの応用戦略」の記事から大雑把に推計すると、

・利益確定金額合計:4,979,163円
・スワップ合計:-3,699,792円
・利益合計:1,249,371円

となり、利益確定金額は飛躍的に増大するものの、マイナススワップのダメージが大きいため、トータルの利益は減少します(「トラリピの応用戦略」の記事における普通の買いトラリピとハーフ&ハーフの損益の比率を単純にかけただけの推計であり、バックテスト結果ではありません)。


いずれにしても、長期トラリピにおいては、スワップが収益を左右する可能性があり、マイナススワップのダメージを軽視するべきではありません。

ハーフ&ハーフは、非常に優れた戦略ですが、買いトラリピと売りトラリピのどちらかでスワップがマイナスになるという難点があり、マイナススワップのダメージにじわじわと苦しめられる恐れがあるのです。

新戦略スワップハーフとは

そこで、私は、ハーフ&ハーフの発想をベースとしつつ、このマイナススワップのダメージを回避し、あるいは最小限にする新たな戦略、「スワップハーフ」を考案しました。


あらかじめ断っておきますが、残念ながら私にはトラリピのバックテストをするPC技術がありません。

したがって、ハーフ&ハーフとスワップハーフの過去の収益力の比較はしておらず、これから述べるのは私の論理的な考察のみです。


ちょっと話が脇道にそれますが、バックテストというものは、過去のある特定の期間における結果に過ぎず、過度の信用は禁物です。

例えば前述の「トラリピの応用戦略」の記事も、現実にはありえない設定だと思います。

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このバックテストは2017年1月から2019年3月までドル円の105〜115円にトラリピを仕掛けたものですが、2017年1月3日のドル円レートは117.33円です(始値)。

現在値が117.33円の時に105〜115円にトラリピを仕掛けますか?

買いトラリピならともかく、現在値より下に売りトラリピ(ハーフ&ハーフ)を仕掛ける人がいるでしょうか?

2017年1月〜2019年3月のドル円が105〜115円を往復し、ハーフ&ハーフがうまくワークしたのは結果論であり、このバックテストはご都合主義と言われても仕方がないでしょう。

バックテストは重要な情報ではありますが、必ずしも未来を示すものではないのです。


私は、理論上スワップハーフの方がハーフ&ハーフより優れていると考えており、自らのトラリピは全てスワップハーフで設定しています。

少なくともハーフ&ハーフにマイナススワップの問題があることは間違いないので、私としては、その問題を解決するアイデアを提供することに一定の価値があると思い、この記事を書きました。

マイナススワップの問題で悩んでいる方や過去に苦しんだ経験のある方には、ぜひお読みいただきたいと思います。


さて、スワップハーフとはどんな戦略なのか。

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