【歌詞感想】今更だけどスピッツの美しい鰭が最高なんよー
最高すぎる・・・
今更説明するまでもないですが、スピッツ、1987年に結成。1991年メジャーデビューしたバンド。
ボーカル・ギターの草野マサムネ氏の透き通る声、胸にしみるようなサウンドにどこか切ない世界観の歌詞など唯一無二のバンドです。
そんなスピッツがコナンの主題歌に!
名探偵コナンも連載20年以上でさらに劇場版の興行成績もどんどん伸ばしているというとんでもない作品。6月時点で興収128億円突破。歴代興収26位とビックヒット。
内容もさることながら、スピッツの主題歌も力になっているのではないかと思います。
スペシャルムービーもフル歌で最高。
デビュー30年過ぎて尚、これだけフレッシュにそして作品の世界観にもあった曲をリリースできるって驚愕しますよ。
正直、名探偵コナンは僕が中学くらいで挫折して映画も観ていないのですが、大まかなストーリーとキャラクターくらいは知ってるので唸りあげましたね。
それで、僕は居酒屋ライマーって一応名乗るくらいなので歌詞の感想を書きたいと思うのですが、人それぞれ感じるところが最高に素晴らしいことだと思うので、あくまで僕が「最高だー!」と思ったっていう感想です。
出だしから歌詞が口語体といいますか、軽い感じの表現ですよね。ダーウィンに「さん」をつけてみたり。ユニークな進化の礎はダーウィンの進化論から来てるのでしょうが、かなり歌詞の表現もユニークです。
なおかつ、「消されちゃった」や「聞かせろって」もドラムや他のサウンドと合わせてあえてちょっとダサい感じを出している。
ただ、この時点では歌詞は何を言っているのかわからない。わかりやすいサウンド、親しみやすい文体に対してこの表現。ぐっと興味を惹かれます。
あの日ってどの日!?しずくの小惑星って何!!??
しずくとは水や液体のしたたりを意味します。
小惑星は太陽系小天体のうち、星像に拡散成分がないものの総称。
小惑星なので地球ではないのですが、客観的と言うより主観的な自分の中の惑星(世界)というように感じますね。
美しい「鰭(ヒレ)」というだけあって、AメロBメロ共に水に関連したワード(波音、海原、感涙、しずく)がふんだんに出てきます。
そしてサビ!ここで、頑張っている自分を肯定してあげる歌だとハッキリわかります。世の中とは自分とは無関係に「ある」もので、その世界に翻弄されつつも自分であるために「鰭」で進むのです。
これが「足」では駄目なんですよね。鰭だからこそ、常に流れや抵抗が存在して、100%行きたい方向に行けないこともあるけど、全身の力で向かっていく気概が表現できているんですよね。
今までの、ともすればみずみずしい表現が、人生の壁だったり辛さなどをはらんでいることに気づかされます。
改めて見返すと「消されちゃった」「聞かせろって」「わざとらしい」「100回以上の失敗」とネガティブワードが連発されてます。そのネガティブワードこそ雑な言い回しにしており、少しシニカルな・・・かつ逞しさを感じる歌詞だと思いました。
さて、気持ちも高まってきたところで2番の歌詞。
びっくらこいたなんて言葉最近聞きます!?昭和~平成初期あたりの古さを感じます。これがまたフックになってると思います。
足はよろめきつつ踏ん張っており、水を飲んで気を取り直しております。サビの抗う鰭(ヒレ)との対比がなされていますね。
1番同様、ネガティブワードや水の表現を繰り返してますが、サビを経験してる故、全体の言わんとしていることがわかります。
1番頭もそうですけど、これ誰かに語り掛けつつ、自問自答もしている歌詞なんですよね。急に語り掛けてくるからびっくりする。
1番の「あの日のこと」だったり2番の「秘密」だったり、誰しも内面に抱えている感謝や後ろめたさがよく表れているように思えます。
また、「遠慮せんで放っても」ってかなり投げやりな表現ですよね。頑張ることとそれの疲弊さが細かいナイフで刺すかのように随所に盛り込まれていて非常にヒリつくんですよね。
頼れる人や環境もあるけど、そこに甘んじない覚悟と頼りたくなる弱さが移ろっている風に感じ取れました。
今回、流されたら「出し抜く」というよりクレバーな表現になってます。
さらに「離れる時も見失わず 君を想えるように」と今までそれこそ揺蕩うようにふわふわした表現から一転、明確な表現です。相当強い意志を感じます。
ここらへんはコナン好きの方ならグッとくる歌詞なのではないでしょうか。
大サビ前のブリッジもかなりわかりやすい歌詞。それぞれ自分こそが世界の主人公なんだと思わせてくれます。
少しのダサさとキャッチーなメロディーに気軽さと難解さのある歌詞で続いてきた美しい鰭。まさに波のように聴き手の理解を行ったり来たりしたところで、この大波です。
乗るしかない、このビッグウェーブに!!
うおおおお!!最高!!!
なんて明日への希望を持てる、自分を愛せる曲なのでしょうか。
内面的な世界、外部の世界、それらはどうしようもなく僕らの人生を翻弄する。それにあらがう者たちの美しさを、恋愛、親愛の要素をからめつつ表現した歌だと思います。
単純な恋愛や応援ソングではなく寄り添うような優しさにスピッツの歌に対する責任と覚悟を感じました。
これだけの内容をほぼ3分にまとめ上げるって天才すぎますよ。わかっていたけど、改めて天才。しかも側に来てくれる天才。
皆様も改めて聴いてみてください。