警察学校入校前に郵送されてきた案内書。そこにはすでに警察組織の体質の匂いがプンプンしていた
「あっ、あった」
その日は警察官採用試験の最終合格者の発表の日。
私は実家のパソコンで、ホームページに掲載された合格者の受験番号を確認した。
平日の午後で、私以外は誰も家にいない。
合格者の番号の中に、確かに自分の受験番号があった。
そっか受かったか、自分は警察官になるんだな
特に大喜びするわけでもなく、なんだか淡々とそんな感じだった。
もちろんこの結果を望んでそれなりに努力はしてきた。
でも受かったら受かったで、気が重くなってきた。
警察学校ってすごく理不尽なところだと聞いたことがある。
警察官のような危険な仕事、自分には大丈夫だろうか。
面接試験まで受けておいて、今さらそんな気持ちになっていた。
最初に連絡したのは、中学の同級生と当時の彼女。
中学の同級生は高卒で警察官になっていて、すでにこの時警察官5年目くらい。
大卒で別の仕事をしていた私よりも早く警察官になっていた。
私が警察官を目指した大きなきっかけになった友人でもある。
合格したことをメールで伝えると、とても喜んでくれた。
彼女のからの反応は、、、「そっか、本当に警察官になるんだね」
あまり喜んでくれるものではなかった。
この時彼女がどんな気持ちでいたのか、その本音を知るのは数か月先のことだった。
彼女がどう思っていたのか
警察学校に入ってから彼女とどうなったのか
については、こちら →警察学校に入るとほとんどの人が恋人と別れてしまう理由。それを防ぐために知っておくべきこと← の有料noteになります
この時の私には、彼女の微妙な反応の理由はわからないままだった。
彼女としても、その本音は私に言いずらいものだった。
父親や母親には、帰って来てから伝えた。
それから、約一週間後。
警察本部から郵便物が届いた。
中には、今後の案内が記載された書面が入っていた。
・警察学校に入校する日時
・用意するもの
こういった連絡事項に加えて、最後の方にこんな項目がありました
「警察官に採用予定の者として今後注意すべきこと」
その中には、「〇〇してはならない」といった、行動を制限する禁止事項がいくつもありました。
その禁止事項とは
よほどの理由がない限り車の運転を控えろというものです
なぜ車を運転してはいけないのか。
理由として書かれていたことは、事故を起こすと面倒だからということでした。
こういった「・・・をするな」という禁止事項は警察官になると山ほど言われるようになります
私にとっては、この書面がその第一号でした。
しかし、当時の私はほぼ毎日車を使う生活でした。
また性格的にも、なんでも愚直に従う方ではありませんでした
事故を起こさなければ大丈夫だろう。
今までよりは慎重に安全運転しよう。
そう思い、結局これまでと変わらず車を使用することにしました。
しかし、あろうことかやってしまった。
起こしてしまったんです。事故を。
しかも信号待ちの時に、前に停車していたバイクに追突するという100%私が悪い事故。
信号待ちの間に携帯電話をいじってました。
視線を携帯電話の画面に集中していたところ、前方の車両が進んだように見えました。
しっかりと前を向く前にブレーキから足を離してアクセルを軽く踏んだ瞬間でした。
私の前に止まっていたバイクは進んでなくて、ガツン!と追突しました。
さすがに真っ青になりました。
バイクの運転手とかバイクの破損もよりも、それよりも何よりもあの案内通知書に書かれていた記載事項のことです。
運転するなという通知を守らず運転し、しかも自分に100%過失の事故を起こしてしまった。
もしかして採用取り消しになったりするかも・・・
そんなことも思いました。
とにかく警察官呼んで事故処理しなきゃいけない。
運よくバイクの運転手にケガはなくて、物損事故でした
パトカーが来て警察官に事故処理してもらっている間も気が気じゃありませんでした。
もしかしたらこの事故のことが、人事課や警察学校の教官に伝わるんじゃないか
警察学校に入る前から、要注意人物として把握されてるんじゃないか
いや、そもそも採用が取り消しになるんじゃないか。
入校するまで気が重い日々を過ごすことになりました。
