冷えたグラスと、冷えたビール
もう数か月続く、我慢我慢の毎日。
何をして良くて、何はしたら駄目なのか、判断がつかない。
当たり前にあった日常は、まるで最初からなかったもののように見えなくなり、触れなくなり、代わりに訪れた日常は、とても味気ないもので。
いろいろ制約されて、たのしいこともほとんどない。
あぁ。去年は。
恋人と逢って、冷えたグラスで、冷えたビールを飲んでいたな。
数か月ぶりに逢う恋人は、とてもおいしそうにビールを飲んで、笑っていたな。それを見て、わたしのビールは何倍もおいしくなった気がする。
恋人とは、遠距離恋愛というやつで、数か月に一度しか逢えなくて。
でも逢ったときに飲むビールは最高だったな。
わたしの部屋にもビール用のグラスを用意して、夜は映画を観ながらビールを飲んだな。
そんな時でも、かならず「乾杯」をしてくれる恋人。
コロナという未曽有のウイルスに地球が侵されてしまっていて、恋人とは逢う事もできなくなってしまって。
ビールが一番おいしい季節は、虚しく過ぎ去っていってしまう。
でも。いつか、また必ず。
冷えたグラスと、冷えたビールで、「乾杯!」をして、美味しそうにビールを飲む恋人の顔を見たいと思う。
そんな日が、一日でも早く来たらいい。
願ってやまない。また、乾杯しよう?