夜中に熱が出た、腹が痛い、ころんだ。すぐに病院へ行ったほうがいいんでしょうか。
夜中になにか変だなと思って熱を測ったら38℃だった。
夜中に滑って転んで柱の角に頭をぶつけた。
早く診てもらったほうがいいのか、夜の2時だけど、早く病院へいったほうがいいのか分かる人はいないのではないか。
日本全国いろいろな地域、医療機関があるので、一概には言えませんが、夜の病院ってこういうものだと思ってもらって参考にしていただければと。
大前提
まず、病院は夜間営業していません。
「24時間365日救急対応」
「24時間オープン」
「救急告示医療機関」
こういうものをよく見ますが、夜間も平日日中と同じように診療しているわけではなくて、あくまで時間外診療ですので、日中より機能を落として診療しています。
ただ、診療機能の落ち具合が80%落ちるのか、20%しか落ちないのかが、医療機関によって様々なんです。
どちらにしても平日日中より機能は落ちます。
患者さんにしてみると、こんな時間に体調が悪くて病院に来ているんだから、優しく診てくれるだろうと思います。
医療費も払っているんだから、しっかりと診てくれるだろう、と思います。
でも、いろいろ満足できずに帰宅することがママあるかと思います。
でも、病院側にしてみると夜中に患者さんが来ないほうがいいと考えている病院があります。いや、そういう病院が多数派かもしれません。
なぜなら、夜間に診療をしても、ほとんど病院の収益になりません。やっても赤字になるだけです。
夜間診療で収益を上げるのは難しい
夜の診療に対するインセンティブとして、時間外加算として医療費が850円から4800円増えるので、患者当たりの単価はUpします。
ですが、それ以上に夜間に医師、看護師、事務部門、放射線技師などを配置するため、人件費がかかります。
医療機関は経費に占める人件費の割合が非常に高く50%くらいになります。
飲食店やIT企業だと30%程度。
そのため、少し患者さんが受診したくらいでは人件費を賄えません。
収益上げようと考えたら、夜間にたくさんの患者さんに来院してもらって、働き詰めて診療すればよいのですが、そうするとスタッフが疲弊するし、元々日中の人員を働かせているので昼間の診療機能が落ちて日中の収益が低下します。
そもそも人口の少ない地域では患者さんが集まりもしません。
夜間の機能が落ちた医療機関に受診しても、患者さん側が、「夜の診療がすごく良かった、また夜に受診しよう」と思うこともないでしょう。
だから、病院としては、どうしても夜間に仕方なく受診しなければ行けない患者さん(夜間でも、すぐに入院して治療したほうがいい)は医療機関の使命として診療しますが、そうではない患者さんの診療はしないで、スタッフを温存しておかないと医療機関が潰れてしまいます。
夜に病院受診すると患者が不満に感じること
こういう前提があるせいで、患者さんの夜の病院受診時の不満につながるのでしょう。
不満に感じることがたくさんありますが、それぞれの事情についての解説です。
夜に受診しても1,2日分しか処方されない。
普段、熱が出てクリニックに受診したら1週間分くらい薬を処方してもらえるのに、1,2日分くらいしか処方してもらえないことありますね。
いろいろな理由があって、薬って多くはもらえないんですね
院内の薬の在庫が少ないから
薬を何日分も出すと病気が悪くなっても薬で我慢してしまうから、1,2日で治らないときに、受診してほしいから
たくさん処方すると、夜でも処方してもらえると思って、昼間に受診してくれないから
研修医の診察だった
人件費が安い。比較的若いので夜勤に耐えられる。
研修医にとっては、夜間の救急外来は多様な疾患の患者さんが来院されるので修練の場になるからこそ、安い手当でも診療に従事してくれる。
研修医の診察ということは、そこが研修医がいるような大病院だったということであり、そういう病院に受診できたことがラッキーだったと思われる。
研修医という労働力がなければ夜間の診療というものはそもそも成り立たない。
研修医という日本語は「見習い」、「何も知らない」、「何もできない」という印象をどうしても与えがちだが、医学部で6年間の勉強と実習を行ってきているので何もできないわけではない。
英語では研修医はResidentと訳されることがある。これには「居住者」、つまり病院に住んでまで働く人という意味である。決して「見習い」という意味ではない。「何もできない」はあくまで医師歴20年目のベテランと比較したら何もできないというだけの話ではないか。
「骨折かも」と言われたが診察したのが整形外科ではなく、消化器内科の医師だった。「胃潰瘍かも」と言われたが、診察したのが消化器内科医ではなく、整形外科医だった。