それでも彼女と車で旅行に行ったりしていましたが。
結果的に、採用や入校後に何か影響があったのか。
何もありませんでした。
警察学校の方にも一切バレていませんでした。
入校してから一か月くらいは「いつか言われるかな。これって隠していたから重い処分になるのかな」とビクビクしていました。
しかし何もなくいつの間にか忘れていました。
ちなみに、入校したあとはなんと、
「入校期間中は車の運転禁止」になります
つまり大卒だと6ヶ月、高卒だと10ヶ月も車の運転ができないんです
ペーパードライバーで現場に出ることになるのです
ホントこういう理不尽な拘束が大量にあるのが警察という組織の基本体質です。
法律で認められた「運転免許証」を持っているのに、半年間自由に車の運転ができなくなるのです
これ嘘じゃなくて本当の話です
理由は・・確か入校中に交通事故を起こすと大変だからとか、車の運転をすると悪さをするからとか、イマイチよくわからない理由でした
とにかくそんな感じの理由で、まったく意味のない、正当性のない理由で車の運転が禁止されます
しかし私は入校中もそんな規則に従うことなく運転していました。
さすがに事故や違反を起こしたら大変な目にあうので遠出は控えてましたが。
でも、ちゃんと規則に従って半年間まったく運転していなかった人もいました。
でも、その人たちは卒業の時に大変でした。
半年間まったく使用していない車は、エンジンも掛からなくなります。
それに自分の運転技術も落ちてしまいます。
警察学校入校期間の間に、むしろ運転技能的には危険な状態になってましたのです。
これから合格して入校される方々、規則に従って運転しないとしても定期的にエンジンは掛けておきましょう。半年エンジンかけないと掛からなくなります。
運転技術もブランクによって落ちてしまうので、バカ正直に規則に従ってまったく運転しないのも自分のためになりません。
そこは上手に考えたほうがいいです
さらに思い出したので、運転禁止でもう一点
この初任科の時だけでなく、卒業して現場に出てからも運転を禁止されることがあります
別のブログ記事でも同じこと書いてますが、私が機動隊にいた時です。
入隊したばかりの若手隊員が、物損事故を起こしてしまいました。
そうしたらなんと上司(警部)から、無期限で車の運転を禁止されてしまったのです
職場の上司というだけで、なんの権限があって運転を禁止するなんていう拘束ができるのか、そんな根拠はまったくないのですが。
結局その隊員は、機動隊にいる間ついに運転を許可されることがなく次の職場に異動していきました
当然車はエンジンが掛からなくなり、在隊中に車は売却していました。
さらに長期間運転していなかったことで、本人の運転技術もより危険なものになり、異動先でパトカーなんて運転したらどれだけ危険なパトカーなるのかわかりません
このことだけ見ても、警察の幹部は自分の保身だけが大切な人たちというのはわかりますよね
運転を禁止したその警部は、自分がその隊員の上司でいる間にまた事故を起こされては自分自身が面倒になるため運転をさせないことにしたわけです
数年に渡って運転をしなければ運転技術が落ちてより危険になることは誰にでもわかります
でもその上司にとっては、隊員が異動先でどんなに危険な運転手になろうと、異動した後はもう自分の部下ではないからどうでもいいわけです
とにかく自分の部下でいる間の面倒だけが防げればいいわけです
そういう警察の幹部はたくさんいました。
でも素晴らしい幹部もいました。
その人たちは今でも私の恩人です。
今回は警察学校入校前に送られてきた文書にはすでに禁止事項があり、警察組織のニオイがプンプンするものだったという話でした
次は入校初日の話です
⇩
また、警察からの案内書には書かれてないけど、経験者だからわかる警察学校前に準備しておくべき物などをまとめた記事もあります⇩
ここから先は
警察学校のことが本当にわかるマガジン記事
このマガジンは↓こういった人たちに役に立つものです ・警察官になりたいけど、警察学校はすごく厳しいと聞いたことがあるから不安 ・家族や恋人…
いただいたサポートは、今後の情報発信のために活用させていただきます。どうかよろしくお願いします