「タメ口」を素敵な言葉に言い換えられるか?
前回、韓国ドラマのなかの敬語について述べましたが、そのなかで、年上に敬語を使わないと「タメ口か?」というセリフが出てくるということを書きました。
これはもちろん韓国語で「タメ口」と言っているわけではなく、字幕翻訳です。
というわけで、今回はこの「タメ口」がテーマ。
ドラマの字幕でもよく出てくるし、非常に意味が通じやすい言葉であると思いますが…。
タメ口のルーツ
今では普通の言葉として多くの人が使っていますが、そもそもは不良用語だったとか。
そのため年配者はあまりこの言葉を使わないし、たとえば高齢の私の母などは、おそらく言葉そのものを知らないと思います。
私自身も使いません。
「ヤバい」という言葉が、いつしか普通に使われるようになったもののフォーマルな場所では使われないのと同じように、「タメ口」が日常で広がったいまも、やはりビジネスやフォーマルな場所では使わない方がよいと思います。
「この前は(あなたの立場を知らず)タメ口で話してしまい、申し訳ございませんでした」とは言いませんよね。言うとするなら「失礼な話し方をして申し訳ございませんでした」あたりでしょうか。
「タメ口」にあたるフォーマルな言葉は、ない
こんなに「タメ口」が一般化したのは、ずばり、これに変わる適切な言葉がないからだと思います。
今調べてみましたが、同じ意味を表す、ここまで短くて誰にでも伝わる(丁寧な)言葉はないようです。
あえて言うなら「友達口調」というのが挙げられていて、なるほどとは思いましたが、私はその言葉をリアルな会話で聞いたことはありません。
単語ではなく「言い回し」でなら表現できそうですが、
「年上への口のきき方を知らない」
「生意気な喋り方」
「失礼な話し方」
と、どれも怖すぎ…。
面と向かって言うことではなく、陰で言う、いわゆる陰口になってしまいますね。
「馴れ馴れしい」という言葉もありますが、これもすごく「上から」な感じがしますし。
その点でも「タメ口」は優秀。意味も心理的ニュアンスも一発で伝わります。
しかしフォーマルには使えないということは覚えておくといいかもしれません。
「タメ口」のこの先は?
ちなみに…韓国ドラマのなかでも「タメ口」という言葉が出てくるのはほぼ同年代どうしの会話で、若者と年配者の会話に「タメ口」という言葉出てくるシーンは、私はまだ見たことがありません(死ぬほど見ているわけではないので、実は使っているのかもしれませんが)。
日本でも「タメ口」というのはある年齢以下の人が使う言葉のように思いますが、
今の若い人が中高年になり、「タメ口」に悪いイメージを持つ世代がいなくなったら、あらゆる世代に使われる言葉になるのかもしれません。
ただどうしても品の良さは感じない言葉なので、誰かが「タメ口」に変わる素敵な新語を考えて、広めてくれるといいのに、なんてことを思ったり。
その際は、短くて覚えやすくて伝わりやすいものを希望します(笑)。