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official髭男dismのAnarchyが韻を踏んだ上で攻め倒してる

コンフィデンスマンJP 英雄編の主題歌となったofficial髭男dism、Anarchy。official髭男dismといえば、主題歌タイアップに定評がある、と思っています。

先日の転調しまくって攻めまくった東京リベンジャーズOP主題歌cry baby。あんなに攻めまくったのに大ヒット。しかもかなり世界観を踏襲している。

単体で聴いても格好いい上、ストーリーを知っているとより深みを感じられるというとんでもないことをやってのけているわけですね。

今回もご多分に漏れず。

コンフィデンスマンJPは正直見ていないのですが、曲を聴いてむしろ観たくなるほどです。

さて、それとは別にofficial髭男dismの歌詞はJ-popながらもよく韻を踏んでいることも特徴です。

勿論、J-popなのであくまでライトな韻で、グルーブを生むことを主体としておりますが。
 
今回のAnarchyも踏み踏みの名曲でした。

ということで、解説です。

耳障りな演説が頭の中で響いてる
がなるスピーカー垂れ流した
自己嫌悪と葛藤のリピート
「あの頃に戻りたいな」
それ以外に何かないのか?
不平不満は時限爆弾
秒読みを止める名言など持っちゃいない

「スピーカー」「リピート」の語感、「あの頃に戻りたいな」それ以ないのかの怒涛の「ai」音で攻め立ててきます。

そして「不平不満は時限爆弾」。

「ふへいまんは」「じげんばくだん」で7文字と7文字で語呂を良くした上で「へい」と「げん」、「まん」と「だん」と韻も踏んでグルーブを生み出しているのがわかります。

最後に秒読みを止める名言など持っちゃいないと「ai」で締める丁寧さ。

抜け出せ悪循環の根強い重力を
鍵付きの部屋の中で下品なポーズ

踏んでないと思わせておいて「重力」と「ポーズ」で「ou」踏み。

どうかしてる どうかしてる
浮き足立った心が煙を上げる
リーダーも英雄も信じるまいと
怒れる暴徒の眼光
感情の大乱闘
治安の悪さと
猿の徹夜は続く
どうかしてる 度を越してる
解りますか?
何の価値もない夜更け

ここぞのサビでしっかりと分かりやすく踏んできました。

「どうかしてる」「と煙を上げる」でジャブ程度の「eu」踏み。
「怒れる暴徒の眼光」 「感情の大乱闘」なんかはちょっと90年代J-hiphopを彷彿させるくらいの[anou]踏みでおじさんもうにっこりですよ。

あと「治安の悪さ」「猿の徹夜」も「ua」でちょい踏みですね。

そしてサビの最初にもあった
「どうかしてる」を繰り返すと思いきや「度を越してる」

これですよ。髭男の歌詞の遊び心。勿論、韻を踏んでおりますが、「どうか」と「度を越」で厳密には踏み外しているんですね。

しかし、どうかはどーかのフロウで、問題の「か」と「越」は外しながらも同じカ行にすることで違和感なくしているんです。

宿命の切れないバッテリーしかり、サビのここぞってところだったり引っ掛かりのところに韻を組み合わせてくる。しかもJ-popらしさを失わず。

cry babyだと
何度も青あざだらけで涙を流して 流して 不安定な心を

流してのバースに不安定をからませて実際の不安定さを演出しつつ、「aaie」「(u)ane」で韻を絡ませてるんですよね。妙技ですこれは。

ついでですが、お得意のダブルミーニングも腫れあがった顔みあって笑うが晴れ上がったになってるのも確りあってにんまり。

あとみんな大好きPretenderでは

グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」

象徴的な「グッバイ」の「ai」でひたすら踏み倒しつつ、エモメロディアスにするスゴ技。

「僕じゃない」「否めない」「離れ難い」なんかは当たり前で

「痛いや いやでも 甘いな いやいや」 

ここ。

「痛いや」が頭にあるので「ia」で踏んでそうにみえるし、実際そうなのですが、痛いや いやでも とすることで「iaiaia」となりiaとaiが連続されるわけです。

そのうえで「甘いな いやいや」と「aaiaiaia」と「ai」始まりにしてから食い気味で「グッバイ」の「ai」音。

完璧すぎる。歌って気持ちいいに決まってる。

勿論 
「それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ」
でアフターフォローもばっちりだ。

話は大分飛びましたが、それくらい髭男のサビは韻やダブルミーニングなど聴きごたえがあるまさにパンチラインってことなんです。

さて、2番です。

非の打ち所ひとつない
人生なんて歩んじゃない
不謹慎な言葉を日夜
きつめのネクタイで抑えたヴィラン
躾のない自由はない
秩序の加護に飼われて
誇りを持った清き偽善者
傷つけたくないけど
何かを噛んでいたい
抜け出せこの集団の根強い重力を
捨てられない粗大なイライラが爆ぜる


やっぱり「きつめのネクタイ」と「ない」の「iue」でしょう。この曲は普段使わないワードが出てくる分韻を踏むと目立ちますね。

あとは最後の「抜け出せ」と「捨てられない」ですかね。能動的と受動的な対比で韻踏んでてこれもまたいい感じです。

何にもない 誰も居ない
じゃなきゃ怒れない
笑わないで 指を差さないで
理性の半分ない間しか狂えない
笑わないで 指を差さないで
隠し通していたい

サビ前のCメロは「ai」音を入れまくってますね。特徴的なのはずっと否定の意味で「ない」を使い続けて最後に「隠し通していたい」と否定ではない意思にしているとこですね。

そして最後にサビの歌詞がきて終わりと。

今回は非常に対比としての韻が多かったですね。そもそもコンフィデンスマンJP 英雄編であることから、確り歌詞に英雄が使われていますし、その上で対比となりそうなヴィランだったり偽善者だったり使われております。

そもそもタイトルのAnarchyは無政府という意味ですから。混沌とした内面がリリックになっている通り、曲もかなり攻めてます。

cry babyもそうでしたが、最近の髭男はタイアップでも攻めていて面白いです。

曲や歌詞の内容だけでなく、語感としての韻より一層練られているので是非、韻に注目しても髭男を聴いてみてください。

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