競争優位性をつないでいくための羅針盤
論理のピラミッド構造をつくる際、普通上下をSo what?←→Why so?の関係にする。上は抽象化したこと、下は具体的なことという関係である。左右はおなじみのMECEとなるわけだが、その上下左右が納得できるものであれば非常にわかりやすいし、便利である。
しかし、上をつくる=抽象化する際に捨ててしまう細部を、長い時間軸や広い領域で俯瞰すると全く別のストーリーや論理が存在することがある。理屈上は「じゃ、そこを考えて抽象化しろ」とか「そこを拾える論理構造に組み替えてみろ」ということになるんだろうが、そこまでまだ見えていない場合もある。
もちろん抽象化してこそ見えるものがある。しかし、切り捨てたところをなかったことにする抽象化は単純化なのかもしれない。単純化した論理からしか見られなくなってしまってはもったいない。ものごとはそこまで単純じゃない、としたら。
我々が定性的なものにこだわる理由もここにある。
数字から見えるものがある。そして競争相手も同様のものを把握し、論理的に考えれば一定の結論に至るだろう。一方、数字からだと見えにくくなってしまうところにも大きなヒントがある。こちらは競争相手が同じものを見て、同じように捉える可能性は小さい。資源とプロセスが折り合えば、競合を出し抜く強力な優位性につなげられるかもしれない。
多くの市場において、長期に渡って効果的な競争優位性を維持するのは難しい時代である。
もし、計算で結果が見込めるロジックではなく、競争優位性をつないでいくための羅針盤や指標が欲しいなら、ヒントは定性情報にある、かもしれない。