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プレゼントは計画的に
クリスマスの匂いが漂ってきた。
今年もハロウィン騒動が終わり、11月も中旬。
そろそろ竹内まりやが「クーリスマスが今年もやってくるー♪」とスタンばっていると思う。
僕は以前、カジュアル衣料店でバイトしていた頃、レジを担当していたんです。
そしたら、女子中学生がセール品の1200円のマフラーと手袋をレジに持ってきて、「このマフラー中3男子がしても変じゃないですよね?」なんて聞いてきた。
そりゃ僕も店の人間だから「全然平気だと思いますよー。自分が中学生の頃はこんな洒落こんだマフラーなんかしてなかったですよー。」と、言ったけど勿論心の中では「ヴアーーーー!」って叫んでた。
男子校卒業生のDT(童貞)エリートになんて仕打ちするんだ。ひどいバイトだった。
そんなバイト先での出来事。
そんな地獄のような仕事も終わって、スタッフルームにて次のシフト表をカリカリ書く僕。
するとバイトの22歳男、19歳女子、22歳女子が話している。バイト歴は皆僕より上。
クリスマスだからプレゼントがどうのって話。よくある話だ。
そんな中である言葉が特に耳に入った。
19歳女子「やっぱりプレゼントとかくれるのって、気があったりするんですかねぇ。」
DT(童貞)エリートな僕は、すかさず食い付いてしまった。
僕「そりゃそうっすよ!そんな気がない人にプレゼントとか普通しないっすよ!」
全く今まで話に加わってなかったのに、いきなりの会話参加。
しかも断定的。朝生のパネリストでさえ、もっとナチュラルに話に入る。
でも勢い勝ちしたのか。
先輩男「うんうん、そうかも。」
22歳女子「そうだょー。」
19歳女子「やっぱりそうですかねぇ…」
無事会話がつながっ・・・
先輩男「てか何ナチュラルに会話入って来てんの(笑)?」
19歳女子「本当だよー。」
ってなかった…
そうは言えども普段からいじられていたから、どうということもなく。
僕「いきなり風当たりつよいっすねっ!」
一同「あはははは。」
毒にも薬にもならん会話をしていた。
と、その時、
ガチャ
スタッフルームに新たに人が入ってきた。
20歳のバントマンだ。
バンドマンが入ってきたら、さっき相談してた19歳女子がバッグを漁りだして…
19歳女子「すみません、やっぱりこれ、受け取れません。」
お洒落な包みをとりだした。
僕・先輩男・22歳女子
(゚Д゚ )!!
バンドマン「いや、でも、それ誕生日プレゼントだから…」
19歳女子「でも、こういうのは、受け取れません。」
僕・先輩男・22歳女子
…( ゚Д゚)
バンドマン「そこまで言うなら…わかったよ。」
( ;゚Д゚)
(゚Д゚)
えー?なにー?どういうことー?何だったのさっきまでの和やかさは…
何この毒にまみれた空気は。
風当たりつえぇなんてもんじゃない。
氷河期だよ、氷河期。もう完全にアイスエイジ、ツンドラ気候、リアス式海岸、高床式倉庫。縄文土器弥生土器どっちが好き?どっちもNO。
何言ってるかわからない。それくらい混乱した空気。
僕(やっべぇ、ものすげぇ食い気味で、そんな気がない人にプレゼントとか普通しないっすよ!とか言っちまった…変な意味で後押ししちまった。)
待て待て、といいますかね、何も僕らがいる前で返さなくても…
バンドマンのプライドズタボロじゃないすか。完全に目泳いでる。
なんか小島よしおの前ふりみたいな顔してる。
そんなの関係ないのはこっちだからね?
それにしてもクリスマス前のこの時期に…
気まずい雰囲気のまま、バンドマンはスタッフルームを去っていった。
嗚呼願わくばいつの日か、クリスマスプレゼントとして誰かに再利用されんことを…
クリスマスは皆が浮かれているわけじゃない。
今日も悲しい男たちの挽歌は流れているかもしれない。
終わり。