5分でわかる! Siiibo証券の事業とは
はじめに
はじめまして、2019年設立のFinTechスタートアップ、Siiibo証券株式会社でCOOを務めている宮崎です。
非金融出身者として、私たちの事業をなるべくわかりやすくご紹介することを目指してこの記事を執筆しています。
Siiiboのサービスを一言で
私達のメイン事業である「Siiibo(シーボ)」を一言で表すと、社債発行・購入プラットフォームです。一言どころか15文字もあるじゃないかといきなりお叱りを受けそうですが、では簡素にFinTechサービス、資金調達サポート、新しい投資機会とまとめてしまうと、一面しか切り取れていないのもまた事実。どの立場から見ていただくかでわかりやすさも変わってくるので順にご紹介します。
そもそも社債(しゃさい)とは
「社債専門のネット証券」と自己紹介していたこともありましたが、後述のとおり日本では社債の存在がマイナーすぎて、これだと要素の1/2も伝わらないと反省しました。…とはいえ社債を説明しないと進めないので、一度寄り道して、以下の図を頭の片隅に入れておいていただければと思います。
資金調達サービスとして見たSiiibo
Siiiboを活用した資金調達の2つの特徴
Siiiboを「社債発行プラットフォーム」の側面で見ると、スタートアップを中心とする企業に向けた社債で資金調達を行えるサービスと言えます。ベンチャーデットの一手法にも該当しますが、Siiiboならではの大きな特徴は以下の2点です。
新株予約権の付かない調達手法である(ピュアデットと呼ばれます)
資金の出し手が金融機関・ファンド・企業ではなく、個人を含む一般投資家(= 自社サービスのユーザや将来上場時の株主となりうる方々)である
スタートアップの資金調達とベンチャーデットの概要
どんな企業活動にも資金は必要ですが、特に私たち自身を含むスタートアップにとって資金調達は生命線です。いわゆるJカーブと呼ばれる成長曲線で、創業から一定期間は資金を投下し赤字を掘って仮説検証や商品開発を行うことで、これまでになかった事業を実現し、その先の大きな成長を目指しています。
スタートアップの資金調達で一般的な手法は新株発行によるエクイティファイナンスですが、事業フェーズや資金使途、市場環境や株主構成などによっては他の手法と組み合わせて多角的に取り組んだ方が良い場合も少なくありません。そこでデットファイナンス(デッドと予測変換されがちなのでご注意を!)の出番になります。
日本におけるデットファイナンスは銀行融資が中心ですが、欧米ではベンチャーデットの活用が一般的になっています。創業年数の浅く赤字のスタートアップを対象に、通常の銀行融資とは異なる審査基準と条件で金額を貸し付けるのがベンチャーデットです。
狭義のベンチャーデットでは、借り手の企業は返済時に金利を付けるだけでなく、貸し手に新株予約権を渡しますが、新株予約権を行使されることで、議決権を持つ社外株主の増加や、希薄化(1株あたりの価値が下がる)を避けたいスタートアップ経営者は少なくありません。アーリーステージのスタートアップ向けには、政府系金融機関を中心に、新株予約権の付かない広義のベンチャーデットの提供者がいます。
しかし事業段階がミドルステージに入ると、それ以前のフェーズと比べ必要な金額が大きくなりますし、成長資金とすることを考えると返済までの期間も数年で確保しておきたいところですが、これらの希望を叶えた上で新株予約権なしでのベンチャーデットの出し手は限られてしまいます。これは、貸付金の原資をファンドの形で調達しているためで、一定の基準内に全体のリスク・リターンをコントロールする必要があるので、リスクを金利で表現する(金利を高くすれば新株予約権を付けずに貸せる)ということは行いづらくなります。
Siiiboを活用したベンチャーデットの違い
Siiiboを利用したベンチャーデットは、多様な選好を持つ個人を中心とした投資家が社債の買い手となるため、資金使途が柔軟、 無担保・無保証で、新株予約権を付与せず(= エクイティ性なく)資金を調達することができます。
個人投資家は、社債だけでなく株式・投資信託・現金などをミックスしたポートフォリオ全体でリスク・リターンの管理を行っていますので、「ベンチャーデット専用ファンド」とは異なり、社債の中だけでコントロールする必要はありません。また、個々人の許容範囲のリスク・リターン内で投資をされますので、高金利の案件も低金利の案件もそれぞれ一定のニーズがあり、様々な企業が資金調達に活用できます。