研修医がいないような病院や、地方の病院だったら、こんなことは普通でしょう。病院に整形外科医が3人しかいないのに、毎晩、整形外科医を配置していたら、まともに日中の診療ができないので、夜は持ち回りで専門外の診療するしかありません。
検査はできないと言われた
CTとかMRIとか、いろいろな検査があります。
検査というものは機械があればできると患者さんは思いますが、そんなことはありません。
CT、MRIも、その機械を使いこなせるスタッフが必要です。
医師であれば、検査の機械のスイッチを押すことはできます。ただ、その検査結果を解釈可能なものにする操作はそれ専門のスタッフでないとできません。
当然、そのスタッフを、いつ来るかわからない夜間の外来患者さんのために配置することはできないのです。
夜中の2時に受診したのに、診断がつかないから、また昼間に受診するように言われた
なんで、夜に受診したのに、またすぐに受診しないといけないんだと。
一回で済ませてくれればいいのに。
と、思ってしまいますが、
患者さんの考え
受診→診断がつく→薬をもらって治る
と思っていますが、そもそも受診した時点で診断は必ずしもつきません。
医師の考え
受診→おそらく、この診断だろう→薬を処方→治った→やはり診断は合っていた
この流れになるので、受診した時点ではまだ下のような可能性があります。
受診→おそらく、この診断だろう→薬を処方→治らなかった→再診→こちらの診断
初診で診断がつかない割合は5%くらいという研究結果もあります。夜間だけではなく、日中も含めて、スタッフも検査体制も揃っていて、このくらいです。夜間なら、より診断がつかないのは容易に想像されます。
そのため、患者さんの安全を期すると日中に、その病気の診療科を受診するように促すのです。
待たされる
待ちます。これは当然です。スタッフが少ないからです。
例えば、平日日中に診察ラインが4列のとき、重症な患者さんが一人いて、ラインが1列1時間止まってしまっても、他の3列で補えるので、遅れは20分です。でも、夜間に1列で診察していて重症な患者さんがいてラインが1列1時間止まれば、そのまま1時間の遅れになります。
夜間は余裕なし。待ち時間は発生します。
遠い
人口の少ない地域の医療機関は、夜間に診療できる体制が整わないので大都市の医療機関に行くしかありません。大都市でも何箇所もやっていたら、効率が悪いので、受診するために端から端まで移動する必要が出てきます。
最近、山梨県が夜間診療する医療機関を一箇所だけにしたみたいです。
県全体で夜間は県庁所在地の甲府市にしか受診できる医療機関を置かないというのは、なかなか思い切ったことかとは思いますが、夜に受診するということは、それぐらいの覚悟で受診が必要ということですね。
山梨県/初期救急医療センターについて (pref.yamanashi.jp)
値上げの世の中なんだから、医療費を値上げして夜間の医療を充実させれば、不満がなくなってみんなハッピーか
カレーのCoCo壱番屋も値上げをするようだ。
カレーハウスCoCo壱番屋 (ichibanya.co.jp)
素晴らしいカレーをお客様に提供するためには値上げは必須。
安い材料ではカレーが不味くなる、人件費が低ければ質の良くない人材しか集まらずCoCo壱番屋のサービスは低下する。
病院も医療費を上げれば、下のように質の良い医療が提供できるはず。
・薬剤は何日分も処方する
・スタッフを充実させて検査体制を充実
・研修医に診察させない(将来的には質の悪い医師ができあがってしまうが、、、)
・夜間もいろいろな診療科のベテラン医師を配置する。
保険診療の価格は医療行為毎に診療点数が決まっていて、2年毎に改定されるものなので、そう簡単に上がったりはしない。
保険を使わないで患者さんに全額自己負担してもらう自由診療にしてしまって、病院に入る収益を保険診療のときより20%アップすればよいのでは。
今までの体制
例:一人当たり医療費10000円 (健康保険が聞くので窓口負担1000~3000円)
充実したサービスのために保険を使わず自由診療にして20%値上げ
例:一人当たり医療費12000円:(健康保険が聞かないので窓口負担12000円)
病院の収益を20%アップするために自由診療にすると、患者さんの支払額は、75歳以上なら1100%アップされることになります。
夜間もよい医療サービスのためなら1100%値上げなんて、気にならないですね、、、、、、、、、、、なるか
あまり、これをやっている医療機関がないのは、住民の支持が得られないからと、公立の医療機関は収益を気にしないのと、支払える人がそんなにいないからでしょう。
夜の医療機関は、こういうもんだと考えて、受診するかどうか決めてもらうのがよいのかと思います。僕は夜は眠いので病院に行ける元気があるなら家で寝てます。
ではでは~