年下にも敬語?
敬語は基本的に目上の人、年上の人に使います。
もちろんビジネスシーンにおいては、「目上」で「年下」は山ほどいるので、年齢ではなく、立場で敬語を使う使わないは決まります。
ではビジネスではないシーンではどうでしょうか。
作家 色川武大の話
数年前の新聞記事なのでかなり曖昧な記憶なのですが。
そのコラム的な記事を書いていたのは、あるサスペンス作家。仮にAさんとします(すみません、名前忘れました…)。
コラムによると、Aさんは作家デビューが30歳頃と遅かった。そして作家になる前からずっと憧れていたのが色川武大さん(麻雀小説を書くときのペンネームは阿佐田哲也。私の好きな作家なので、愛を込めて“さん”づけです)だったそうです。
デビュー後、Aさんがそのことをある編集者に言ったら、彼は色川さんを知っていて、すぐに紹介してくれました。色川さんはすぐAさんを家に呼んでくれ、その後もお付き合いが続いたそうです。
そんななかで、新人作家のAさんは不思議に思いました。
当時でも色川武大は大作家。大御所。それに対して自分は駆け出し(現在は売れっ子ですが)。
なのに色川さんは、いつも丁寧な言葉で話してくれる。
(私の安っぽいイメージですが、大作家が新人作家に対してだと「ところできみ、今度の作品は?」なんて感じで話しているような)(笑)
ところが大作家はぜんぜんそんなことはなく、常にAさんに「ですます」調で話してくれるのです。
ある日Aさんは「なぜ自分のような駆け出しにそんな話し方をしてくれるのか」と聞きました。
すると大作家は「人間は30歳も過ぎたら、どっちが上、ということはない」というようなこと(すみません、ここのところがものすごく曖昧!でもそのような意味です)を言ってくれたそうです。
敬語の基本は、人として敬意を払うこと
この話、私はすごく感動しました。
実際は30でも40でも50でも、人としてどうよ?という人はたくさんいますが、それはともかく。
この場合は30歳でもちゃんとした作家でちゃんとした人間なわけで、自分(大作家)がどれだけえらくても年上でも、人として敬意を持って接するのが当たり前、と大作家は自然に考え、そのように振る舞っていたということです。
(大物とは得てしてこういうものですよね。偉い人ほど丁寧)
感動とともに、反省もしました。
我が身を振り返ってみて…もちろん基本的に年齢関係なく他人様には敬意を払って話しているつもりです。
しかし、自分のほうが遥かに年上だからといって「へ〜そうなの〜」的な話し方をすることはない。かというと……そうではないな………。
(こういうところに小者っぷりが現れます)(笑)
きちんと生きている人には、年齢関係なく、敬意を持ってきちんと話す。
これを常に忘れないようにしていきたいと、改めて思いました。