(なお、投資家の方向けにリスクを軽減するための商品性については、続く「投資サービスとして見たSiiibo」でご紹介します)
同様の理由で、他のベンチャーデットと比較して満期返済までの期間を長く設定できている(2〜4年とするケースが中心です)のも、借り手と貸し手のニーズを両立できている点です。
事業を応援したいという気持ちで投資される方も少なくなく、社債投資をきっかけにサービスのユーザが増えお喜びいただけたケースもありました。
また、将来上場した際の株主候補の方が増えるという点でもメリットがあります。上場直後の一般的な悩み事として、個人投資家からの知名度が上がらないと売買量が増えず時価総額が上がりづらい、というものがありますので、ニッチなビジネスほど上場前から認知してもらう機会を増やすことに使っていただけます。
このように、柔軟な判断を受けてピュアデットでの調達ができ、個人投資家の方とつながれるのがポイントになります。
投資サービスとして見たSiiibo
Siiiboを活用した社債投資の2つの特徴
Siiiboを「社債購入プラットフォーム」の側面で見ると、個人を含む一般投資家に向けた社債で投資を行えるサービスと言えます。非上場企業の発行する社債の取扱いが中心のため、運用業界で急成長中のプライベートデット / プライベートクレジットにも該当しますが、Siiiboならではの大きな特徴は以下の2点です。
社債のラインナップが豊富(これまでの実績として、企業はスタートアップから上場企業まで、金利は2%台から8%台まで、取扱いがありました)
セカンダリーマーケットで売り買いできる(フリマアプリのように、中古で社債を売れる / 中古の社債を買える)
日本での個人向け社債の概要
「決まった期間持ち続けていると、定期的に利息収入が入り、満期に元本も返ってくる」という社債の特徴は、実は株式や投資信託よりもずいぶんシンプルといえますが、日本では個人向け商品の取扱いが限られています。
ネット証券の口座をお持ちの方は「債券」ページをぜひ覗いてみていただきたいのですが、およそ以下いずれかの状態ではないでしょうか。
売ってそうな雰囲気があるが、よく見たら外国債券しかない
「国債」しかない(しかも今売ってない)
そもそも販売ページがない(用語解説ページはあるのに…)
そもそも日本の社債市場の規模は米国と比較して10分の1以下にとどまり、中でも個人向け社債はそのうち10%強しか発行されていないため、一般に馴染みがないのも当然です。その上、一部の銘柄を除いては、金利が0〜1%台のものも多く、他の投資商品の方を魅力的に感じる方も少なくないでしょう。(なお、日本で社債発行がこれまで盛んでなかった理由については、今後公開予定の記事「Siiiboの名前の由来」でご紹介予定です)
それでも私たちは、様々な問題を抱えた仕組債(しくみさい)が年約4兆円も売れてしまった事実(一部の仕組債は商品性が非常に複雑で、正確には社債ではなくデリバティブ商品であるにもかかわらず、十分な説明が行われないまま購入し、大きな損を被ってしまった投資家の方からの苦情が続出したことで、規制強化され、販売停止が相次ぎました)も踏まえると、「決まった期間で決まったリターン」の得られる社債には潜在的なニーズが本来あるはずだと信じており、よりバラエティ豊かな商品を提供できるように社債市場を開拓してきました。
そして、社債は伝統的な金融商品(証券会社だけが扱える「一項有価証券」)であることから、売買できるという点も大きな特徴といえます。株式と比較すると当然に感じられるかもしれませんが、実は他の「決まった期間で決まったリターン」系の投資はほとんどが「二項有価証券」という分類のため、満期までの持ち切りが前提です。社債なら「なにかあったら手放せる」というのは、一定のリスクを取って投資をする方にとっての最後の砦となりますので、私たちはこの特徴にもこだわって社債という商品を提供しています。
Siiiboを活用した社債投資の違い
Siiiboで購入できる社債は、他の証券会社では取扱いのない、独自に開拓した発行企業のものです。スタートアップが中心ですが、上場企業(グロース市場上場企業、TOKYO PRO Market上場企業)や、歴史ある未上場企業の実績がありますし、スタートアップの中でもミドルステージを中心としつつ、アーリーステージやレイターステージの企業の取扱いも行っています。
