12,深夜の検視室で死体と二人きりで手を握り合う。その日以降ウソをつき続けたことを白状します
刑事課鑑識の時、上司の警部補にウソをつき続けていました。
そのことを白状します
読んでくれた人は、このウソは悪質だと思うでしょうか、許されるウソだと思うでしょうか
ジャッジお願いします
以下本編部分の目次
・死後硬直とは何か
・死体の身元特定のために鑑識がすること
・死後硬直があると指紋が取れない
・深夜に薄暗い検視室で死体と二人きりで手を繋いでいたら
・死後硬直した死体によって硬直させられた自分。一目散に検視室から逃げ出した
・これ以降ウソを重ねる日々が始まった
死後硬直とは何か
死体との話の前に死後硬直について説明します
人の死体は一定時間が経つと
死後硬直
という現象が起きます
これは身体中の関節が固まって動かなくなる現象です
多くの場合、上半身の首や肩から始まり、下半身に向かって進行していきます
全身の関節が固まるため、指先まで本当に動かなくなります
死後一定時間が経つと始まり、一定時間が経つと終わってまた関節が動くように戻ります
捜査に関する情報になるためここではその詳細な時間までは記載はしませんが、だいたい死後1週間以内です。
そのため、この死後硬直も死亡推定時刻を特定するひとつの目安として使われます
今回はこの死後硬直のために鑑識の私が上司の警部補にウソをつき続けた話です
死体の身元特定のために鑑識がすること
死体の身元特定のために、鑑識がすることはいくつもありますがその中の一つが指紋採取です
死体の指にインクを塗って、指紋を採取します
死後硬直があると指紋が取れない
この指紋採取ですが、死後硬直で指が固まってるとできません
指紋を取るには指を伸ばさなくてはいけないためです。
そのため死後硬直が起きている死体の場合、時間の経過を待って硬直がとけてから指紋採取をします
深夜に薄暗い検視室で死体と二人きりで手を繋いでいたら
ある日の日中、死後硬直後期の死体が署に搬送されてきた
硬直は終わりに近づいていたが、まだ残っていて、明日には完全に終わってそうな状態だった
私たち鑑識班が指紋を取ろうとした
しかしやはり硬直によってまだ取れなかった
その夜、夜勤中の深夜2時頃
鑑識班長の警部補から
「そろそろ硬直解けてきただろ。お前見に行って取れたら指紋取ってきちゃえ」
と指示された
明日じゃダメなのか・・とは思ったが言えるはずもなく私は一人検視室に向かった
検視室は署の駐車場の外れにある
警察署の表玄関からは絶対に見えない目立たない場所にある
そのため夜になると検視室の周りは真っ暗で、署員の誰も通らない
駐車場の一番奥にある検視室の前に立った
金属製のドアは古くて重い
開閉時には「ギー」と古臭い音がする
鍵を開けてドアを開ける
電気が消えているため中は真っ暗だ
電気をつけると、そこには冷たくて動かない(当たり前だ)死体が置かれていた
早く終わらせよう
そう思って硬直の具合を確かめる
物音ひとつしない検視室で、死体の指をつかんで動かす
動いた
まだ少し硬いが、日中よりもずっと硬直はとけていた
指紋を採取することはできそうだ
インクや採取用紙の準備をして、死体の指にインクを塗っていった
死体と手を繋いで、数本の指にインクを塗り終えたその時だった
死後硬直した死体によって硬直させられた自分。一目散に検視室から逃げ出した
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