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4,自殺と断定するには謎が残った白骨死体
まだまだ暑さが残る9月下旬頃。
日曜日の当直体制の昼過ぎ
天気は快晴
110番通報
「変死の通報。森の中で首吊り死体のようなものを発見したと目撃者からの通報。現場で警察官の到着を待つ」
なぜおれたちが当直の日に発見するんだ。あと20時間待ってくれれば別の当直班だったのに
そう思いながら、刑事課当直員5人で現場に向かった
現場は人がまったく来ないような森林地帯
現場は入っていくのも困難なところ
↓こんなところを草木をかき分けて入っていくような森だった
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滅多に人が入らないというレベルではない。
獣道すらない
今まで誰も入った人がいないのではないかというくらい深い森の中
出入口も、道のようなものもない。
なぜ発見者たちはそんな深い森の中にあった死体を発見したのか。
発見者は、山菜採りをするために森の中に入っていた3~4人くらいのおじさんたちだった
この森林の入り口で待っていた。
私たち刑事課員の本音は
「なんでよりによって自分たちが当直の日に山菜取りに行くんだよ」
発見されてしまったものは仕方ないので、森の中に入っていくしかない
草木をかき分けて入っていく
発見者たちに案内してもらいながら、森の中に入っていく。
9月下旬は蚊や害虫がまだまだ活動期
変死体の現場には真夏でも長袖の作業着を着ていく
しかし、あっという間に蚊の餌食になった
山菜採おやじたちへの怒りはますます増していく
残念ながら死体(らしきもの)はあった
50メートルくらい進んだ所ですぐにわかった
死体、、、
というより衣服が確認できた
少し傾斜になっている所に、高さ3~4メートルくらいの大きな木があり、その木の太い枝にロープを巻きつけて首を吊っていた・・・・ようだった
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というのも、木にぶら下がっているロープには何もついてない
ロープの真下に、衣服、その中に白骨が見えた。
首吊り自殺をして、年月が経ち体は下に落ちた
と想定される状態だった
この時点では事件か自殺かは不明
殺されて誰か別の人間が下ろしたのかもしれない。
自殺だったとしたらすでに死後相当な時間が経過しているということ。
これが現場到着時の状況だった
服をめくると大量に出てくる小豆
写真撮影を始めて現場活動開始
私たち刑事課員の希望的な筋書きはこうだ。
「この自殺者は、何か理由があり誰にも知られずに自殺したかった。
そして誰も来ないこの場所に一人で来てここで自殺した。
誰にも知られることなく月日が経過したが、たまたま山菜採りに入った人たちに発見された。
事件性はなく身元もすぐに判明して、明日の夜勤明けは昼過ぎには帰って彼女と思いっきりSEXするぞ。」
本当はこういった先入観や筋書きというものは絶対に持ってはいけない。
真実を見誤ったり、都合の悪いことを無理に解釈しようとする原因になる。
写真撮影がを終え服をめくっていった
すると何百という小豆のようなものがパラパラと服の中から出てきた
あずきの中は空洞、ものすごい数。1000個はあった
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なぜこんなものが大量に出てくるのか
この小豆の正体は、孵化(ふか)したハエの卵の殻だ。
この人が死亡後、数日後には死体が腐り始める
死体を食い漁っていたウジ虫たちが孵化(ふか)してハエになった後の殻だった
きっとここはものすごいことになっていた
恐ろしい激臭を放ちながら腐乱が進んでいく死体。
誰にも邪魔されることなく好きなだけ死体を食いつぶすものすごい数のウジ虫たち。
何百という小豆のような殻を見て恐ろしくなった
服をめくるたびに小豆がパラパラと落ちてくる
今後小豆を食べる際にはぜひこの話を思い出してほしい
大きさも色もそっくりだった
身元も判明し、自殺体としてさっさと終了・・・のはずだった
ポケットの中に財布があり免許証も入っていた
しかし、白骨死体のため免許証の写真とこの死体が同一の人かどうかわからない
照会したところ、その免許証の人は数年前から行方不明になっていて、家族から捜索願が出されている人だということが判明
全ての服を取り除き、白骨死体が出てきた。
骨以外のものは何もなかった
皮膚や頭髪、爪など、きれいになくなっていた
