大人になったなぁと思う瞬間
自分のことが随分と後回しになる。
そんな朝が当たり前になった頃、私はいつの間にか大人の顔になっていた。
目が覚めてから、最低限の身支度を整えるまでが15分。
その後、1時間ほどは我が家は戦場と化す。
台所、寝室、子供部屋、台所、リビング、台所、そして子供部屋。
右往左往しながら、子どもたちと主人の支度に目を配る。
時々、銃声のような怒号が飛ぶ。
騒がしい戦場から、いつもの昭和家屋へ。
我が家に静けさが戻る頃、
私も骨ばった兵士の顔から、疲れたアラフォー女の顔に戻る。
ああ〜残り10分。
今日も顔にBBクリームをひと塗りするのが精一杯だ。
明日も、きっと明後日も、自分のことを一番後回しにする日になる。
朝を優雅に過ごすなんて、まだまだ私にはファンタジー。
朝っぱらからクタクタになってしまう日常を、時々腹立たしく感じるけれど、そんな時は未来を想像してみる。
子どもたちが巣立った後の、我が家。
シーンとした朝。
夫婦でコーヒーでも啜りながら、昔の思い出ばなしを、ぼそり、ぼそぼそ。
その時に、どうしようもなく焦がれてしまうのが、ドタバタと騒がしかった頃の思い出なのだろう。
朝をのんびりと味わう楽しみは、もう少し遠い未来にお預けしよう。
もっともっと大人になった自分へ、おつかれさまのプレゼントとして贈ればいい。
今は、この「忙しさ」が幸せだ。
自分ごとが後回しになる朝を、味わえる大人になれたことを、愛おしんで過ごしたい。
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