このことで、様々なリスク・リターン選好に応えるラインナップを揃えており、業態・業種の面でもバラエティが豊富です。
2024年11月までの取扱い実績としては、金利は2%台から8%台まで、業種についても医療、スポーツ、フードテック、不動産、金融、アート、エネルギー、人材、地方創生系など、かなり幅広くなっています。
もうひとつの特徴は、「いつでも売り買いできる社債市場」としてセカンダリーマーケット(二次流通)を設けている点です。
日用品であれば、フリマアプリの登場により、不要になったら中古で売り、中古でも欲しいものが見つかったら買う、という選択肢が一般的になりました。
社債についても、ニーズの変化に合わせて売却できる / 掘り出し物の社債を買える機会を増やす、ということがセカンダリーマーケットで可能です。
過剰なリスク設計の商品とならないよう特に留意しているため、「なにかあったら手放せる」という点については、セカンダリーマーケットで任意のタイミングで売却できるだけではありません。
Siiiboで提供しているのは「定期換金債」という設計の商品がほとんどですが、これなら利払日ごと(多くは6ヶ月ごと)に投資家側が繰上償還(満期を迎える前に元本が返済され、それまでの金利を受け取れる)を請求することができます。元本は時価ではなく額面金額(Siiiboで扱うものは新規で発行された当初の金額どおり)で返ってきます。例えば満期が3年であっても、実質的には6ヶ月ごとにリスクを把握すれば対応できることになります。
現在のお客様は、「円建て(= 為替リスクがない)で一定の利回りが出る社債を探していた」方が多く、馴染みの薄い個人向け社債であっても、選べて買いやすくするための工夫をしています。
事業の可能性
このように、どのような切り口かによって市場の見え方が変わってくるSiiiboのサービスですが、プラットフォームでの取扱い社債発行額は、2023年で前年比3.5倍と急成長中です。
スタートアップのデットファイナンス市場は2022年に急拡大しており、2023年度は2,000億円規模と見られています(ソース:スピーダ社レポート)。米国では、エクイティ投資(株式または新株予約権での投資)額の15%ほどの規模でベンチャーデットが活用されていることを踏まえると、政府のスタートアップ育成5か年計画が達成され(エクイティ投資額が10兆円に到達)、米国並みにベンチャーデット比率が高まれば、ベンチャーデット市場も1.5兆円規模と試算でき、単純計算で4年で7.5倍成長となります(データによってベンチャーデットの定義が異なるので、実際には更に成長率は大きいと考えられます)。
米国や欧州での実績から、エクイティ投資額の伸長に合わせてニーズが高まることは見えていますので、日本でもスタートアップ市場拡大の機運が高まっている中、引き続き大きくなっていく市場といえるでしょう。
もう一方の個人向け社債市場で見ても、2023年の発行額は2兆円規模でした(ソース:INDBレポート)。販売停止となった仕組債市場が4兆円もあったこと、また新NISAで投資自体を始める方が増えており、更に金利復活で社債投資への注目も高まっている中、こちらも裾野が大きくなっていく市場と見込まれます。
私たちは、ニーズを抱えポテンシャルを持った双方の市場をつなぐプラットフォームを運営することで、マーケット自体を大きくしていくことを目指しています。限られたパイを奪い合うゼロサムゲームではなく、いわゆるプラスサム・ゲームのビジネスを進めています。
終わりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
一記事では書ききれなかった事業の奥深さと解決していきたい課題もまだまだ沢山あります。
一緒にこの事業を大きくしていきたい、自分が力になれるのでは、と感じてくださった方は、ぜひ力を貸してください。
少しでもご興味をお持ちいただけましたら、ぜひコンタクトをお願いいたします。
noteでの情報発信も継続していきたいと思っていますので、内容がわかりづらいからもっと詳しく知りたい、という方も大歓迎です。
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