匂いもなく、列車死体や腐乱死体と比べれば苦痛は全然少なかった
しかし、ここで大問題が発覚した。
明日の夜勤明けは昼には帰るどころか、そのまま職場にもう一泊になることもあり得る大問題だった
白骨の中に、もっとも重要な部分がなかった
頭蓋骨がなかったのだ
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首吊りで自殺した人が、自分の頭部をどこかに持っていけるわけがない。
頭蓋骨がないまま、事件性の無い自殺として処理できるわけがない。
明日の彼女とのSEXの予定は潰れそうな予感が走った
他にも靴が片足なかった
この状況はまずい。
事件性を視野に入れた活動が必要になってしまうかもしれない
我々刑事課員は必死に頭がい骨を探した
頭蓋骨をあれほど必死に探したのはあの時だけだ
靴は死体から少し5メートルくらい離れたところですぐに見つかった。
靴だからきっと少し歩いたのだろう。
うん、そうにちがいない。たまにはそんなこともある。
靴が少し離れていたって事件性があるとは限らない
しかしそれよりも頭蓋骨が見つからない
全員が焦り始めまる。
生い茂る木や草をかき分けて、頭蓋骨を探す
9月下旬の晴天はまだまだ暑さが厳しい。
長袖では暑いため、袖をめくって草木をかき分けていたところ、腕にチクチクっと痛みが走った
変な草にでも触ったかなと思っていたところ、数分後には腕にものすごい湿疹が出てきた。同時にものすごいかゆみと痛みも
どうやら毛虫を思いっきり腕で触ってしまったようだった
もちろん薬などなく、森から出て医者に行けるわけもない
毛虫のかゆみと痛みはものすごい。気が狂いそうになる。
完全に集中力を失った状態で捜索を続けた。
さらに1時間近く経ち捜索範囲を広げていく。
すると今度はまた別の恐ろしい害虫の登場。
スズメバチの巣があり、1人が刺されるところだった。
すでに日が落ちてきてしまった。
スズメバチも出てさすがにこれ以上は続けられないということで、その日の捜索は打ち切って署に戻り、明日再開ということになった。
当初の、自殺体としてすんなり終わる予定とはまったくちがう夜勤を迎えていた。
帰りにドラッグストアで虫さされ薬を買って塗ったけど、症状はまったく変わらない。
毛虫刺されは本当に地獄だった。
毛虫に直接触らなくても、毛虫から抜けた毛が風で飛ばされてそれが皮膚に触れただけでも毒が入るそう。
あの苦しみは二度と経験したくない。
貴重な仮眠も全然眠れなかった。
何としてでも頭がい骨を見つけなくてはならない。翌日は武器屋で装備品を整え、ポーションも用意してダンジョンへ
日が変わり翌朝、交代の当直員たちも一緒に捜索に行くことになった。
署で骨の検視などを行う数人を残して、森の中での頭蓋骨捜索が再開された。
残念ながら捜索出発前に皮膚科には行けず、まったく改善しないかゆみと痛みのままもう一度その森に戻ることになった。
ハチの殺虫剤を大量に購入し、飲み物や食事も持って再び森の中へ。
毛虫刺されのかゆみでほとんど寝れず体調はひどい状態だった。
もし午前中に見つからなければ、その時は近くの学校の理科室にあるレプリカの頭蓋骨をこっそり置いておこうと考えていた
死体現場に到着。
まずはハチと戦い。全員でスズメバチの巣に向かって超大量の殺虫剤をこれでもかと噴射。
私だけは、昨日毛虫に刺されたところにも重点空爆作戦を実施
ひどいかゆみと痛みはまだまだ続いて、あの毛虫だけは絶対に許せなかった。
できることなら、けん銃で撃ちぬいてやりたかった
捜索が再開され、どんどん範囲を広げていく
ものすごい草木だ。5メートルも離れるともうお互いの姿が見えなくなる。
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もうここまで広範囲になると、例え頭蓋骨が見つかったとしても、あまりにも死体からの距離が離れすぎている。
死体がロープから落ちた時に転がった、などと結論づけるには無理のある距離になってしまった
そして2時間近く経った時だった
生い茂る草木の向こうから大きな声が聞こえた
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読んだら気分が悪くなる。刑事のリアルな死体現場note集
刑事課の時の死体現場のリアル話。 刑事の死体現場とはどんなものか、死体現場での刑事たちの本音とは ドラマや小説のようなファンタジーは一切な…
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